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心疾患は労災になるのか?5つの心疾患と認定の条件とは?

仕事中に起こった事故や、病気を保証してくれる労災。

働き始めたばかりの社会人には、耳慣れない言葉かもしれません。

今回は心疾患にスポットをあてて、労災認定される心疾患、認定される条件について解説していきます。

この記事を読むことで「自分の疾患が労災になるか」のヒントが得られます。

【目次】

そもそも労災とは?

労災

労災とは、「労働災害補償」の略で、仕事が原因になり起こった、けがや病気などを補償してくれる制度のことです。

  • 業務中のけが
  • 通勤中の事故によるけが
  • パワハラによる精神疾患

など、労働者の様々な状況を補償してくれます。

とはいえ、心疾患は「普段の生活習慣」が発症に大きく関連するもの。

仕事中に発症したとはいえ、心疾患は労災に当たるのでしょうか?

心疾患は労災になるのか?認定される5つの心疾患

心臓 心電図

結論をいうと、労災の対象となる心疾患は下記に限られます。

【該当する心疾患】

  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 心停止(心臓性突然死を含む)
  • 重篤な心不全
  • 大動脈解離

また、労災はいくつかの条件を基準に認定されます。詳しく解説します。

心疾患で労災認定される3つの条件

事務職

認定の条件は主に下記の3つです。

【認定条件】

  • 長期間の過重業務
  • 短期間の過重業務
  • 異常な出来事

上記のいずれかに該当し、「明らかに仕事の負荷が発症に関わっている」と証明された場合に労災が認められます。

なお、脳・心疾患の労災認定の基準は、2021年に改訂されたため、それ以前の制度と認定の基準が変わっています。

下記の表を参考に、ご自身が該当するか判断してみてください。

評価項目 長期間の過重業務 短期間の過重業務 異常な出来事
評価する期間 発症時点から6ヶ月前以降 発症時点から1週間前以降 発症時点の前日以降
判断材料
  1. 勤務時間は適切だったか?
  2. 出張など異動をともなう業務はどれくらいあったか?
  3. 心理的な負荷はどれくらいだったか?
  4. 身体的な負担はどれ蔵だったか?
  5. 作業環境はどのようなものだったか?
  6. 労働はどれくらいあったか?
左記と同様
  1. 精神的な負荷はなかったか?
  2. 身体的な負荷はなかったか?
  3. 作業環境に問題はなかったか?

参考:厚生労働省 脳・心臓疾患の労災認定

労災認定される条件①:長期間の荷重業務

ひとつ目は「長期的に病気を悪化させるような負荷のかかるような業務がなかったか」を確認します。

たとえば下記。

  1. 勤務時間は適切だったか?
  2. 出張や異動をともなう業務はどれくらいあったか?
  3. 心理的な負荷はどれくらいだったか?
  4. 身体的な負担はどれくらいだったか?
  5. 作業環境はどのようなものだったか?

これらが発症前から6カ月間の間になかったかを評価します。

時間外労働も評価にあたり重要です。

評価期間 週の残業時間 疾患との関連
発症直前~6ヶ月 45時間未満 疾患との関連は弱い
発症直前~1ヶ月 45時間以上 時間に応じて関連が強くなる
発症前2ヶ月~1ヶ月 100時間以上 疾患との関連は強い
発症前2ヶ月~6ヶ月 80時間以上 疾患との関連は強い

これらを総合的に判断して労災が認定されます。

自分がどれくらい残業していたか、証拠となるものは残しておきましょう。

労災認定される条件②:短期間の荷重業務

ふたつ目は短時間の労働状況です。この場合の「短時間」とは発症前から1週間を指します。

「長期間の過重業務」と同様の項目が評価対象になります。

また、時間外労働についても判断材料に。

評価時期 評価基準
発症直前~前日 過度の長時間労働があった場合認められる
発症前~1週間 1週間継続して深夜時間など過度の長時間労働あった場合が認められる

上記から客観的に労働と心疾患の発症の関連性を考えます。

労災認定される条件③:異常な出来事

「異常な出来事」は、下記の3つが基準となります。

精神的な負担
  1. 業務に関連した重大な人身事故・重大事故に直接関与した場合
  2. 事故の発生にあたり、身体的・精神的に負荷のかかる救助活動、事故処理に関わった
  3. 生命の危機を感じさせるような事故や、対人トラブルを体験した
身体的な負担 上記1~2に加えて、身体的な負荷がかかる消火活動、身体的訓練、走行などを行った場合
作業環境
  1. 夏場の水分補給ができない状況での作業
  2. 寒冷の状況での作業
  3. 温度差のある場所への出入りが頻繁な作業

