心臓病患者は診断書が必要?診断書の必要性や疑問を徹底解説

公開日 2022年12月15日 最終更新日 2024年2月18日

“診断書”は医師法で医師が作成する書類と規定されています。患者の診断名や病状・治療内容を証明する書類です。

心臓病を抱える患者さんは、さまざまな場面で診断書を取得する機会があります。診断書はあなたが心臓病と共に生きていくうえで、心強い味方となってくれます。心臓病患者さん・ご家族、関係者の方はぜひ本記事をご一読ください。

【目次】

“診断書”を正しく理解しよう

“診断書”という言葉を知っていても、どのようなときに必要なのか、どうすれば入手できるのか知らない方もいるかもしれません。特に心臓病と診断されて間もない方は、診断書が必要なのか判断に困る場面があるのではないでしょうか。

診断書について正しく理解し適切に使用できると、あなたの生活や仕事、経済面で強い味方となります。

本記事では、現役看護師が診断書について患者さんから質問されるポイントを中心に、わかりやすくまとめています。診断書を貰った経験がない方も、診断書を貰った経験がある方もぜひご一読ください。

診断書はどのようなときに必要?

診断書はどのようなときに必要なのでしょうか。代表的な4つの例を紹介します。

休職・休学するとき

休職・休学、いわゆる仕事や学校を一時的に休む場合に診断書が必要です。

診断書を提出すれば、欠勤や欠席扱いにならないなどの配慮が受けられます。

治療や後遺症、症状の悪化を防ぐなど理由や期間はお一人おひとり異なります。

就業・修学上の配慮を求めるとき

心臓病患者さんが就業や修学をするために配慮を求める状況は、以下が想定されます。

  • 立ち仕事や重いものを持つ、走るなど身体的な負荷がかかる状況
  • 夜勤や交代勤務など、業務自体が身体的な負荷となる状況
  • 服薬や通院などで就業時間や休暇の調整が状況
  • ペースメーカーやIDCを挿入し特定の電波や電流が発生する業務ができない状況

このようなさまざまな状況に対して、必要かつ合理的な範囲で就業・就学の環境や状況を調整することを「合理的配慮」といいます。正しく症状を伝えて合理的配慮を求めるために、医師の診断書が必要なのです。

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福祉制度の申請をするとき

心臓病患者さんの中には、生活や金銭面で福祉制度を利用するケースがある方もいます。福祉制度の利用申請をおこなう場合も診断書が必要です。心臓病患者さんが利用できる福祉制度には、以下があります。

  • 障害者手帳
  • 障害年金
  • 傷病手当金

健康保険や労災保険、生命保険の申請をするとき

保険の申請にも医師の診断書が必要です。必要な書式や記載すべき内容は、それぞれ異なっています。専用の用紙に記載しなければならない場合もあるため、あらかじめ確認しましょう。

診断書申請時の注意点

診断書はかかりつけ医療機関の診断書などの文書を専門に取り扱う部署に依頼します。どのように依頼すべきかわからなければ、医師や看護師、ソーシャルワーカーに相談しましょう。

本人もしくはご家族、ご家族以外の方が診断書の申請をする場合に、それぞれ必要なものが異なります。

本人の場合
  • 診察券
  • 健康保険証(医療券)
  • 診断書の用紙
家族の場合
  • 診察券
  • 健康保険証(医療券)
  • 診断書の用紙
  • お申込みされる方の身分証明証(運転免許証・マイナンバーカード・パスポート等)
保険会社など家族以外の場合
  • 診察券のコピー
  • 健康保険証のコピー
  • 診断書の用紙
  • お申込みされる方の名刺(保険会社の方)
  • 委任状(原本)

(注)委任状は任意の書式で結構です。

出典:診断書、証明書等の受付・発行について 国立がんセンター中央病院

さらに、診断書の目的や提出先によって、様式や事前に確認すべき項目が異なります。あらかじめ提出先に確認し、診断書の作成を依頼しましょう。以下はその一例です。ぜひ参考にしてください。

