公開日 2022年8月30日 最終更新日 2023年9月28日
心臓病の治療のために通院するときに、仕事と治療の両立に悩む方は少なくありません。
正社員であれば年次有給休暇で処理ができますが、非正規雇用の場合は、休むと欠勤の扱いになってしまうことも。
仕事を休むことで、収入が減少するという理由で、休むことに対して躊躇してしまう方も多いでしょう。
今回は、通院する有給休暇のことや治療を続ける場合、上司や同僚にどのように理解を得るのかについてご紹介します。
【目次】
通院のために仕事を休む場合の処理は?
まず通院のために仕事を休む場合は、どのような休みの処理をするのでしょうか?
正規雇用の場合は、年次有給休暇という休暇制度があります。しかし職場環境によっては、有給休暇を取りにくい環境の職場もあります。
また、非正規雇用の場合は欠勤扱いになるのでしょうか?「年次有給休暇」と「非正規雇用」について解説していきます。
正規雇用の場合は、有給休暇を利用しよう
正規雇用で働いている場合は、「年次有給休暇」を利用しましょう。
年次有給休暇は、一般的には有給休暇と呼ばれます。年次有給休暇は、労働者が希望する日に休みを取ることができる制度です。こちらの制度は、労働基準法で定められた制度で、労働者に与えられた権利です。
有給休暇は、「有給」の「休暇」なので、働いた場合と同額の給与が支給されます。
労働基準法において労働者は、
- 半年間継続して雇われていること
- 全労働日の8割以上を出勤している
この2点を満たしている労働者は、年次有給休暇を取得することができます。非正規雇用者でも上記の2点が満たせてる場合は取得できます。
有給休暇の申請には、会社ごとにルールがあるかと思います。事前に通院する日がわかっている場合は、会社のルールに沿って前もって有給休暇をしとくしておきましょう。ただ、会社のルールはあくまで会社内のルールです。体調を崩してしまうなどして、急に休みが必要な場合は、仮に会社のルールから外れることになったとしても、休みを取り病院へ行きましょう。有給休暇は、労働者の義務なので胸を張って休み希望を申請しましょう。
また有給休暇を全て使い切ってしまった場合は、欠勤となってしまうため有給休暇の使い方には注意が必要です。
非正規雇用の場合は、欠勤の扱いになる?
雇用形態に関わらず、パートや派遣労働者でも労働基準法の規定を満たせば、一定の年次有給休暇が付与されます。
雇用形態にかかわらず、雇用された日から6か月間在籍し、その6か月間の出勤率が8割以上であれば、労働基準法の決まりで一週あたりの所定労働日数に応じて有給休暇が取得できます。
しかし年次有給休暇がない非正規雇用の方は、欠勤扱いとなり、収入に影響が出ます。
通院と仕事を両立するためには?
仕事が忙しかったり、そう簡単にお休みが取れない環境の場合は、上司や同僚にお休み希望を言いにくいこともあります。
しかし通院と仕事を両立するためには、職場に説明し理解してもらうことが必要不可欠です。
上司や同僚に相談する
まずは、上司や同僚に病気のことを説明しましょう。そして、通院の時間帯や通院回数などを工夫し、定期的に休むことを理解してもらいましょう。
自分一人で考え込むのではなく、上司や会社に事情を説明することで、格段に行動しやすくなります。
病気のことは隠さない
病気のことは、上司や同僚に隠す必要はありません。病気のことを知られたくない気持ちも分かりますが、病気を隠して無理に働いてしまうと体調を崩してしまう可能性が高くなります。
また通院のために有給休暇を取るたびに、病気のことを隠さなければいけなくなります。隠し事をすると、精神的にも悪い影響が出る可能性もあるので、入社する時点で自分の病気について職場に伝えましょう。
有給休暇以外にも役立つ制度がある
会社によっては、年次有給休暇以外にも「病気有給休暇」「休職制度」などといった会社独自の休暇制度がある場合も。
職場によっては、自分でその旨を伝えないと教えてくれない会社もあるので、まずは就労規則を読んで、上司や同僚に相談してみましょう。
休みが取りやすい仕事に転職することも手段の1つ
年次有給休暇があっても、取得しにくい職場があります。
そのような場合に、無理をして働き続けるのではなく、休みが取りやすい職場に転職することも手段の1つです。転職すべき職場環境については、こちらの記事「心臓障害の方が転職すべき職場とは?体に負担をかけずに働く方法」で解説しています。
通院のために休みが取りやすい仕事とは?
では、通院のために休みが取りやすい仕事とはどのような職種なのでしょうか。
休みが取りやすい職種の代表例としては、一般事務職が挙げられます。
一般事務の仕事は、周りからのサポートが受けやすく、また緊急性の高い仕事を任されることも少ないため、比較的休みが取りやすい職種です。
また一般的に、従業員数が少ない企業よりも、多くの従業員がいる大手企業の方が休みが取りやすいと言えます。企業規模が大きくなるほど、休んだ社員のサポートをする人員も多くなるため、一人の社員が1日休んだとしても、会社への影響はありません。
休みが取りやすい仕事に転職する方法
心臓病の疾患持ちの場合は、障害者雇用で転職活動をする方が多いと思います。では、どこの就労支援サービスを利用したら良いのでしょうか。
代表的なものとして、以下があげられます。
- 障害者雇用専門の転職エージェント
- 就労移行支事業所
障害者雇用専門の転職エージェントでは、求人の紹介や面接対策など、転職活動全般のサポートを受けられます。求人数が多く、さまざまな企業へ応募が可能です。また全てのサービスを無料で利用できます。
就労移行支援とは、企業で働くために必要なスキルや、ビジネスマナーなどを学びながら、転職の準備をする施設です。専門知識を持ったスタッフのサポートを受けられるため、初めて転職する方に特におすすめです。
今の仕事を続けたいなら辞める必要はない
治療が長引いたり、入院が必要になったりする場合もありますが、今の仕事を続けたい場合は無理に辞める必要はありません。
企業側に病気について理解してもらい、有給休暇や休職制度を活用し、無理なく働き続けられる環境をつくりましょう。
また会社は辞めたくないが、上司や同僚に理解がなくて治療に悪影響が出ているという場合は、人事部や社内の信頼できる人に相談しましょう。通院のために会社を休むことは、誰にでもある正当な権利です。そして企業にはその権利を守る義務があります。
せっかくある権利ですので、堂々と使いましょう。
まとめ
今回は、通院するために仕事を休む場合の対処法についてご紹介しました。
正規雇用者の場合は、年次有給休暇を利用して、非正規雇用者の方も年次有給休暇が取得できる場合は利用しましょう。
また上司や同僚に、病気について理解してもらうことは、治療と仕事を両立するために必要不可欠です。自分の口から、説明し理解を得ましょう。