公開日 2023年3月21日 最終更新日 2023年6月19日
心臓疾患など、様々な障害を持つ方の就労状況は様々ですが、一般就労を目指すにあたってA型事業所から仕事を始める方も少なくありません。
しかし、A型事業所にはマイナスの情報もあり、一般就労を目指せるか不安な方も多いと思います。
ここでは、A型事業所事業所の特徴や一般就労までの道のりなどを正しく理解し、安心して利用できるようわかりやすく解説していきます。
A型事業所とは?
A型事業所についてわかりやすく解説します。
最低賃金が保障されている福祉サービス
A型事業所の正式名称は、就労継続支援事業所です。この就労継続支援事業所には、A型事業所とB型事業所があります。この2つの大きな違いは、B型事業所は雇用契約を結ばず、給料は工賃として支給されますが、A型事業所は雇用契約を結ぶため、最低賃金が確保されています。
厚生労働省による発表では、令和2年度のA型事業所の平均月収は79,625円、平均時給は899円です。事業所の仕事内容によりもらえる給料は前後します。
A型事業所には理解のあるスタッフが常駐している
A型事業所を利用する人の中には、様々な理由で一般企業で働けない人が少なくありません。
A型事業所は、障害や難病を持った人が利用することが前提となっているので、突然の休みや、勤務時間の変更、業務内容の変更など柔軟に対応してもらいながら働けます。
また、専門資格を持った職員が常駐しているため、何か困ったことがあった場合は、すぐに対応してもらえます。
A型事業所と一般就労の違い
一般就労とは、企業の障害者枠で働くことを指します。
A型事業所で働くことと、一般就労で働くことの違いを表にしてわかりやすくまとめました。
A型事業所 | 一般就労 | |
雇用契約 | 結ぶ | 結ぶ |
平均給料 | 79,625円 | 215,000円(身体障害者) |
理解のある専門職員 | 常駐 | 企業による |
障害への配慮 | 受けられる | 受けられる |
出典:令和2年度工賃(賃金)の実績について・平成30年度障害者雇用実態調査
大きく違いが出ています。給与に違いが出ている理由としては、労働時間と業務内容が主な理由です。
A型事業所では、1日4時間から6時間、週3日から5日程度の勤務が一般的です。それに対し、一般就労の場合は、週20時間から40時間(人によっては残業する場合も)の勤務となります。
またA型事業所の業務は、比較的簡単なものが多くなっています。
【A型事業所の仕事内容例】
- Webデザイン
- データ入力などの事務作業
- 清掃業
- 包装、加工など
一般就労でも、上記と同様の求人はありますが、それ以外にも一般事務やエンジニア、営業職など、人によっては一般雇用と同様の業務を担当する場合もあります。
このように、労働時間や業務内容の違いから、平均給与に差が出ています。
しかし、A型事業所では、様々な状況に対応する専門職員がいるため安心して働くことができる反面、一般就労では専門職員がいない場合があります。仮に専門職員がいない場合でも、障害者枠であれば障害に対する配慮は受けられますが、A型事業所の方がより手厚いサポートを受けられます。
それぞれメリット、デメリットがあることに注意しましょう。
A型事業所での就労がおすすめの人
A型事業所で働くことが向いている人は、以下のような特徴を持つ方々です。
体調が不安定だったり、定期通院の頻度が多かったりなど、障害や病気の状況によって一般就労が難しい人もいます。
A型事業所では、前述の通り、労働時間の融通が効いたり、専門職員が常駐していたりするので、現時点で一般就労が難しいと思った場合は、A型事業所での就労がおすすめです。
また、就労経験が少なかったり、全くなかったりすると、転職活動での選択肢が狭まってしまいます。その場合は、A型事業所を活用し実務経験を積むことで、一般就労を目指すときの選択肢を広げることも可能です。
A型事業所から一般就労までの道のり
A型事業所から一般就労へまでの道のりは以下のものがあります。
A型事業所を利用して働くことに慣れる
いきなり一般就労をしようとすると、身体的にも精神的にも負担が大きくなります。そこで、まずはA型事業所を利用して、働くことに慣れましょう。
A型事業所は、短時間、そして簡単な業務から始められるため、心身への負担を抑えながら働けます。
また、業務内容自体は簡単なものが多いですが、実務経験を積めることもA型事業所の大きなメリットです。
転職活動をするときの1つの強みにもなるので、まずはA型事業所を利用して、無理のない範囲から就労をスタートしてみましょう。
転職活動をする
転職活動をする際には、以下のサービスを使い支援を受けることができます。
障害者就業・生活支援センター
就労支援センターは、障害者が一般就労に移行するために必要な支援を提供する施設です。
具体的には、履歴書の作成や職業訓練、職場の紹介など、就職に必要な支援を受けることができ、一般就労に必要なスキルや知識を身につけることができます。
就労移行支援事業を利用する
就労移行支援事業は、障害がある方が一般就労へ向けて必要なスキルや訓練を受けることができる、サービスです。
特定の分野に特化した事業所もあるため、スキルを身に着け、一般就労へ大きな手助けになるでしょう。
無理のない範囲で一般就労をする
一般就労で働くことができたとしても、無理をして働くことはおすすめできません。一般就労で働く際には以下の点に注意をしましょう。
コミュニケーションを大切にする
職場では、上司や同僚とのコミュニケーションが重要となります。 困ったことや不安なことがあったら、遠慮せずに相談することが大切です。
体調管理と仕事を両立する
継続的に一般就労をしていくためには、体調を安定させることが必要不可欠です。
まず、主治医に相談して、自分が一般就労をする上で注意するべき点や企業側に求める配慮事項について確認しておきましょう。
また働いていく中で、体調の悪化を感じたり、自分が無理をしていると感じたりした場合は、すぐに上司に相談しましょう。
長期的に安定して働くためには、自分の体調が悪化しにくい環境を作ることと、万が一悪化したときに迅速に対応することが大切です。
体調管理と仕事を両立する方法については、こちらの記事「通院しながらでも仕事はできる?治療と労働を両立するためのポイントを紹介」で詳しく解説しています。
A型事業所を利用する手順
A型事業所を利用する手順は以下の通りです。
- 1. 市区町村の窓口で、A型事業所を利用するための申請をする
- 2. 担当者から現在の状況など聞き取りを受ける
- 3. A型事業所を利用するための受給者証を発行してもらう
- 4. 担当窓口やハローワークなどで自分に合った事業を紹介してもらう
- 5. 事業所から個別支援計画書を作成してもらい勤務開始
※状況により手順が前後する場合があります。
まとめ
A型事業所から一般就労へのステップアップは、現実的に可能です。
A型事業所を適切に活用し、キャリアアップを目指していきましょう!