心臓病に納豆はダメって本当?心臓病と納豆の関係と食事中に気をつけるべきポイントを解説

公開日 2023年4月6日 最終更新日 2024年2月18日

心臓病を抱えるようになると「納豆を食べるのはダメ」という話をよく聞くと思います。しかし、その理由を詳しく知らない方もいるのではないでしょうか。納豆を食べていけないのは、厳密には「ワーファリン」という薬を服用している方です。

この記事では納豆を食べてはいけない理由と、その他に気をつけるべき食べ物についてご紹介します。心臓病に配慮した食べ物や食習慣を把握しておけば、症状の悪化防止につながるでしょう。

ライターの画像

監修:谷 道人

沖縄県那覇市生まれ。先天性心疾患(部分型房室中隔欠損症)をもち、生後7ヶ月で心内修復術を受ける。自身の疾患を契機として循環器内科医を志す。医師となった後も、29歳で2度目の開心術(僧帽弁形成術)、30歳でカテーテルアブレーションを受ける。2018年琉球大学医学部卒業。同年、沖縄県立中部病院で初期臨床研修。2020年琉球大学第三内科(循環器・腎臓・神経内科学)入局。2022年4月より現職の沖縄県立宮古病院循環器内科に勤務。

【目次】

心臓病には納豆はダメ?

ここでは心臓病の方が納豆を食べてはいけない理由と、他に注意すべき食べ物などについて解説します。

ワーファリンを服用している方に限ってNG

結論からいうと、納豆を食べてはいけないのは「ワーファリン」を服用している方に限ります。ワーファリンとは「抗凝固剤」とも呼び、血液をサラサラにして固まらないようにする薬です。心臓病の方は、血流が乱れて血栓(血の塊)ができやすいため、ワーファリンを服用することがあります。

一方で、納豆によって体内で合成される「ビタミンK」には血液を固める働きがあるため、ワーファリンの効果を弱めてしまいます。そのため、心臓病の方全員が対象ではなく、ワーファリンを服用している方のみが、納豆を食べることを控える必要があります。

納豆自体は心臓病の悪化防止に効果的

納豆自体には、心臓病の発症・悪化予防に役立つ成分が含まれています。納豆をはじめとする大豆製品には、「マグネシウム」や「カルシウム」などのミネラルが豊富に含まれています。

これらのミネラルは、高血圧の改善に役立つとされています。また、納豆に含まれている「ナットウキナーゼ」にも血圧を低下する働きがあり、心臓病以外にもさまざまな病気の予防が期待できます。

納豆以外に注意すべき食べ物

ワーファリンを服用している方は、納豆以外にもビタミンKを含む食べ物に注意する必要があります。注意すべき食べ物は以下の通りです。

  • 抹茶
  • パセリ
  • ほうれん草
  • 春菊
  • のり
  • にら
  • 芽キャベツ

これらの野菜や藻類にはビタミンKが含まれているため、食べるのは避けましょう。上記の野菜をミックスした「青汁」や藻類の「クロレラ」などの健康食品はビタミンKが豊富なので、特に注意が必要です。

心臓病が悪化しやすい食べ物

ビタミンKを含む納豆や野菜の他にも、避けるべき食べ物はあるのでしょうか。ここでは心臓病の症状が悪化しやすい食品についてご紹介します。

脂肪を多く含む食べ物

脂肪を多く含む食品を食べすぎると、心臓病の症状を悪化させる可能性があります。特に、血中のコレステロールを増やす原因となる「飽和脂肪酸」や「トランス脂肪酸」などの摂りすぎには注意が必要です。

コレステロールが増えると血管が硬くなる「動脈硬化」を引き起こし、心臓にかかる負担が大きくなります。飽和脂肪酸やトランス脂肪酸、コレステロールが多く含まれる食品は、以下の通りです。

  • 脂身の多い肉
  • ベーコンやウインナーなどの加工食品
  • マーガリン
  • バター

塩分を多く含む食べ物

塩分をとりすぎると、心臓に負担がかかりやすくなります。血液中のナトリウム(塩分)の濃度が高くなると喉が渇きやすくなり、水分をよく摂るようになります。

しかし、水分を摂ると体内の血液量が増えるので、結果的に血圧が高くなります。塩分を多く含む食品例は以下の通りです。

  • ラーメン
  • 焼きそば
  • 梅干し
  • 漬物
  • 丼もの

特に麺類は他の食品よりも塩分が多く含まれているため、食べるのを控えたり、スープまで飲み干さないようにしたりなどの対策が必要です。

カフェインを含む食品

カフェインの過剰摂取は活発となる神経の「交感神経」が刺激されて、心臓への負担につながります。交感神経が優位になると心拍数が増加し、その状態が長時間続くと高血圧の原因となるのです。カフェインを含む食品例には、以下が挙げられます。

