公開日 2023年2月16日 最終更新日 2023年4月21日
循環器内科は先天性心疾患や心筋梗塞・狭心症などの虚血性心疾患のような、心臓病や血管の病気を専門的に治療する診療科です。
心臓病患者さんに馴染み深い循環器内科の対象疾患から検査・治療、さらには循環器内科の探し方と名医の見分け方まで、現役看護師の小田あかりがわかりやすく解説します。
【目次】
循環器内科はどんな人が受診する?対象疾患から検査・治療まで解説
循環器内科はどのような人が受診するのでしょう。詳しく解説します。
循環器内科の診療対象疾患と症状
循環器科とは、心臓や全身の血管などに関連した病気を治療します。薬物療法や手術療法、食事療法や日常生活習慣の改善など、治療方法は多岐にわたります。
代表的な診察対象疾患と症状は以下のとおりです。
【対象疾患】
- 先天性心疾患
- 心筋梗塞・狭心症などの虚血性心疾患
- 弁膜症
- 高血圧症
- 不整脈
- 生活習慣病
- 心筋炎
- 動脈硬化
それぞれの疾患についての詳細の解説は、こちらからご確認いただけます!
【症状】
- 胸の痛み
- 動悸
- 息切れ
- 息苦しさ
- むくみ
- 不整脈
- 背中の痛み
- 高血圧
循環器内科と心臓血管外科、循環器科の違い
循環器内科と心臓血管外科はいずれも心臓や血管の病気を扱う診療科ですが、それぞれ違いがあります。
- 循環器内科:薬物療法やカテーテル治療などの、内科的治療をおこなう
- 心臓血管外科:開胸手術などの外科的治療をおこなう
2つの診療科はパートナーのような存在。お互いに連携しながら1人の患者さんを担当しています。
次に、循環器内科と循環器科の違いです。
- 循環器内科:薬物療法やカテーテル治療などの、内科的治療をおこなう
- 循環器科:循環器内科と心臓血管外科の両方を担当することがある
“循環器科”という名称についてですが、2008年4月の診療科標榜の見直しにより、新しく開院した場合には“循環器科”と名乗ることができなくなりました。そのため、現時点で“循環器科”と名乗っている病院は、2008年4月以前に開院した医療機関だといえます。
しかし、循環器内科と心臓血管外科と名乗っているからといって、新しくて歴史がないという訳ではありません。2008年の法改正以降“患者さんによりわかりやすく”という目的で、循環器科から名称変更した医療機関も少なくないからです。
筆者の勤務先は数十年の歴史がある病院です。もともとは循環器科と標榜していましたが法改正に伴ない、現在は循環器内科と心臓血管外科に名称を変更しています。こういった医療機関は比較的多いので、名称だけで歴史があるとか実績があるとかという判断はできません。
循環器内科でおこなう検査
心臓や全身の血管の状態を評価するために、循環器内科ではさまざまな検査をおこないます。代表的な検査を紹介します。
心電図
心臓の収縮は、心臓の一部から発生した電気刺激が心臓全体に伝わることで発生します。何らかの原因で心臓の血管や筋肉に障害がおこると、電気刺激の伝わり方が変化します。
その電気刺激の変化を、図(波形)として記録したものが心電図です。
検査では、心臓の電気刺激を親指の爪くらいの大きさの電極でキャッチします。胸に6個、両手足に各1個ずつ計10か所電極を装着します。検査自体に痛みはありません。
不整脈や心筋梗塞や狭心症などの虚血性変化がおこると、特徴的な波形が記録されます。検査時間も数分で、外来などでも簡便に検査できるため、心臓病の発見・診断に比較的よく用いられる検査なのです。
そのほかにも24時間~1週間心電図計を装着し長時間の波形変化を確認する『ホルター心電図』や、運動による心臓への負担を調べる『負荷心電図』という心電図検査もあります。
超音波検査(エコー検査)
超音波検査は超音波を体にあてて、反射した音波を映像化して臓器の状態を調べる検査です。
心臓の弁の動きや血液の流れ、血管の狭窄や血流を評価できます。検査自体に痛みはありません。
心臓CT
CTとはComputed Tomography(コンピュータ断層撮影)の略です。放射線を用いて人の体を輪切り状態にしたレントゲン写真をたくさん撮影し、画像処理することで体内の状態をより詳しく調べる検査です。
ベッドに横になりドーナッツ状の機械の中を通過する際に、画像撮影をおこないます。検査自体に痛みはありません。
循環器内科でおこなう治療
循環器内科で行う治療は、薬物療法と手術療法の2つがあります。
薬物療法 |
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手術療法 |
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現役看護師おすすめ!循環器内科の探し方3選
循環器内科について理解できましたか?ここからは、実際に現役看護師が行っている医療機関の検索方法を3つ紹介します。循環器科内科探しに困っている方は、ぜひ参考にしてください。
探し方1 インターネットで検索する
