働く中で実感した“学生と社会人の違い”~備えれば不安感は和らぐ~

公開日 2023年3月14日 最終更新日 2023年11月8日

学生時代と社会人になってからでは、日常生活が大きく変化します。そうしたとき、自分の体はついていけるのだろうかと不安になる人は、きっと多いもの。しかし、どんなところが変わるのか事前に知っていたら、対処法を考えられます。

今回は私が実際に働く中で感じた、学生と社会人の違いを紹介。未来の備えとして、参考にしてもらえたら嬉しいです。

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執筆:古川 諭香

フリーライター。単心室・単心房のため3度の手術を経験。根治は難しいものの、フォンタン手術後、日常生活が普通に送れるように。愛猫の下僕で本の虫でもある。(Twitter:@yunc24291)執筆記事一覧

【目次】

働く中で感じた学生と社会人の違い~マイナス面編~

①体調管理の大切さ

学生の頃とは違って、自由な時間が限られているのが社会人。仕事に時間を取られ、体調を気遣う時間が減ったことで、体を壊してしまうこともあります。

私の場合は、働き始めて生活リズムが変わった時や、まだ仕事に慣れていない頃に、よく体調を崩していました。会社員時代は体調が万全でない中無理やり出勤していたし、フリーライターのいまも長引く風邪に苦しみながら、体に鞭を打って執筆することも。

先天性心疾患者の中には免疫力が低い人も多いからこそ、まずは体調を崩さないようにできる予防を行うことが大切。そして、互いが心地よく働くためには持病があることや体力があまりないことを職場の人に話し、体調を崩しやすいことを理解してもらうことも重要です。

②通院がしにくい

社会人になって、一番困ったのは通院がしにくくなったことでした。会社員時代は通院で有給が消化されてしまうことにモヤモヤ。フリーランスになってからは納期に追われて、通院が難しいこともありました。

会社員時代、私は月1回だった通院を3ヶ月に1回にしてもらうことで、なんとか働きながらでも通院できるようになりました。私のように通院をすることが仕事の妨げになっていると感じる時は、主治医と相談して体調に悪影響が出ない範囲で、定期健診の頻度を見直すのもひとつの方法です。

③仕事と日常生活の両立が大変

学生時代、私は実家暮らしだったため、料理や家事など日常のことは母がやってくれていました。しかし社会人なり、そして結婚をして一軒家を建ててからは、仕事と家事の両立が体力的に辛い時があります。

持病があるがゆえに、昔から誰かの助けを借りることが多かった私は、自分から「助けて」の一言がなかなか言えません。ちゃんと自立をするためには、全て自分でこなさなければならないという気持ちがこみ上げてきて、SOSが言えなくなるのです。

そうした強い自立心を持っている人はきっと、同じ先天性心疾患者の中に多いはず。だからこそ、辛さを口にできない時に無理をしすぎなくてもいいよう、結婚前にはパートナーに体力があまりないことや、仕事と家事の両立がしんどい時があることを話しておくのも大切。互いが負担に思いすぎない、「辛い時の対処法」を話し合っておくのがおすすめです。

そして、一人暮らしの場合はロボット掃除機を導入する、手間なく食べられるインスタント食品を用意するなど、元気な時に、未来の自分が無理をしなくてもいい工夫を。こうすることで、少し心身が楽になります。

④周囲に持病を理解してもらうのが大変

学生の頃は親しい友人にだけ持病を説明していましたが、社会人になるとそうはいかず。仕事で関わりがある人には持病があると打ち明け、定期的に通院が必要なことや体力的に難しいことがあるなどを説明しなければなりません。

障害への価値観は人それぞれ。だから、持病の告白はハードルが高く、周囲の理解を得るのに時間がかかることもあります。特に、先天性心疾患のような内部疾患は言葉で説明しても理解してもらうのが難しい傾向があります。

だからこそ、周囲にどう持病を説明し、どういった態度を見せて、できることを理解してもらうかを事前に考えておくとよいでしょう。入念な準備をしておけば、持病を告白するハードルは低くなり、受け入れてもらえなかった時の対処法も考えることができます。

働く中で感じた学生と社会人の違い~プラス面編~

①様々な価値観に触れられる

社会に出ると、これまで出会ったことがない価値観の人と関わることも多いもの。私自身、心ない言葉や障害への理解のなさに傷つくこともありましたが、時には「そんな考え方もあるのか」と発見させられるような理解者に出会えたこともありました。

社会には自分が思っているよりも優しい人が多く、障害を理解したいと思ってくれる人も予想以上にいる。私はフリーライターとして働き、自身の病気を発信する中で、そう気づくことができ、世界が広がりました。

学校という枠の中ではないからこそ出会える様々な価値観は自身の成長に繋がり、障害の受け止め方が変わるきっかけにもなります。

②責任感を持てるようになる

任された仕事はしっかりこなさなければならないという責任感が芽生えるのも、社会人になってこそ。こうした責任感は重いように感じるかもしれませんが、人として成長できるきっかけにもなります。

目標を達成できた時の達成感を味わえるのも、責任感があってこそ。私は仕事を通して、自分も社会の一部になれているんだと感じ、何もできないと思っていた自分が少し好きになれました。

責任感は重圧ではなく、自分を成長させる糧。そう捉えれば、責任がついて回る社会人生活にも楽しみを見出せるはずです。

③自立ができる

社会人になって一番嬉しかったのは、自分を養っていけることでした。手術と入院を繰り返して親に迷惑をかけ、誰かにおぶってもらわないと階段を登ることすら難しかった自分が、ちゃんとひとりで生活しているという事実は自分の中で何よりも誇れるものになりました。

いまの日本はまだまだ障害者にとって、働きやすい社会だとは言えません。障害があると好きな仕事に就くのは難しく、何か秀でたものがないと十分な給料を得にくいのがこの社会の現状です。

しかし、そうした現状を変えたいと行動している人が多くいるのも事実。私のように、社会人として自立できたことが自信を持つことに繋がることはきっと多いからこそ、社会が障害に対して寛容的になってほしいとも思います。

学生と社会人の生活には違いがあることを理解して備えを

学生から社会人になると暮らしに様々な変化があり、不安にもなるものです。しかし、どんな変化があるのかを事前に理解し、自分なりの対処法を考えておけば、不安感は少し和らぐはず。

自由な時間が減り、体に鞭を打たねばならない日もある社会人生活の中にはたしかに辛いと感じることも多くありますが、働く中で様々な価値観に出会えたり、自分を好きになれたりと、いいこともたくさんあります。

会社員だけでなく、フリーランスとして生きるのも、いまの時代ではあり。ぜひ、自分に合う働き方はどんなものなのだろうかと考えながら、社会人になる準備をしてみてください。

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フリーライター。単心室・単心房のため3度の手術を経験。根治は難しいものの、フォンタン手術後、日常生活が普通に送れるように。愛猫の下僕で本の虫でもある。(Twitter:@yunc24291)