  • コーヒー
  • 紅茶
  • エナジードリンク
  • 緑茶

特にエナジードリンクは他の飲み物よりもカフェイン量が多く、飲み過ぎで死亡した事件もあるので、なるべく避けることが望ましいでしょう。

アルコールを含む食品

アルコールの過度の摂取は血圧を高め、心臓病の症状を悪化させるリスクがあります。一方で、アルコールの摂取量が適度なら、身体によいともいわれています。

アルコールの適量は約10gといわれており、これを換算するとビール中瓶0.5本、日本酒0.5合程度です。お酒を嗜む方は、この基準を目安にしておきましょう。

心臓病の悪化防止につながる食べ物

心臓病を悪化させないためには、どのような食べ物がよいのでしょうか。ここでは心臓病の予防や悪化防止につながる食べ物をご紹介します。

魚類

サバやサンマなどの魚類にはDHAやEPAといった「不飽和脂肪酸」が含まれています。不飽和脂肪酸は、血中のコレステロールを低下させて高血圧や動脈硬化を予防する働きが期待されています。

そのため、コレステロールを増加させる飽和脂肪酸が含まれている肉類だけでなく、魚類を食べる機会を増やすことが大切です。

野菜や果物

野菜や果物には心臓病の予防や悪化防止に効果的な食物繊維・ミネラルが豊富です。食物繊維は便秘予防だけでなく、血液中のコレステロールを減少させる効果もあるとされています。ミネラルの1種である「カリウム」には、ナトリウムの排泄を促す働きがあるので、血圧低下につながります。

普段から肉中心の食生活を送っている方は、ぜひ野菜や果物も積極的に摂るようにしましょう。ただし、上記で説明したようにワーファリンを服用している方は、ほうれん草や春菊などのビタミンKが多く含まれている野菜には注意してください。

その他の心臓病の悪化防止につながる食事ポイント

心臓病を悪化させる原因は食べ物だけではありません。ここでは、普段の食生活でのポイントについて解説します。

栄養バランスを整える

食事を行う際に重要なのは、栄養バランスを整えることです。どんなに心臓病にいい食べ物をたくさん摂取しても、栄養バランスが偏っていたら意味がありません。

反対に、心臓病に悪影響となりやすい脂肪や塩分をまったく摂取しなかったら、また別の不調が現れる可能性もあります。どの栄養素も過不足なく、バランスのとれた食習慣をつけましょう。

食べ過ぎに注意する

食べ過ぎには注意して、腹八分目を心がけましょう。食べ過ぎは肥満のきっかけとなるだけでなく、高血圧や動脈硬化などを引き起こし、心臓病をさらに悪化させる恐れがあります。

普段からたくさん食べてしまう方は、よく噛んで食べて満腹中枢を刺激したり、野菜・果物の割合を増やしたりなどの工夫をしてみましょう。その他にも、肥満や合併症の予防として有酸素運動を取り入れることもおすすめです。

心臓病に配慮した食生活を心がけよう

納豆を食べていけないのは心臓病の方全員ではなく、ワーファリンを服用している方が対象です。納豆以外にも、ビタミンKを含んでいる食べ物ワーファリンの効果を弱めてしまうので注意しましょう。

脂肪や塩分などが多く含まれている食べ物も心臓病の症状を悪化させる恐れがあります。心臓病の方は魚や野菜・果物なども取り入れつつ、栄養バランスを整えた食生活を送ることが大切です。

※はとらくでは、完全無料でキャリア相談を受け付けています。ぜひ、ご相談ください。

▶︎「はとらく」にキャリア相談をする

5年間理学療法士として医療に従事し、全国規模の学会で演題発表の経験あり。2021年からフリーランスとして独立を決意し、現在は専業のWebライターとして活動中。過去に先天性の心房中隔欠損症を発症したが、早期治療済み。ゆるく自分らしく生きることが人生の目標。(Twitter:@kaisei_writer)