我が子にできるサポートも紹介!憂鬱な入院生活を乗り越える工夫とは?~フォンタン手術を受けた私の体験談~

公開日 2023年5月2日 最終更新日 2023年9月1日

持病の治療をする中で、入院をせざるを得ない場面は必ず出てきます。

経験したことがあっても入院は憂鬱なもので、経験がない場合は、より不安が募るはず。そこで今回は私が経験した入院の体験談を紹介します。

ぜひ、憂鬱な日々を乗り越えるヒントを得てみてください。

【目次】

入院を受け入れる「心の準備」が大切

単心室・単心房症の私は小学4年生のとき、この病気では最終ゴールだと言われている「フォンタン手術」を受けるため、2ヶ月ほど入院しました。難しいことはまだ分からない子どもだからこそ、自分の体がどうなるのか不安でたまらなかったことを覚えています。

しかし、主治医は子どもの私ができるだけ不安なく入院を迎えられるよう、手術前の定期健診のときにどんな手術をするのかイラストで説明してくれるなどして、気になっていることを気軽に聞ける時間を設けてくれました。

子どもの私にも手術を受けることのリスクもわかりやすく説明してくれたので、そういう事例もあるんだと、心の準備をすることができたように思います。

また、両親は主治医から手術の話が出たとき「手術決まったから受けてね」と一方的に告げるのではなく、どういう手術を受けられるのかを説明してくれた後で「受けたいと思う?」と聞いてくれました。

もちろん、手術は命を紡いでいくためには必要なことですが、誰かから「受けなさい」と強制されたのではなく、自分で「受ける」と決心してから望んだため、入院生活中も「自分で決めたことだから頑張る」と思い続けられました。

私のように、子どもであっても、自分の体のことは知りたいし、入院生活がどんなものになるかあらかじめイメージしておきたい先天性心疾患児はきっと多いはず。だからこそ、親など周囲の人は入院時だけでなく、入院前に心が軽くなるサポートをしてあげるといいのではないでしょうか。

入院中に経験した苦悩とそのときに受けたサポート

1. 体の自由がきかない生活がストレスに

手術や検査のための入院では、検査後や術後が一番辛かったです。

私の場合はフォンタン手術後、体に何本もチューブが繋がれていたため、1ヶ月ほど寝たきりでの生活を余儀なくされました。体の自由が利かない生活はストレスが溜まり、周囲に苛立ちをぶつけることも…。

そんなとき、サポートしてくれたのが看護師さんたち。「どうしたの?」と積極的に声をかけてくれたり、「頑張ってるもんね」と褒めてくれたのです。そうした優しさを受けると、ささくれた心が癒され、前向きな気持ちになりました。

入院生活という、いつもとは違う日常の中ではストレスを溜め込むのは当たり前。しかし、大人になると、感じた弱音や愚痴を自分の中で抱えてしまいやすいものです。だからこそ、家族に対して正直にそうした気持ちを打ち明け、自分でメンタルケアをしていくことが大切です。

身近な人だと当たってしまいそう…と思う人は自分が何を不安に思っていて、どんなことに不満を感じ、どうしたらその気持ちが軽減するのかを考え、友人に相談したり、看護師や医師に現状で感じているストレスを減らす方法はないか尋ねてみたりするとよいのではないでしょうか。

2. 厳しい食事制限でご飯の時間が憂鬱に

フォンタン手術後、私は1日の水分量が決められており、脂質を全くとらない生活をしなければなりませんでした。食事はいつも味気なく、毎朝出される、うどんを白身で固めた料理が本当に辛くて、ついには、ご飯を口にしなくなってしまいました。

するとある日、担当看護師から「ご飯を食べないとダメだよ」と注意されました。私は苛立ち、味がなさすぎて食べるのが辛いことを伝え、「なら、看護師さんが食べてみてよ!」と伝えました。

そんなわがままな私の言葉に担当看護師はしっかり向き合ってくれ、実際にご飯を食べて、「これは、たしかにおいしくないね。先生に相談してみるね」と気持ちを汲んでくれたんです。

