ホルター心電図はどんな検査?検査の概要や仕事、生活への影響を現役看護師が解説

公開日 2023年3月30日 最終更新日 2024年2月18日

ホルター心電図は24時間もしくは数日の長期間にわたって心電図を記録し、動悸や不整脈などがおこっていないかをチェックする検査です。最近では医療機器が進歩し、痛みや苦痛なく簡便にホルター心電図検査ができるようになっています。

本記事ではホルター心電図の概要や検査中の仕事や生活への影響、検査の注意点を現役看護師がわかりやすく解説します。

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監修:谷 道人

沖縄県那覇市生まれ。先天性心疾患(部分型房室中隔欠損症)をもち、生後7ヶ月で心内修復術を受ける。自身の疾患を契機として循環器内科医を志す。医師となった後も、29歳で2度目の開心術(僧帽弁形成術)、30歳でカテーテルアブレーションを受ける。2018年琉球大学医学部卒業。同年、沖縄県立中部病院で初期臨床研修。2020年琉球大学第三内科(循環器・腎臓・神経内科学)入局。2022年4月より現職の沖縄県立宮古病院循環器内科に勤務。

【目次】

ホルター心電図検査とは

ホルター心電図検査は胸に電極を装着し、小型の心電計で長時間心電図を記録し解析する検査です。
検査中には“行動記録ノート”に、行動・症状などを正確に記入します。また、症状を自覚したら記録装置のスイッチを押し機械にも記録する場合があります。

心電図検査の種類と特徴

心電図検査には大きくわけて以下の2つの種類があります。

心電図検査 ホルター心電図検査(24時間心電図検査)
  • 胸、手首、足首 計10か所に電極を貼る
  • 病院で数分間長くとも3分程度の心電図を記録する
  • 心電図の電極を5か所貼り、心電図記録装置を腰に巻く
  • 24時間、最大で1週間程度継続して心電図が記録できる

画像出典:滋賀医科大学医学部付属病院 検査部

ホルター心電図検査はどんな人が受ける?

一般的にホルター心電図検査は、以下のような人に行われます。

  • 虚血性心疾患や不整脈の病気が疑われる
  • 胸の違和感や動悸、不整脈などを自覚していても、一般的な心電図検査やエコー検査などで異常が確認されない
  • 夜間や運動、仕事中など、特定の条件で胸の違和感を自覚する
  • 24時間もしくは数日間にわたって、不整脈について詳しく調べたい

ホルター心電図検査でわかること

ホルター心電図検査では、次のようなことがわかります。

  • 平均、最大、最小心拍数
  • 不整脈の頻度や種類・持続時間
  • 不整脈と行動の関係
  • 不整脈と自覚症状の関係
  • 入浴、食事、運動、仕事など労作時の心電図変化(機種によっては検査中に入浴できないものもあります)
  • 一日に心臓が動く回数(心拍数)

ホルター心電図検査にかかる時間

ホルター心電図検査計の装着に要する時間は5~10分程度です。その後最短24時間、最長で7日間装着します。使用する機器や検査内容によって、装着期間は異なります。

ホルター心電図計を外すのは数分で、ほとんど時間はかかりません。

ホルター心電図検査のメリット・デメリット

ホルター心電図検査の最大のメリットは、長時間心電図を記録できることです。長時間装着することで、通常の心電図検査ではキャッチしきれなかった不整脈も記録できる確率が高くなります。さらに、日常生活動作と自覚症状と不整脈の関係なども把握できます。

ホルター心電図検査のデメリットは検査機器によっては、入浴やシャワーができないことです。また電極をテープで固定するため、テープのかゆみや肌トラブルがおこってしまうケースもあります。また検査機器を取り外すために、翌日再度受診しなければならない場合があります。

ホルター心電図検査中の注意点やNG行動

正確なホルター心電図検査をおこなうために、いくつかの注意点があります。

まずホルター心電図検査中は、できるだけ普段と変わらない生活を送るようにしてください。その理由は、普段の生活でどのような不整脈が起こっているかを調べているからです。具体的な行動別の注意点を以下にまとめました。

