公開日 2023年6月20日 最終更新日 2024年9月12日
心臓病を抱えていると、どの食べ物が身体に負担が少ないのかを気にする方は多いのではないでしょうか。
心臓病の症状を悪化させないためには、心臓への負担になりにくい食べ物を取り入れることが大切です。この記事では、心臓病に良い食べ物や食習慣についてご紹介します。
おすすめの食べ物と避けるべき食べ物を把握すれば、心臓病の悪化予防につながるでしょう。
監修:谷 道人
沖縄県那覇市生まれ。先天性心疾患(部分型房室中隔欠損症)をもち、生後7ヶ月で心内修復術を受ける。自身の疾患を契機として循環器内科医を志す。医師となった後も、29歳で2度目の開心術(僧帽弁形成術)、30歳でカテーテルアブレーションを受ける。2018年琉球大学医学部卒業。同年、沖縄県立中部病院で初期臨床研修。2020年琉球大学第三内科(循環器・腎臓・神経内科学)入局。2022年4月より現職の沖縄県立宮古病院循環器内科に勤務。
【目次】
心臓病に良い食べ物
心臓病に良い食べ物とは、どのようなものなのでしょうか。ここでは代表的な食べ物についてご紹介します。
野菜・果物
野菜や果物には心臓病の悪化を防ぐような栄養素が多く含まれています。
たとえば、食物繊維には血中コレステロールの濃度を低下させたり、血糖値の上昇をおさえたりする働きがあります。ミネラルの1種であるカリウムには、塩分の排泄を促して血圧を下げる効果も期待できるでしょう。
このように、野菜や果物は心臓病を抱えている方はもちろん、さまざま病気の予防にも役立つ食べ物です。普段の食事で野菜や果物を食べる機会が少ないと感じている方は、ぜひ積極的に取り入れてみましょう。
大豆製品
豆腐や納豆をはじめとした大豆製品には、ビタミンやミネラルが豊富です。ミネラルの1種であるマグネシウムには血糖値や血圧を調整する働きがあります。さらに納豆に含まれている「ナットウキナーゼ」には、血液をサラサラにする働きがあります。
ただし、ワーファリンなどを服用している方は納豆を食べないように注意しましょう。納豆に含まれているビタミンKを摂取すると血液が固まるのを防ぐワーファリンの効果が弱まるので、組み合わせには気をつけてください。
ナッツ類
ナッツ類には身体の酸化を防ぐビタミンEが多く含まれています。身体が酸化すると細胞や血管がダメージを受けるため、心臓病の症状悪化につながります。
ビタミンEの摂取で酸化を防ぐことで、血管の正常な状態を維持しつつ、動脈硬化をはじめとした病気の予防にもなるでしょう。ただし、ナッツ類は塩分や油分が多い傾向にあるので、食べ過ぎには注意する必要があります。
青魚
青魚には「不飽和脂肪酸」と呼ばれる脂質が含まれています。不飽和脂肪酸には、血中のコレステロールを減少させて血液をサラサラにする働きが期待されています。そのため、心臓病の悪化を防ぐことが可能です。
このように、「脂肪」と聞くと身体に悪いイメージを持たれがちですが、不飽和脂肪酸に関しては積極的に摂っておきたい栄養素の1つといえるでしょう。特にサバやサンマ、イワシなどの青魚には不飽和脂肪酸が多く含まれています。
豚肉
豚肉にはビタミンBが多く含まれているので、心臓病の方にとってはおすすめの食べ物です。それぞれのビタミンBの働きは、以下の通りです。
- ビタミンB2:脂肪の代謝に関係する
- ビタミンB6:血中濃度を正常にする
- ビタミンB12:神経の機能を正常にする
上記の働きは心臓病の悪化を防ぐための役割も担っています。肉類を食べるときは、豚肉を積極的に食べるようにしましょう。その他にも、ビタミンBはレバーや納豆、乳製品にも豊富に含まれています。
チョコレート
チョコレートの摂取も、心臓病のリスクを軽減する効果があると報告されています。チョコレートに含まれているポリフェノールには抗酸化作用があるため、その効果によって心臓病の発症を予防できるといわれています。