診断書・証明書等の種類 確認事項
院内書式を用いた診断書 指定された書式や用紙がない場合に依頼する診断書。必要な証明項目を確認し記載してもらう(診断名、入院期間、加療見込み等)
傷病手当金意見書 勤務先へ労務不能期間の確認をする。労務不能期間を経過した後でないと申請ができない。
身体障害者診断書 病状や治療内容によっては、適応外のケースがあるため、あらかじめ医師に身体障害者に該当するか確認する。
診断書・証明書等の種類 証明する入院期間、通院証明の有無や証明する通院期間を確認する。
加入保険によって必要となる手術、化学療法、ホルモン療法、放射線治療、先進医療の証明の要・不要を確認する。

出典:診断書・証明書 医療法人社団 三喜会 横浜新緑総合病院

診断書をもらいたい方必見!解決しておきたい5つの疑問に現役看護師が回答

初めて診断書をもらう方の中には、さまざまな疑問を抱えている方もいるかもしれません。今回は診断書をもらう前に解決しておきたい5つの疑問を、現役看護師がわかりやすく解説します。

Q1:診断書はどうすればもらえるの?

かかりつけ医療機関に申請するともらえます。

Q2:診断書は誰が書く?

主治医や担当医など、診断や治療にかかわった医師が記載します。

Q3:“診断書をもらえない”ことってあるの?

あります。

障害年金や傷病手当などは、該当がなければ診断書をもらうことができません。

さらに、実施していない治療・処置や異なった診断名、不適切な治療期間や療養期間など虚偽の診断書ももらえません。

Q4:診断書取得にかかる費用はいくら?

診断書の書式や枚数・医療機関によって費用は異なります。1通あたり2000~8000円とばらつきがありますので、申請前に医療機関に確認しましょう。

また、診断書取得にかかる費用は医療費控除の対象にならない点に注意が必要です。

Q5:診断書は診察当日にもらえるの?

一般的には診察当日には貰えません。その理由は、診断書の記載には時間を要するからです。1日に何人もの患者さんが診断書をお願いすると、診察もままならなくなってしまいます。

診断書の取得までに要する期間は1~2週間程度です。自分で医療機関に受け取りに行く場合と、自宅に郵送する場合がありますので、必ず医療機関に確認しましょう。

診断書には何が記載される?現役看護師が徹底解説

診断書に記載される一般的な内容は以下のとおりです。

【患者側の情報】

  • 氏名・性別
  • 生年月日・年齢
  • 病名・診断名
  • 症状
  • 特記事項
  • 記載日

【医療者側の情報】

  • 医療機関所在地
  • 医療機関名
  • 診断書記載医師名
  • 押印

一般的な診断書

一般的な診断書の場合、フォーマットは医療機関ごとに異なっています。先述した一般的な内容が網羅されていれば、どのような書式・サイズを使用しても法律上は問題ないからです。

一般的な診断書には統一されたフォーマットがないため、申請先から指定された記載内容・項目がある場合には、申請時に記載してもらえるか確認すると漏れがなくて安心です。

用紙指定の診断書

診断書の申請目的によっては、指定されたフォーマットでの診断書の記載を求められることがあります。たとえば障害者年金や身体障害者の診断書です。フォーマットは年金事務所や自治体のホームページから入手できます。

入手方法がわからない、指定されたフォーマットがあるかわからない方は、医療機関に確認するとよいでしょう。

以下は障害年金と身体障害者のフォーマット例です。ぜひ参考にしてください。

■障害者年金(循環器疾患の障害用)(様式第120号の6-(1))

■身体障害者診断書・意見書  心臓機能障害 18歳以上用 神奈川県

出典:身体障害者福祉法第15条指定医の指定及び身体障害者診断書作成の手引きについて 神奈川県 

心臓病患者は診断書が必要です!困ったら医療機関や主治医に相談を

診断書はあなたの病状や治療内容、生活や仕事で必要な配慮を医師がまとめた書類です。心臓病患者さんは休職や仕事上の配慮を求める場合、障害者手帳取得など福祉制度の利用などさまざまな場面で診断書が必要になります。

また、診断書を発行してもらうには日数を要することや、診断書の使用目的や提出先によって様式や内容が異なる点に注意してください。診断書が必要な方は、時間に余裕をもって主治医に相談・依頼するとよいでしょう。

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大学看護学部卒業後、小児・内分泌・循環器科で勤務。看護師として働きながら、知識と経験を活かし医療ライター・監修者として活躍中。https://odaakari.com/