ファロー四徴症の人に向いている職種は?仕事を見つけるためのポイントをご紹介

公開日 2022年12月12日 最終更新日 2024年2月18日

先天性心疾患であるファロー四徴症を抱えていると、自分にあった就職先をどうやって探すべきか悩む人はいるでしょう。体調の変化を考慮したうえで、なるべく身体的に負担の少ない仕事を探したいですよね。

ファロー四徴症の人に適した就職先を見つけるためには、ハローワークの障害者窓口や就労移行支援の活用がおすすめです。この記事では、ファロー四徴症の人に向いている仕事や就職先の探し方についてご紹介します。これから就職活動をはじめようと思っている人に見てもらいたい記事です。

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監修:谷 道人

沖縄県那覇市生まれ。先天性心疾患(部分型房室中隔欠損症)をもち、生後7ヶ月で心内修復術を受ける。自身の疾患を契機として循環器内科医を志す。医師となった後も、29歳で2度目の開心術(僧帽弁形成術)、30歳でカテーテルアブレーションを受ける。2018年琉球大学医学部卒業。同年、沖縄県立中部病院で初期臨床研修。2020年琉球大学第三内科(循環器・腎臓・神経内科学)入局。2022年4月より現職の沖縄県立宮古病院循環器内科に勤務。

【目次】

ファロー四徴症とは?

ファロー四徴症の病気を理解するために、ここでは症状や予後について説明します。

4つの特徴を持った疾患

ファロー四徴症とは、生まれつき心臓病を抱えた「先天性心疾患」の1つで、以下の4つの特徴を持っています。

  • 心室中隔欠損症
  • 肺動脈狭窄症
  • 大動脈騎乗
  • 右室肥大

心室中隔欠損症とは、4つの心臓の部屋のうち、左心室と右心室を分ける壁(中隔)に穴が開いている病気です。大動脈騎乗は通常は左心室につながっている大動脈が、心室中隔欠損症の影響で左右の心室にまたがっている状態をいいます。

肺動脈狭窄症は、肺に血液を送る「肺動脈」が狭くなる病気です。右心室肥大は、その名前の通り右心室が肥大化している状態を指します。

ファロー四徴症のきっかけは遺伝的な要素や神経細胞の異常によるものといわれていますが、はっきりとした原因はわかっていません。

ファロー四徴症の症状

ファロー四徴症では、血液中の酸素が不足して唇や顔面、爪が紫色になる「チアノーゼ」が現れるのが特徴です。特に泣いたり、お風呂に入ったりした影響で血液の流れに変化が起こると、チアノーゼを発症しやすいです。

症状の度合いにもよりますが、生後2か月以降からチアノーゼ症状が現れるといわれています。その他にも以下のような症状がみられています。

  • チアノーゼによるバチ指
  • 心雑音
  • 低酸素発作(過呼吸、失神など)

低酸素発作は重度になると、97〜100%が正常値であるSpO2が50%以下となり、この状態が続くと命の危険性も高くなります。

ファロー四徴症の治療法

ファロー四徴症の治療では手術療法が中心です。チアノーゼの症状が強い場合は「ブラロック・タウシッヒシャント術」と呼ばれる手術を行います。これは「鎖骨下動脈」と「肺動脈」と呼ばれる動脈の間に人工血管を作り、肺に向かう血流量を増やす手術法です。

その後、心室中隔欠損症によって空いた壁(中隔)を塞ぎ、血流を正常に戻す「心内修復術」を行います。心内修復術が成功すれば、チアノーゼや心不全といった症状の改善が期待できます。

ファロー四徴症の予後

ファロー四徴症の治療後の予後は良好であり、術後30年の生存率は98%とされています。しかし、年数が経過すると「肺動脈弁閉鎖不全」や「心不全」などが現れ、再度治療が必要になる可能性もあります。

また治療成功後でも激しい運動は制限されることがあるでしょう。このように、ファロー四徴症の予後は良好ですが、その後の心臓病の再発や運動の負荷に気をつける必要があります。身体に異常を感じるようになったら、すぐに医療機関で医師に診てもらうことが大切です。

ファロー四徴症の人に向いている仕事

ファロー四徴症の人が就職をする際は、身体的な負担が少ない仕事を検討しましょう。ファロー四徴症の治療後の予後は良好ですが、運動による大きな負荷はかけられません。若いうちは無症状だとしても、年齢を経るごとに心臓病の症状が現れる可能性もあります。

そのため力作業が多かったり、頻繁に動いたりする仕事は避けて、デスクワークを中心とした仕事を選ぶといいでしょう。おすすめの仕事は以下の通りです。

  • 事務職
  • Webライター
  • Webデザイナー
  • ITエンジニア
  • イラストレーター

このように、自分に合った身体的な負担が少ない仕事を探してみてもよいかもしれません。

ファロー四徴症の人が仕事を見つける方法

ファロー四徴症の人が効率よく仕事を見つけるには、どのような方法があるのでしょうか。ここではファロー四徴症の人におすすめしたいサービスについてご紹介します。

※またはとらくでも、完全無料でキャリア相談を受け付けています。ぜひ、ご相談ください。

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ハローワークの利用

豊富な求人を紹介してくれるハローワークの利用がおすすめです。ハローワークでは、一般の雇用以外にも障害者雇用枠としての求人も紹介してくれます。そのためファロー四徴症の症状にあわせて、適切な雇用形態での就職相談ができるでしょう。

またハローワークには「難病患者就職サポーター」が配置されており、難病の人に対しての就労サポートを行っています。就職に悩んでいる人は、ぜひこちらの窓口にも問い合わせてみましょう。

転職エージェントの利用

転職エージェントの中には、障害を抱えている人向けの求人情報を提供している企業もあります。

うまく活用すれば、さまざまな職種・仕事内容の中から自分に適した仕事が見つかるかもしれません。求人の定期的な紹介もあるので、ハローワークと並行して人材紹介会社を活用してみましょう。

就労移行支援の利用

就労移行支援を利用するのもひとつの手段です。就労移行支援とは障害を抱えている人を対象に、就職するために必要なスキルの獲得をサポートする障害福祉サービスです。

利用後の支援期間は2年間で、それまでに就職の成功を目指します。おもに以下のようなサービスを提供しています。

  • 一般教養やビジネスマナーのトレーニング
  • 特定の企業のインターンシップ
  • 履歴書の添削
  • 面接指導
  • 就職後のフォロー

このように職探しだけでなく、就職に必要なスキル獲得、職場定着のサポートまでしてくれるのが就労移行支援の特徴です。

ファロー四徴症の人に向いている仕事を探してみよう

ファロー四徴症の予後は良好ですが、年齢を経るごとに心臓の症状が現れる可能性があります。就職の際はその点を考慮して、なるべく身体に負担のかかりにくい仕事を選択することが大切です。

またハローワークや人材紹介会社などのサービスをうまく活用すれば、自分の症状にあった就職先が見つかりやすいでしょう。今回紹介したポイントをしっかりとおさえて、ぜひ就職活動に役立ててみましょう。

5年間理学療法士として医療に従事し、全国規模の学会で演題発表の経験あり。2021年からフリーランスとして独立を決意し、現在は専業のWebライターとして活動中。過去に先天性の心房中隔欠損症を発症したが、早期治療済み。ゆるく自分らしく生きることが人生の目標。(Twitter:@kaisei_writer)