気になることを調べるときに真っ先に活用するのは、インターネットの検索機能です。ときは「調べても病院が見つからない」と、手詰まりになってしまうこともあるかもしれません。
インターネットで効率よく循環器内科を探すためには、検索キーワードの選定が重要です。
検索の際には【市区町村名】【循環器内科】と入力。最寄り駅やターミナル駅を基準に検索したい場合には【駅名】【循環器内科】と入力すると、循環器内科の病院がヒットするはずです。
探し方2 Googleマップを使う
探し方1で医療機関が羅列されても、一つひとつサイトにアクセスしなければ詳しい立地や距離感はわかりません。
検索結果が多いと、一つひとつのサイトを見るのも面倒ですよね。そんなときには、Googleマップがおすすめです。
検索結果を地図に切り替えるだけで、医療機関の位置関係や住所・診察時間・口コミを一覧でみることができます。
探し方3 厚生労働省の情報サイトを利用する
3つめにGoogleの機能以外のツールを使用した、循環器内科の探し方を紹介します。
厚生労働省のホームページでは、各都道府県の医療機能情報と薬局機能情報を公開しています。
厚生労働省の医療機能情報提供制度(医療情報ネット)を活用して、身近な医療機関を探す場合はこちら。
また東京都内の場合は、こちらからも検索できます。
医療機関を探す『キーワードで探す』の部分に『循環器内科』と入力しましょう。
検索結果が一覧で表示されます。
医療機関ごとに、住所、アクセス、診療科目などが詳しく確認できます。
東京都の医療情報ネットでは、オンライン診療の実績がある医療機関も検索できます。
オンライン診療の実績がある医療機関を検索する際には、GPSを利用して現在地から検索もできるので、個人的にはとても便利だと感じました。
循環器内科の名医の見分け方
医療を受けるのであれば、誰もが質の高いよい医療を受けたいと思うでしょう。その基準の1つが“名医”ではないでしょうか。ここからは、循環器内科の名医の見分け方を解説します。
そもそも“名医”ってなに?
誰でも専門的な知識と高いスキルを持つ医師に担当して欲しいと思うもの。多くの患者を担当しその分野で卓越した知識とスキルを持つ医師を“名医”と呼びます。
では、“名医の条件”ってなんでしょう?
患者さんの目から見ると“病気を治してくれる”“無理を言っても絶対に解決してくれる”いわゆる、ブラックジャックのような医師を名医とするのかもしれません。
医療者の目から見ると知識・経験に基づく高い判断力や、優れたコミュニケーション能力などがあげられます。そのほかにも、ガイドライン(治療指針)やエビデンス(根拠)に基づいた医療を提供しているかも重要な判断材料の1つです。
闇雲に名医を探す前に、必ず考えていただきたいことがあります。
それは、ご自身が何を指標に“名医”とするのかです。
筆者も患者の立場に立って“名医の基準”を考えてみました。
- 話を聞いてくれる
- 疑問に答えてくれる
- 患者の意思を尊重している
- 患者に考える時間や疑問を表出する時間を設けてくれる
- 治療に選択肢を与えてくれる
- 他の医療者を大切にしている
- 痛みや苦しみを最小限にしてくれる
読者の方の名医の条件と合致していますか?
名医の基準はひとそれぞれ。誰かにとっては名医だけれど、自分にはそうでないこともあります。他者からの情報に惑わされすぎず、自分の名医を見つけられるとよいですね。
循環器のプロ “循環器専門医”資格
医師の肩書の1つに“専門医”があります。専門医は、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の診断・治療を提供できる医師のことです。5年ごとに更新する必要があり、診療実績や知識を積み重ねないと専門医の資格は取得できません。
専門医を取得している医師の多くは、HPなどのプロフィール欄に取得資格として記載しています。一度チェックしてみてください。
また、専門医がどこにいるか調べたい方は、以下のサイトから検索してください。
出典:日本循環器学会
不整脈のプロ 学会認定“不整脈専門医”制度
不整脈は循環器内科の患者さんに比較的多くみられる症状で、治療方法も多岐にわたります。専門的不整脈診療の経験と知識をもつ医師、あるいは施設に対して、学会がその資質を認定する資格として不整脈専門医認定制度があります。
不整脈を専門とする医師の中には、この専門医資格を取得している医師もいるので、合わせてチェックしてみてくださいね。
出典:日本不整脈心電学会
まとめ
循環器内科は内科的に心臓の治療をおこなう診療科です。心臓血管外科と連携しながら、あなたの心臓をより良い状態に保てるようにフォローしています。循環器内科に携わる医師は数多くいて、それぞれに専門性があります。なかには“名医”と呼ばれる医師もいますが、あなたにとっての名医とはなにかを見つけられると、医師を選ぶ際に迷うことが少なくなるでしょう。
また、循環器の病気や治療に関連した知識を持つ医師として認定された”専門医資格”を持った医師がたくさんいます。本記事を参考に、ご自身にとっての名医や専門性を持つ医師を見つけられるといいですね。