医療従事者が提案する『信頼できる医療情報の探し方』

公開日 2022年9月13日 最終更新日 2023年11月11日

インターネットの検索サイトで病気のことや体の不調について調べたことはありますか?

さまざまなサイトが表示され、迷ったことはありませんか?ちょっとしたコツでより正確な情報にたどり着くことができます。ここでは、心臓の病気を中心に信頼できる医療情報の探し方を、医療従事者が提案します。

また正しい情報の見極め方については、厚生労働省が公開しているこちらのWebサイトも参考になります。

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執筆:齊川 祐子

臨床検査技師 国立大学病院,市民病院,先天性心疾患を多く手術するこども病院などに勤務。心臓関連検査(心電図,心エコーなど)や,神経関連検査(脳波など)に従事した。趣味はバードウォッチング。モットーは心穏やかに日々暮らすこと。執筆記事一覧

【目次】

検索する前にするべきこと

事務職
自分にとって必要な情報を見つけるためには、調べたいことをいきなり検索する前に準備をしましょう。

調べたいことを明確にする

何か知りたいことがある時は、まず初めに自分が調べたいことが何かを明確にします。

たとえば「医師から説明を受けた病名や治療法がよく理解できなかった」「最近気になる症状がある」などです。

知りたいことが曖昧なまま調べようとしても、なかなか正しい情報には辿り着けません。

検索エンジンの選び方

『Google』は現在日本国内で多く使われている検索エンジンです。Google検索のみでなく、Yahoo検索もGoogleエンジンを使用しています。

Google Japan は2017年12月医療情報サイトの信頼性を評価し、その評価に値するサイト(信頼性の高い情報が掲載されたサイト)を優先的に表示する施策をおこなっています。

また『YouTube』も2022年3月に信頼性の高い医療情報を優先表示するための施策を打ち出しています。

Webサイトで情報を集めたい場合はGoogle、動画で情報を集めたい場合はYouTube、それぞれがおすすめです。

検索語句の決定

調べたいことが決まったら、まずその語句でそのまま検索をしてみましょう。

病気の名前、手術や治療方法、症状の表現方法など様々な表現方法があります。医療用語で検索するとより専門的な内容が表示されやすくなります。

サイト(動画)の選択

医療関係の情報は様々な目的をもって公開されています。もちろん多くの情報は読者の利益になるように発信されていますが、中には発信者の利益を誘導するものや風聞に基づいたもの、現在では通用しないものなども含まれています。

病院が運営しているサイトや、医師の監修が入っている記事、動画を選びましょう。

ほかにも下記のポイントも情報を選ぶ上で重要です。

  • 複数のサイトや動画で比較する
  • 情報の発信者を確認する
  • 根拠がない情報は除外する

サイトごとの特徴

医療情報が掲載されているサイトについて、運営者ごとに分類し特徴を解説します。

記載したURLは私がおすすめするサイトですが、これがすべてではありません。あくまでも個人の選択であることを念頭においてください。

公的機関が運営するWebサイト

公的機関、たとえば厚労省や公的病院が発信している情報から接するのが安全といえます。適切な表現で、公正な立場の情報が得られます。

しかし、あくまでも一般に向けた情報ですので、自分に必要な情報を選ぶ必要があります。また、多くの情報の中から自分に合った情報にたどり着くのが難しい時もあります。

【おすすめサイト】

病院が運営するWebサイト

様々な病院が一般の方向けの医療情報を発信しています。

中でも公的病院や大学病院のWebサイトが充実しており、コンプライアンスも守られていて信頼できる情報が載せられています。その病院が得意としている分野や治療が詳しく記載されていることが多くあります。

大病院は様々な疾患を診療しているために、情報も膨大で自分が必要とする情報にたどり着くのが難しいことがあります。そのため、自分が知りたい分野(循環器科や心臓血管外科など)を絞り込む必要があります。

【おすすめサイト】

自分が受診している病院、受診しようとしている病院のWebサイトもチェックしてみましょう。たくさんの診療科がある場合は、循環器科や小児循環器科、心臓血管外科などの診療科まで絞り込んでみてください。患者向けのページなどがあり、情報が記載されていることがあります。

一方、個人病院や医師などの医療従事者個人が発信している情報は、もちろん参考になることもたくさんありますが、さまざまな考え方のもとに書かれていることを念頭に置いた上で、取捨選択が必要です。

民間企業が運営するサイト

循環器関連の薬剤やデバイスなどを手掛けている企業が開設しているサイトがあります。MSDマニュアルは歴史のあるHPで、一般向けの他に医療従事者向けの情報もあります。企業の得意としている分野の情報が得られます。

しかし、提供されている情報はその企業がかかわっている範囲であることなどを念頭に情報の選択が必要です。

また本Webサイト『はとらく』のようなWebサイトも多数存在します。民間企業が運営するWebサイトを選ぶ場合は、情報の根拠が明示されているものや、医療機関、医療従事者の監修が入っているWebサイトに限定しましょう。

【おすすめサイト】

個人の体験談ブログなど

体験談ブログで個人が発信している情報は、実際の体験をもとに分かりやすく書かれています。

しかし、あくまでも個人の感想であり、医療情報としては正確性を欠くこともあり、すべてが自分に当てはまるわけではありません。

病気を抱える人の気持ちに寄り添う記事も多くあるため、上記のことを理解したうえで、参考になることも多くあります。

はとらくでも「当事者の声」の記事を多数公開していますので、ぜひ読んでみてください。

より専門的な知識をつけるためには

心臓病

日本の循環器関連学会は、医師中心の日本循環器学会日本心臓病学会日本心臓血管外科学会小児循環器学会などがあり、治療ガイドラインなどを発表しています。

また、日本超音波医学会の循環器関連、日本不整脈心電学会など多くの専門学会もあります。

循環器関連の医療は様々な手法やデバイスが日々研究されていて、それぞれの企業から情報が開示されています。これらの情報は一般の方には難解な部分もありますが、新しい情報が反映されていて、医師や医療関係者がどのような診断基準で治療方針を決めているのかがわかります。

時に医療情報は難解な用語表現などが多く見受けられ、 理解しにくいことがありますが、多くの情報に触れることで慣れていきます。

また、病院や企業のHPなどではアニメーションを使ってわかりやすく工夫されたものもあります。

さらに、海外の病院などのサイトを覗いてみてください。英語が理解できなくても、アニメーションを見るだけで、疾患の理解が深まります。英語のHPも日本語翻訳機能を使えば、かなり楽しめます。手始めに以下のサイトはどうでしょうか。

まとめ

より有益な医療情報を得るためには検索の目的を明確にし、信頼できる発信元からの情報を得ることが大切です。また、医療情報は日々更新されている可能性が高いため、発信時期のチェックが必要です。さらに、複数の情報源を比較し、自分に合っているか吟味することが重要です。

不明な点があればご自身の担当医に相談することがもっとも大切です。そして、担当医とより円滑なコミュニケーションが取れるよう、皆さん自身も医療に関する知識を深めることが必要です。

※はとらくでは、完全無料でキャリア相談を受け付けています。ぜひ、ご相談ください。

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臨床検査技師 国立大学病院,市民病院,先天性心疾患を多く手術するこども病院などに勤務。心臓関連検査(心電図,心エコーなど)や,神経関連検査(脳波など)に従事した。趣味はバードウォッチング。モットーは心穏やかに日々暮らすこと。