生まれてきた子供に先天性心疾患があると言われたら?親の立場から考える

公開日 2023年8月29日 最終更新日 2023年11月11日

私は妊娠中、特に何の問題もなく過ごしましたが、生まれてきた長男が生後二日で先天性心疾患である心房中隔欠損症と心室中隔欠損症であることが分かりました。

無事に生まれてくれた安心感から一転、産後のホルモンバランスの影響もあってか不安と動揺から精神的にも不安定になりました。

産後うつにもなりかけた私が考える、生まれてきた子供に先天性心疾患があると言われた親の気持ちと不安の解消法を紹介していきます。

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執筆:はづき

ライター。看護師として循環器・心臓血管外科病棟で働いていた。1歳の長男は心房・心室中隔欠損症あり。現在心房は自然に閉じて心室中隔欠損症の経過観察中。執筆記事一覧

【目次】

生後2日で子供に先天性心疾患があると分かった

出産時は特に問題なく生まれ、生まれたときもしっかりとした産声を聞くことができたのですが、生後2日目に心雑音があるから詳しい検査をすると説明されました。

私の出産した病院は総合病院だったこともあり、詳しく心臓のエコーをしてもらうことに。

翌日の生後3日目に心臓エコーの検査をして、生後4日目に医師からの説明がありましたが、医師からの説明があるまでの間はただただ不安で、何か病気があるのでは、と心配になりネットでたくさん「新生児 心雑音」と検索しては落ち込む・・・ということを繰り返していました。

そんな中、いよいよ医師の説明になり下された診断は「心房中隔欠損症3mmと心室中隔欠損症5mm」でした。

場所的にはふさがる可能性もある場所ではあるものの、穴が大きいため完全に自然にふさがる可能性は低く1歳頃に手術をすることになりそうだといわれました。

色々と調べて覚悟はしていましたが、やっぱり診断された時はショックで「どうして私の子供が?」という気持ちでいっぱいに・・・。

まだ1歳という小ささで手術をするという話を聞いて、子供に対して健康に生まれることができず「ごめんね」という気持ちでいっぱいになりました

産後2日で心疾患があると分かってからの子供の体調や検査

子供の体調

新生児の間はただでさえ小さく心配なのにそこに先天性疾患もあるため、ちょっとした体調の変化も心配でした。特に体力がないからなのか、心臓の負担が大きいからなのかとてもよく寝る子で、授乳の時間になっても寝てしまっていてなかなかミルクを飲んでくれない・・・という日々が続きました。

赤ちゃんなのにあまりにも泣かなすぎて不安になったことを覚えています。
新生児期を過ぎると、徐々に起きている時間が増えてきたり泣くことも増えて、だんだんと安心できるようになりました。

生後5か月の頃には、上の子からRSウイルスがうつってしまい「入院も覚悟するように」と言われましたが、特に悪化することなく自宅療養で回復できてホッとしました。その後も度々風邪をひいては咳や熱が出ていまだに心配がつきません。

ただ、1歳になる今では泣かずに悩んでいたことが嘘みたいに元気によく泣き、よく笑い、よく動き、よく食べる子供に成長しました。健康な子と見た目の変化はなく、動きの制限も特にありません。

不安も多く、風邪もひきやすい印象ではありますが1歳まで元気に大きくなってくれました。

検査の頻度と結果

心臓の検査は退院後1週間・1か月・2か月とコンスタントにあり、生後1か月の時には心臓の拡大が増えているため来月の様子で利尿剤を開始するといわれました。

それでも生後2か月の検査では心拡大もなくなったため、利尿剤も使用しなくて良いという診断を受け、次は2か月後の生後4か月の検査となりました。
そして、生後4か月の検査では心房の穴はふさがり、心室の穴も小さくなっているという診断を受けます。

生後9か月の検査では、心室の穴が2mmまで小さくなっているといわれ、なんとこの穴の大きさならとりあえず手術は不要で、経過を見ていってよさそうと診断されました。

まだまだ心臓の弁が悪くなってしまうと手術になる可能性はありますが、穴が大きいために手術をする必要はないといわれてとても嬉しかったのを覚えています。

悪化がないことから、検査の間隔は生後2週間・1か月・2か月・4か月・6か月・9か月・1歳2か月と徐々に間隔も空いてきましたが、いまだに毎回悪化していないか不安になります。

