できないことを受け入れるために、できることに目を向ける

公開日 2023年2月27日 最終更新日 2023年11月11日

「できないことを受け入れる」ってそんなに簡単にできますか? 私はできませんでした。だってやってみなきゃわからないし、コツコツ続けてればできるようになるかもしれないし。よく言うじゃないですか、自分で壁を決めるな、と。実際のところ、できないことを追い求めて、ずいぶんと自分の体に無理をさせてしまいました。

実は今も、自分でコントロールできないけれど、絶対に成し遂げたい願いを持っています。願いの実現に向かっていくやり方を変えました。イメージだけで突っ走るのを止めて、日々の生活の中でできることを具体的に実践する方法です。

そこに至るまでの実践編を紹介します。簡単です!

ライターの画像

執筆:tomo-yoshi

白血病からの薬剤性心筋症。2019年に植込み型補助人工心臓(VAD)HeartMate3を装着し、心臓移植待機中。VAD装着を機に転居した東海地方で近辺の観光を楽しむ。執筆記事一覧

【目次】

頑張ればできるようになる?

「できないことの受け入れ方? できないものはできないんだからあきらめるしかないじゃん?」そう割り切れればどんなにいいでしょう。

大学卒業と同時に白血病になった私は、「人より遅れた分、もっと頑張らなきゃ。健康な人と同じようにできるようにならなければ」と自分を駆り立てて生きていました。病気を経験して大活躍している人はたくさんいます。

できない理由は病気自体にはないように思えます。「自分が思うように活躍できないのは、頑張りや努力が足りないからだ」と、深夜まで、土日も、健康な人と同じように活動していました。「どういう病気をしたのか考えろ」「体を大事にしろ」と何度言われても、「健康な人と同じように」という思い込みに縛られていました。

ある時は、私の行動が「ブレーキが壊れた自転車で坂道を下っているみたい」と言われたこともありました。(わかってるなら止めてほしかった)

当時の私は、「仕事をする→調子に乗って無理をする→入院。休むことで身体が回復→退院。仕事に戻り、調子に乗って無理を…→入院…」というパターンを繰り返していました。

白血病治療のための抗がん剤の副作用による心筋障害から、年を追うごとに心不全を悪化させていきました。できないことを受け入れたというよりも、できないことが増えていき日常生活を送ることで精一杯になっていった、という状況でした。

この期間、運よく致命的な事態にはならなかったわけですが、今は補助人工心臓を装着し心臓移植を待つ身。

神様は、神様がいるとして、私に何度も教えてくれていました。「分不相応なことを望んでいるんじゃないの?」と、色々な人の口を通して、様々な私の身体の症状を通して。しかし、私は気付けなかった。自分にはできないということを認めたくなくて、ただ無茶をしていたのかもしれません。気付くのはいつも取り返しがつかなくなってからです。

「できないことを受け入れる」ということは簡単ではありません。ですから、自分にないものやできないことに意識を向けるのではなく、目の前にあるものやできることをおろそかにせず、一つひとつ実践していけば良いのではないでしょうか。

もっとも成し遂げたいことにフォーカスする

今、私がもっとも成し遂げたいことは、一日も早く心臓移植を受けて、自由の身になること」。

多くの移植登録者の方が同じ想いを持っていることでしょう。しかしこれは、いくら強く願っても「明日、心臓移植が受けられることになりました」とはなりません。実際、私よりも長く待機している患者さんがいます。

当初、この想いにからめとられて、気持ちを落ち着かせることができずにいました。待ち人は来ないのに、「早く、早く」と焦る思いでただ待っているように。

目標は自分でコントロールできることを

そんな時、ロバートフリッツ氏のメソッドに出会い、大事なことを知りました。

「移植を1日も早く」という欲求は、あまりに遠すぎて、希望的観測にすぎません。遠すぎる欲求は、以前の失敗と同じパターンを招き、自滅の道です。

そこで、私は、自分でコントロールできることを目標にしました。

  • 移植が叶うとき、万全の体調でいること
  • 手術後に速やかに退院し、すぐに独立した生活を営めるように、体力をつけること
  • 入院や移植にかかる費用を賄い、その後の自立した生活のために、資金を蓄え、仕事を続けて収入を得ていること

この目標達成のために、日々の生活の中でできることを実践しています。

目の前にあることから

私に新しい視点をくれたのは、ロバートフリッツ氏のメソッドです。

そもそもロバートフリッツ氏との出会いは、会社の社長に渡された1冊の本です。

補助人工心臓の手術からの復帰後の最初の仕事として、「これを勉強して、社内に展開して」という指示でした。4ヵ月の長期入院後も籍を継続して頂いて、リモートワークでも仕事があるということが嬉しくて、早速勉強を始めました。

訳者である田村洋一氏(メタノイアリミテド代表)のSNSをフォローして、ロバートフリッツ氏によるセミナーがあると知り、受講しました。今も学びを続けています。

そして、「はとらく」で記事を書く仕事も、「ライティングができるようになりたい」という気持ちで応募しました。初めからできていたわけではありません。

私はフットワークは軽い方ではないし、行動力も並みです。ただ、目の前にあるもの、差し出されたものを、とりあえず恐がらずやってみる、という気持ちで向かっています。

小さなことから始める

たとえば、入院中。リハビリとして病棟内を歩くことを勧められます。病棟内を1周しても大した運動にはなりませんし、ただ歩きまわるのは飽きてしまい、結局やらなくなってしまいます。

私が行った病棟内ウォーキングの工夫は、

  • トイレや歯磨き等、ベッドから離れるついでに遠回りしてウォーキング
  • スマホでラジオや音楽を聴きながら(最近の病棟はWi-Fiが使えて嬉しいです)
  • 外来棟を利用するときは階段を使う
  • 病棟内10週を1セットにして、1セット毎小休憩(病棟のサイズにもよりますが)
  • 早歩き、大股歩きで負荷をかけ、インターバルでゆっくり歩く、など緩急をつける

このような小さな行動を続けることが、日々の習慣を生み、遠くの大きな願いの実現につながっていくと信じています。

まとめ

私が取り入れたメソッドは、ロバーツフリッツ氏の書籍に詳しくあります。

  • IDENTITY 自意識と創り出す思考(Evolving社発行)
  • Your Life as Art 自分の人生を創り出すレッスン(Evolving社発行)

これらを読んだときは、随分と気持ちが楽になりました。

自分ではどうにもならない、遠すぎる願いを漠然と抱えていたころと違い、目標を自分でコントロールできることに変え、自分にできるやり方、具体的な行動にすることで、成果を上げています。

これを読んでいる皆さんも、目の前にあるもの、小さなことで、ご自分にできることから何かを始めて見てください。いつか、私の願いも、皆さんの願いも叶うときがきますように!

※はとらくでは、完全無料でキャリア相談を受け付けています。ぜひ、ご相談ください。

▶︎「はとらく」にキャリア相談をする

白血病からの薬剤性心筋症。2019年に植込み型補助人工心臓(VAD)HeartMate3を装着し、心臓移植待機中。VAD装着を機に転居した東海地方で近辺の観光を楽しむ。