障害者手帳は持つべき…?心理的な抵抗があるときに知っておきたい取得のメリット

公開日 2023年1月10日 最終更新日 2023年11月8日

障害者手帳を取得するのには、抵抗がある…。後天的な障害を患った場合は、特にそんなモヤモヤを抱きやすく、手帳を取得することに躊躇してしまうこともあるでしょう。だが、障害者手帳をすることは、自分にのしかかる負担を軽くし、健康を維持していくことに繋がります。

今回は、私自身が持っていてよかったと思った体験談も交えながら、障害者手帳の取得にはどのようなメリットがあるのかを紹介します。心理的抵抗を軽減するきっかけのひとつとして、役立ててほしいです。

また障害者手帳については、こちらの記事「心臓疾患の人は障害者手帳を持つべき?メリットや申請方法について解説」で詳しく解説しています。

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執筆:古川 諭香

フリーライター。単心室・単心房のため3度の手術を経験。根治は難しいものの、フォンタン手術後、日常生活が普通に送れるように。愛猫の下僕で本の虫でもある。(Twitter:@yunc24291)執筆記事一覧

【目次】

そもそも障害者手帳はどうすれば取得できるの?

内部障害 障害者手帳

障害者手帳を取得するにはまず、各市区町村の福祉窓口で申請の手順を確認しましょう。申請には、医師による診断書・意見書、本人写真が必要となるので、適切な準備が必要です。なお、身体障害者手帳の場合は申請後、およそ1ヶ月程度で発行されると言われています。

障害者手帳を持つことは、「私は障害者である」と証明することになるため、抵抗感を持って当然。しかし、障害者手帳を取得してこそ得られる支援やサポートは多いので、自分の心と向き合いながら、申請を検討していきましょう。

障害者手帳の取得によって得られるメリット

障害者雇用枠で働くことができる

障害者手帳は、持病の証明になります。障害者は一般雇用枠で職探しをしても問題はないとされていますが、障害者雇用枠で就職活動をすると、持病への理解が得られやすい職場に出会いやすくなります。

持病を隠しながら働くと、体調が悪化したときや万が一のときに会社に頼ることが難しいので、初めからオープンにして職探しをすることは、未来の自分を守るひとつの手段となるでしょう。

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公共交通機関の運賃が割引になる

鉄道やバスなどの公共交通機関で障害者手帳を提示すると、運賃が割引されます。ただし、鉄道会社やバス会社によって割引される条件は異なるため、事前に確認が必要です。

なお、高速道路も身体障害者本人が運転する場合や手帳第1種の障害者が同乗している場合は、通常料金の50%割引となります。ETCを利用する人は事前に、住んでいる地域の福祉窓口で障害者手帳を提示してETCカードの利用手続きを。そうすると、50%の割引が受けられますが、ETCの場合は有効期限が設けられているため、更新の必要があります。

医療費が控除される

私が1番、障害者手帳を持っていてよかったと思うのは、医療費の控除を受けられることです。私の場合は1級の身体障害者手帳を持っているため、医療費は全額免除されます。定期健診や投薬治療は生涯、受け続けなければならないので、こうした制度は金銭的にとてもありがたいです。

また、持病の治療だけでなく、その他の治療費も全額免除。そのため、持病から起因する病気や異変を早期治療できるので、助かっています。

私は単心室・単心房症であり、無脾症候群。健常者よりも免疫力がなく、虫歯になりやすかったり、風邪を引きやすかったりし、病院にかかる頻度が多いので、金銭的に治療を見送って体を壊すということが起きない、この制度にとても感謝しています。

障害基礎年金を受け取れる場合がある

心疾患者の場合は、心臓という体の中でも重要な臓器に障害がみられるため、障害者手帳の等級が高くなりやすいという話を耳にしたことがあります。だからこそ、障害者手帳を取得した後は重度の障害者を対象にした、「障害者基礎年金」の対象に自身が当てはまっているかもチェックしてほしいです。

障害基礎年金の受給には、いくつかの条件があり、申請時には主治医の診断書を添付する必要があります。そのため、主治医と相談しながら、申請書を作成していきましょう。

ただし、障害基礎年金は申請がなかなか通りにくいと言われており、私自身も過去に申請したことがありますが、通りませんでした。そのため、そういった現状があることを頭に置きつつ、過度な期待はせず、申請してみてください。

障害年金については、こちらの記事「心臓疾患で障害年金はもらえるの?障害年金の仕組みと認定基準を徹底解説」で詳しく解説しています。

障害を受け入れてこそ開ける未来がある

障害者手帳を持っていることで受けられる控除や福祉サービスは、意外と多いもの。今回紹介した以外にも、NHK受信料や美術館などへの入場料、映画代などが割引になったり、通院用の自家用車の自動車税も免除されたりするなど、受けられる恩恵はたくさんあります・(自動車税の免除は上限金額あり)

障害者手帳を申請することに抵抗を感じる人は、こうしたサービスを受けることに対しても申し訳なさを感じてしまうこともあるでしょう。私自身も、かつてはそうでした。しかし、全てのサービスを受けようと考えず、どのサービスが自分の負担を軽減してくれるかを考え、心が苦しくならない範囲で頼ってみたら、日常で感じる負担が減り、少し楽になれました。

与えられたサービスを当たり前のものだと驕らず、感謝しながら受け取れば、障害者手帳を取得することには意味があると思え、持病とも付き合っていきやすくなると思います。

自分が障害者だと認めるのは勇気がいりますし、悲しみも感じます。しかし、認めてこそ、開ける未来もあると私は思っています。

持病を重荷に感じ、自分を責めすぎない生き方をするためにも、障害者手帳を取得することで得られるメリットを知り、未来を前向きに考えてほしいです。

フリーライター。単心室・単心房のため3度の手術を経験。根治は難しいものの、フォンタン手術後、日常生活が普通に送れるように。愛猫の下僕で本の虫でもある。(Twitter:@yunc24291)