しかし、チョコレートには糖分や脂肪分が多く含まれているので、心臓病の悪化予防として積極的に食べるのはおすすめできません。基本は他に紹介した食べ物を中心に食べつつ、おやつとして少しのチョコレートを取り入れるのが望ましいでしょう。
オリーブオイル
オリーブオイルも、心臓病のリスクの軽減が期待できる、という研究結果があります。
オリーブオイルをには、不飽和脂肪酸が多く含まれます。青魚にも多く含まれるこの不飽和脂肪酸は、前述の通り血中のコレステロールを減少させます。
またオリーブオイルだけでなく、エゴマ油やアマニ油も心臓や血管にとって良い油とされています。
心臓病に悪い食べ物の特徴と食習慣
一方で、食べ過ぎると心臓病に悪影響を与える食べ物もあります。ここでは心臓病に悪い食べ物や食習慣について解説します。
脂肪の多い食品
以下のような脂肪分の多い食品の食べ過ぎには注意しましょう。
- ベーコン
- ソーセージ
- マーガリン
- パン
- ケーキ
このような加工食品を食べ過ぎると血中のコレステロールが増加して、血管や心臓への負担が高まります。心臓病に悪影響となるだけでなく、肥満や動脈硬化といった疾患につながるリスクも高まるでしょう。
また、脂肪といっても先ほど説明した「不飽和脂肪酸」は、心臓病の方にとっては摂取しておきたい栄養素です。肉ではなく、魚を中心とした食生活に切り替えるのをおすすめします。
塩分の多い食品
塩分の多い食品を食べ過ぎると血圧が高まり、心臓にかかる負担が高くなります。塩分の多い食品は以下の通りです。
- ラーメンなどの丼もの
- ウインナー
- 塩味系のスナック菓子
塩分の摂りすぎも脂肪分と同じように、他の疾患を引き起こす原因となります。食事の際は、なるべく醤油やソースなどの調味料をかけすぎないように注意しましょう。
アルコールの摂りすぎ
アルコールの摂りすぎは高血圧や不整脈の原因となるため、お酒の飲み過ぎは控えましょう。一方で、アルコールは適量であれば循環器疾患をはじめとした病気の予防につながるとされています。アルコールの1日の適正量は、ビール中ビン0.5本、日本酒0.5合相当です。
この適正量はあくまでも一般的なもので、全ての方に当てはまるわけではありません。お酒をよく飲んでいる方は、量を減らしたり飲酒をしない日を設けたりなどの対策をとりましょう。
出典:アルコールと循環器疾患 – e-ヘルスネット – 厚生労働省
カフェインの摂りすぎ
カフェインを摂りすぎると自律神経が乱れやすくなり、心臓にかかる負担が高まる恐れがあります。1日に適切なカフェインの摂取量は400mgだといわれており、これはコーヒー約3杯分に相当します。
適量であれば自律神経を整えたりする効果が期待できるので、カフェインが含まれているコーヒーやお茶の飲み過ぎには注意しましょう。コーヒーをよく飲む方はカフェインが少ない、あるいは含まれていない商品を選択して適量を守ることをおすすめします。
心臓病を悪化させないための食事のポイント
心臓病を悪化させないためには、おすすめの食べ物を取り入れるだけでなく、食事の仕方にも気をつける必要があります。食事をするうえでのポイントとしては、以下の通りです。
- 満腹になるまで食べるのではなく、腹八分目を守る
- 1日に必要な摂取カロリーを超えないようにする
- 栄養バランスを整える
- 急いで食べずによく噛む
たとえ心臓病に良い食べ物を取り入れたとしても、食べすぎたり栄養バランスが偏っていたりしたら意味がありません。上記のポイントを守りつつ、食事を楽しむようにしましょう。
心臓病に良い食べ物の摂取と食生活を心がけよう
心臓病に良い食べ物についてご紹介しました。今回の記事を参考にして、心臓病に悪い食べ物を避けつつ、おすすめの食品を中心に取り入れていきましょう。
また食べ物を吟味するだけでなく、食習慣を整えることも大切です。心臓病の悪化防止を心がけ、いつまでも健康な生活を送れるようにしましょう。