  • 食事:制限はありません
  • 飲酒:制限はありません
  • 入浴・シャワー:機種によっては入浴できない場合があります
  • 睡眠:制限はありません。寝返りやうつぶせになっても検査結果に影響はありません
  • 仕事:一般的な仕事(事務職やエンジニア、接客業など)の場合は制限はありません。ただし、電気や電磁の強い場所での業務は検査結果に影響を与える可能性があるため、検査前に医師に相談しましょう。

なお、検査機器に関連した注意点は以下のとおりです。

  • 電極・シール:剥がしてはいけません
  • コード:強く引っ張ったりしないようにしましょう
  • 小型心電計:精密機器のためぶつけたり水にぬらさないようにしましょう

また、使用する検査機器によっては注意点が異なる場合があります。必ず、医師・看護師・検査技師の指示に従って、正しく検査を受けるようにしましょう。

より手軽に!進化するホルター心電図

従来のホルター心電図は、機械とコードを付けなければならず生活に制限がありました。機械自体も500g程度と重く、入浴やシャワーなどの制限があったり、翌日にも受診して検査機器を返却したりしなければならなかったのです。

これらのさまざまな課題を解決する新しいホルター心電図計、Heartnote®(ハートノート)が注目を集めています。

Heartnote®は大きめの絆創膏くらいのサイズに軽量化され、コードや記録装置はありません。電極と記録装置を一体化したHeartnote®を皮膚に直接貼るだけなので、検査中の負担も軽減されます。

また、防水使用のため、シャワーや半身浴もできるように工夫されています。さらに、従来のホルター心電図計よりも長期間、最大7日間のデータを測定できるのも大きな特徴です。

最近はHeartnote®を導入する医療機関も増えています。コードや記録装置を煩わしく感じていた方は、Heartnote®でのホルター心電図検査をおすすめします。

ホルター心電図のよくある質問を看護師が徹底解説

ここからは、少しでも安心してホルター心電図検査が受けられるよう、さまざまな質問に回答していきます。

Q:痛みはありますか?

A:検査自体に痛みはありません。ただし、電極を剥がすときに違和感や痛みを感じるケースもあります。

Q:検査の結果はいつわかりますか?

A:使用する検査機器にもよりますが、測定結果の解析には1週間程度の時間がかかります。最短2時間程度で測定結果が解析できる検査機器もありますので、検査時に確認してください。

Q:検査で異常が指摘されたらどうしたらいいですか?

A:「ホルター心電図検査で異常がありました」

このように医師から告げられたら、とても不安だと思います。もしも、ホルター心電図検査で異常が指摘されたら、速やかに治療を開始しましょう。治療や経過について不安なことや疑問は、適宜主治医や看護師に確認するようにしてくださいね。

Q:検査はしたくないです…延期できますか?

A:「もしも病気が見つかったら…」「なんだか面倒」

さまざまな理由で、ホルター心電図検査を延期したいと思うかもしれません。ホルター心電図検査は、一般的な心電図検査ではわからない異常を発見できる可能性がある検査です。動悸や不快感など何らかの自覚症状がある場合は、早めの検査をおすすめします。

どのくらい延期できるかや、検査を延期することのリスクについては、主治医に必ず確認しましょう。

Q:週末、ゴルフに行きます。仕事やプライベートに制限はありますか?

A:一般的に制限はありません。

しかし、検査機器によっては汗をかいたり激しすぎる運動で、電極がずれたり剥がれたりする原因にもなります。また、ゴルフの後にシャワーを浴びれない…なんてことも起こりうる可能性があります。できれば、延期したほうがいいのかもしれませんね。医師や看護師・検査技師と相談しながら、正確に検査がおこなえるようにしたいですね。

まとめ

ホルター心電図検査は心電図検査の一種です。普段と変わらない生活をしながら心電図を記録し、短時間の心電図検査ではわからない不整脈などがチェックでき、病気の早期発見・診断・治療に繋がります。痛みや苦痛の少ない検査ですし、最近は検査機器が進化しより負担なく検査ができるようになっています。

医師から検査をすすめられたら、ぜひ一度ホルター心電図を実施してみてくださいね。

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大学看護学部卒業後、小児・内分泌・循環器科で勤務。看護師として働きながら、知識と経験を活かし医療ライター・監修者として活躍中。https://odaakari.com/