上記の状況が発症から前日にかけて起こっていないかを客観的に判断します。

労災の申請方法

労災 申請

労災には、療養補償と休業補償の2種類があり、それぞれで申請手順が異なります。

療養補償の申請方法

病院での治療費の負担をしてくれる療養補償。申請方法は治療を受ける病院によって変わります。

労災指定病院の場合

治療を受けている病院が「労災指定病院」の場合、下記の流れで労災の申請を行います。

  1. 病院で治療を受ける
  2. 申請書に会社の証明をもらう
  3. 申請書を病院へ提出する
  4. 病院から申請書が労働監督基準監督署へ提出される
  5. 労働監督基準監督署が病院へ治療費を払う

この場合は、「労働監督基準監督署」が治療費を支払うため、本人が治療費を支払う必要はありません。

労災指定病院以外の場合

「労災指定病院以外」の場合は、一次的に自己負担で治療費を支払う必要があるので要注意です。

  1. 病院で治療を受ける
  2. 請求書に会社の証明をもらう
  3. 請求書を労働監督基準監督署に提出する
  4. 厚生労働省から労働者に治療費の立替分が支払われる

あとで、申請するために領収書が必要なので、会計時に必ず受け取って保管しておきましょう。

また、認定までに1か月ほどかかることがあります。

休業補償の申請方法

働けない期間の平均賃金の60~80%を補償してくれるのが「休業補償」。

申請方法は下記です。

  1. 労働者が労働基準監督署へ請求書を提出する
  2. 労働基準監督署が調査する
  3. 労働基準監督署から支給・不支給の決定通知が届く
  4. 厚生労働省より指定口座へ振り込まれる

期間に上限はありませんが、疾患が完治すれば、働いていない場合でも支給はストップされます。

労災の申請に必要な書類

では、申請に必要な書類を見ていきましょう。

申請書類は事故が起こった状況によってわずかに異なります。種類は下記の2つ。

  • 業務中に起こった場合「業務災害」
  • 通勤中に起こった場合「通勤災害」

それぞれ必要な書類は厚生労働省のホームページにてダウンロードできます。

労災申請時の注意点

退職

労災を申請するとき、いくつかの注意点があります。

申請期限がある

申請には期限があります。

数年単位とはいえ、「あとでいいや」「会社が言って来たら申請しよう」などと安易に考えていると、申請できなくなります。

労災の種類 期限を数え始める日 請求できる期限
療養補償 療養費を払った翌日から 2年以内
休業補償 給与を受け取らなくなった日から 2年以内

療養補償は実費負担になることも

「労災指定病院以外」で治療を受けた場合には、一次的に自己負担で医療費を支払う必要があります。

この場合は健康保険が使用できないため、「保険を使用した3割負担」ではなく、全額負担となります。

しかし都道府県に指定された「労災指定病院」では実費の支払いはありません。

そのため治療が長期になる場合は、できるだけ「労災指定病院」を選びましょう。

退職後も申請可能

退職した場合でも手順に沿って申請することで、請求ができます。

ただし、申請には期限があるので注意しましょう。

【まとめ】労災認定される心疾患とは?

今回は労災に当たる心疾患について解説しました。

労災は労働者の権利なので、遠慮することはありません。

申請にも期限があるので、まずは早めに職場に相談しましょう。

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看護師&WEBライター。介護士歴7年、資格取得後に看護師へ転職。国立病院の循環器科を経験。現在は地域医療を学ぶために田舎の救急病院に勤務。検査、救急対応、外来対応、病棟看護なんでもやってます。(Twitter:@ns_shokpan)