通院しながらでも仕事はできる?治療と労働を両立するためのポイントを紹介

病気を発症して通院が必要になると、仕事を続けられるか不安になる人は多いのではないでしょうか。

実際に通院と仕事の両立を希望している人は多く、中には仕事環境をうまく工夫して、そのまま労働を継続している人もいます。今回は病気を抱える人たちの実態や、通院しながら仕事を行うポイントについてご紹介します。

【目次】

通院しながらでも仕事はできる

結論から述べると、通院しながら仕事を行うことは十分に可能であり、通院しながら働く人の割合は年々増え続けています。ここでは病気を抱えた人の、仕事に対する考え方について説明します。

通院している人の多くは就労を希望している

厚生労働省が行ったアンケート調査によると、以下の結果であることがわかりました。

  • 病気を抱える人の92.5%が就労の継続を希望している
  • 病気で現在仕事をしていない人も70.9%が就労を希望している

この結果から、病気を抱えている多くの人が仕事に前向きな姿勢であることがわかります。仕事と治療の両立を考えている割合は多く、その支援に対するニーズも高くなっているのが現状です。

病気になってもすぐに仕事をやめる必要はない

働いている途中で病気になった場合、入院・通院のために仕事を辞めなければいけないのか不安になる人も多いでしょう。しかし病気になったからといって、すぐに仕事を辞める必要はありません。まずは病気のことを上司や同僚に伝え、理解を得ることが大切です。

「上司に迷惑をかけてしまう」「長期間入院してもいいのか」といった悩みを1人で抱え込まずに、職場の人と一緒に解決の道を考えましょう。職場からの協力を得られるのであれば長期の入院、あるいは通院しながらの仕事の継続は可能です。「病気になっても仕事がしたい」という気持ちがあるなら、その思いを優先して動きましょう。

今後も通院しながら仕事を行う人は増える

通院しながら仕事を行う人の割合は、少ないように思われます。しかし少子高齢化が進み、そのうえ医療技術も発展しているため、今後通院と仕事の両立が当たり前になる時代が来るかもしれません。

実際に病気を抱えている人でも仕事ができるように、多くの職場の環境が少しずつ整えられています。そのため、病気を抱えていても仕事を続けられるハードルは下がっていくと考えられます。

通院しながら仕事を継続するメリット

通院をしながら仕事をすることは、労働者側にも企業側にもメリットがあります。ここではそれぞれのメリットを解説します。

労働者のメリット

労働者が通院と仕事を両立するメリットは以下の通りです。

  • 仕事を継続できる
  • 安心感を得られる
  • モチベーションを高められる
  • 収入を得られる
  • 仕事を通じて社会貢献ができる

労働者にとって一番のメリットは、やはり仕事を継続できる点です。

収入を得るだけでなく「病気を抱えていても社会に貢献できる」という気持ちにより、自己肯定感を高めることも可能です。仕事を通じて社会とのつながりを持つことは、やりがいや楽しさにも直結する大切な要素といえます。

職場のメリット

職場にとってのメリットは以下の通りです。

  • 人材をそのまま確保できる
  • 労働者のモチベーションを高められる
  • 多様な人材採用で企業の活性化につながる
  • 健康経営の推進が可能

通院と仕事の両立ができる環境を作ることは、労働者にとってありがたいことです。労働者のモチベーションを高められるだけでなく、会社側もいい印象を受けやすいです。職場が病気を抱えた労働者の支援を行えば、他の企業でもその取り組みが広がるきっかけとなるでしょう。

通院しながら仕事をするときのポイント

通院と仕事の負担を軽くするためには、さまざまな制度の活用や職場への共有が重要です。ここではどちらもうまく両立させるためのポイントについて説明します。

有給休暇を利用する

まず利用したいのは有給休暇です。会社で6ヶ月間勤務すると、一定の有給休暇を取得できます。これは制度で定められており、その後も継続して勤務するとさらに新しい有給休暇が付与されます。正社員だけでなく、パートやアルバイトでも有給休暇は取得できるので、非正規でも利用できるのがうれしい点ですね。

入院期間が短ければ、有給休暇を申請するだけで済む場合もあるでしょう。また半日単位で休める職場もあるので、通院の日にあわせてうまく有給休暇で調整することも可能です。

仕事を休むときのポイントについては、こちらの記事「休みが取りやすい仕事の4つの条件!働くならパート?正社員?」で詳しく解説しています。

上司や同僚の理解を得る

仕事と通院を今後も両立するためには、上司や同僚に状況を説明して理解を得ることが重要です。周りに説明しないまま仕事を続けると、上司からの信頼性が低下したり、無理をして体調が悪化したりする危険性があります。

上司や同僚に相談して病気のことを伝えられたら、仕事の環境に対して配慮をしてくれるでしょう。決して1人だけで解決しようとはせず、周囲のサポートも受けながら仕事を続けましょう。

社内の制度を利用する

有給休暇の他にも、会社特有の制度を設けている場合があります。職場に「休職」や「病気休暇」など、制度によって長期的な休暇が認められているなら、利用するのも1つの手段です。

長期的な休暇が可能であれば安心して入院ができますし、その後の通院の準備も進められます。職場によって対象者、手続き方法、期間などは異なるので、就業規則をよく確認する必要があります。

障害者雇用で働く

障害者雇用を設けている職場も多く、その枠で働くことも負担の軽減につながります。障害者雇用で働くメリットは、病気や障害に対する配慮を得られやすい点です。あらかじめ身体の状況を考慮したうえで雇用するため、サポート環境が整えられています。

また職場からのサポートを受けやすい障害者雇用は、健常者の採用を前提としている一般雇用と比べて離職率が低いといわれています。そのため、これから就職をはじめて仕事を定着させたい人にもおすすめです。

しかし全ての職場に障害者雇用があるわけではないので、ある程度職種が限定される点は理解しておきましょう。

障害者雇用については、こちらの記事「 【2022年最新】障害者雇用の現状と課題【SDGs】」で詳しく解説しています。

参考:障害者雇用の現状等 – 厚生労働省

休みやすい業種に就職する

比較的身体的な負担が少なく、休みやすい業種に就職するのもおすすめです。病気を抱えている人にとって、肉体労働が中心の仕事は身体的な負担が高いため、症状を悪化させる危険性があります。デスクワークが中心の仕事に就職すれば、身体的な負担を心配することなく働けるでしょう。

身体的に負担がかからない仕事については、こちらの記事「心臓障害の方が転職すべき職場とは?体に負担をかけずに働く方法」で詳しく解説しています。

そのほかにもフレックスタイムや短時間勤務が採用されている職場なら、通院と仕事の両立がしやすいです。体力面に不安がある人は、ぜひデスクワークができる職場や勤務時間を調整できる職場の就職を検討してみましょう。

労働環境を工夫して通院と仕事を両立しよう

突然病気やケガにあったとき、今はたらいている仕事を継続できるか心配ですよね。しかし、うまく工夫すれば通院しながらでも仕事を行うことは十分に可能です。

そのためには上司や同僚に説明をして配慮してもらったり、勤務形態を変更して身体への負担を減らしたりすることが大切です。病気を抱えていてもあきらめず、仕事を続けられるような環境を整えてみましょう。

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5年間理学療法士として医療に従事し、全国規模の学会で演題発表の経験あり。2021年からフリーランスとして独立を決意し、現在は専業のWebライターとして活動中。過去に先天性の心房中隔欠損症を発症したが、早期治療済み。ゆるく自分らしく生きることが人生の目標。(Twitter:@kaisei_writer)