食事の内容は、その後すぐに変わり、様子を見ながら少しずつ脂質を取っていくことに。大好物の刺身が食べたいとわがままを言う私に、主治医は「なら、一度食べてみよう。持ち込んでいいよ」と許可してくれました。

実際食べてみると、体に繋がれているチューブから脂質が出てしまい、やはりまだ早いとのことでお預けになったのですが、その状況を目にして、やっと私は食事制限をすることの意味や大切さを知りました。自分の意見や苦しさを聞いてくれる人がいたからこそ、「やってみてダメだったのなら我慢するしかない」と思うことができたのです。

入院中は様々な制限がなされ、どうしてもストレスを感じてしまいます。医師や看護師の言いつけを守り、グっと我慢することももちろん大切ですが、あまりにも辛いと感じたときは思い切って自分の意見を伝えることも大切だと私は思います。

3. 予想外のハプニングが発生する可能性があることも覚悟しておく

手術後の入院では、予想外のハプニングが発生することもあります。実際、フォンタン手術後、私は体に繋がれたチューブが取れるかもしれないという時期にチューブが切れてしまい、新しいチューブを挿管せざるを得なくなりました。

それは看護師がいつものように、チューブに溜まった体液を手で絞りだしてくれている時に起きた出来事。すぐに医師がかけつけてくれ、大事に至りませんでしたが、病院側からは謝罪を受けました。

こうした予期せぬハプニングは入院生活の中で起こり得ることであるため、入院期間が長引く可能性があることやハプニングが起きたときに頼れる人を見つけておくなど、事前の準備をしておく必要はあります。

先天性心疾患を持っていると幼少期の入院も多いもの。親御さんには、看護師や医師と上手く協力したり、我が子の気持ちを考慮したりして、入院生活を憂鬱にしすぎない方法を探してほしいです。

大人が入院生活を乗り越えるために意識したいこと9選

私の入院体験談は、あくまでも子どもの頃のものです。大人と子どもでは、やはり気を付けることが少し変わってきます。もし、いま大人の私が入院生活を乗り越えるとしたら、以下の9点に気を付けると思います。

【大人が入院生活を乗り切るために有効な準備】

  • 1. 事前にどんなリスクがあるかと主治医にしっかり聞く
  • 2. いざという時に頼れる人を探しておく
  • 3. 同じ手術や検査をした人に経験談を聞いて心の準備をする
  • 4. 退院後のご褒美を作る
  • 5. SNSなどは続けて外部とのコミュニケーションを遮断せず、愚痴や弱音を吐ける場を用意しておく
  • 6. 心細くなった時に「会いたい」と呼べる人を見つけ、可能であれば、入院時に顔を見に来てほしいとお願いしておく
  • 7. 弱っている姿を見られなくない人は事前に入院することを説明し、お見舞いを断っておく。退院後に会おうと約束し、入院生活を乗り越える糧にする
  • 8. ゲーム機や長編小説など寝たきりでも自分が長期的に楽しめるものを持っていく
  • 9. 入院中に感じた不自由さや不満は怒りではなく、相談という形で看護師や医師に伝える

もちろん、性格や置かれている状況などによって入院生活を乗り越える対策は違ってくるもの。入院前には、どんなことに気をつければ自分は納得しやすい入院生活が送れるのだろう…と考える時間を設け、対策を立ててみてください。

周囲のサポートやメンタルコントロールで無理しすぎない入院生活を送ろう

子どもに比べ、大人になると不自由さを感じても言葉にすることが難しくなります。しかし、苦しみに寄り添い、よりよい方法を考えてくれる医療従事者は必ずいるので、そうした相手を見つけ、心をすり減らしすぎない入院生活を送っていきましょう。

また、入院中は辛い期間だからこそ、周囲に迷惑をかけない範囲で自分がワクワクできることを楽しんだり、退院後にしたいことなどを想像して気分を高めたりしていくのもおすすめです。ぜひ、私の体験談をひとつの参考にして、自分に合った入院生活の乗り越え方を探してみてください。

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フリーライター。単心室・単心房のため3度の手術を経験。根治は難しいものの、フォンタン手術後、日常生活が普通に送れるように。愛猫の下僕で本の虫でもある。(Twitter:@yunc24291)