1歳になるまでの親の気持ちの変化

生後2日で子供に先天性心疾患があると分かってから、とにかく心配で不安のつきない毎日ですが、子供が1歳を過ぎた今、病気を受け止めて生活することができています。

ただ、診断された直後から生後4か月頃までは病気を受け入れることができず最悪の場合を考えて不安になったり、涙する毎日でした。

ミルクの飲みが悪かったり、呼吸が苦しそうだと、悪化しているのではないかと心配しすぎるために親である私が産後うつの一歩手前にまでなりました。

もともとあったパニック発作も悪化し、子供との生活が幸せなはずなのに苦しく感じて落ち着かない日々を過ごしました。うまく育児ができない自分を責めたり、心臓に疾患があったのも私の妊娠中の生活のせいではないかと感じて苦しくなる日々でした。

だいぶ気持ちが落ち着いたのは、生後4か月の心臓の検査を受けてからです。
その検査で、心房の穴がふさがり心室の穴も小さくなっているという結果を受けて「良かった、これで少し安心できる、このまま育児していけばいいんだ」と感じて自然と病院の帰り道で涙したことは今でも忘れられません。

成長するにつれ、どんどん動けるようになったり感情の表現ができるようになってきており、見た目では特に変化もなく元気いっぱいなので、今では心疾患があるということをあまり感じずに生活することができています。

子供と向き合い親の不安を解消するためには

生まれてから先天性心疾患があることが分かり、最初は最悪の状況も考えて不安になり泣いてしまうことが多い毎日でした。

そんな生活を送る中、だんだんと子供に向き合えるようになったり不安を軽減できるようになりました。

それは時間の経過とともに子供が成長してくれたことも大きいですが、日々の意識も大切だったように感じます。

そこで、私自身が不安を解消するために気を付けたことを4つ紹介します。

感情を表に出す

不安を解消するために気を付けたこと1つ目は、感情を表に出すということです。

私自身、元々ため込んでしまったり、自分の中で解決してしまう性格なのであまり感情を表に出すことが得意ではありません。子供に先天性心疾患があると分かってからも、友達や自分の親には気丈にふるまっていたように感じます。

そんな生活を送っていたら、精神的にもつらくなって情緒が不安定になってしまいました。このままではまずいと思い、つらい時はつらいと話す、悲しいことは悲しいと受け止めて感情を表に出していくと少し気が楽になりました。

親しい友達や親は私の感情を受け止めてくれたため、もっと最初から感情を出していけたらよかったと感じました。

辛い時は人に話す

不安を解消するために気を付けたこと2つ目は、つらい時は人に話すということです。

1つ目で紹介した「感情を表に出す」と似ていますが、とにかく自分ひとりで抱え込まないことが大切だと感じています。私は産後の入院中に子供の疾患が分かりましたが、コロナ禍のためお見舞いもなく1人で抱え込んで涙することが多かったです。

そんな時に、1人の助産師さんが「つらいこととかあったら話していいんだよ。私でよかったら話きくよ」と言ってくださり、泣きながら自分の想いを話しました。

話を聞いてもらったことによって、気持ちがすっきりとして少し前向きになることができました。その経験があったため、つらいことは人に話すことが大切だと感じて退院後は一番近くにいる夫になんでも相談したり、話合うことが多かったです。

話をすることで自分の気持ちに気づいたり、前向きになれることも多かったので、つらい時こそ誰かに話しを聞いてもらうことの大切さを感じています。

ちょっとした不安も主治医に相談する

不安を解消するために気を付けたこと3つ目は、ちょっとした不安も主治医に相談するということです。

先天性心疾患があったため、受診する機会が多く主治医と会うことも多かったですが、とても気さくで話しやすい先生だったこともあり日常生活を送っていく中で不安に感じたことはその都度聞くことができました。

たとえば寝ている時の呼吸が苦しそうだと感じたときは動画をとっておいて、受診の時に先生に見せました。その時に「新生児だからこの呼吸でも問題ないから大丈夫だよ」と言ってもらえたので安心することができました。

日常生活を送る中で不安に思ったことは、その度メモを取ったり動画に残しておいて受診の時に聞くことができると、安心できるためおすすめです。

よく寝る・休息を取る

不安を解消するために気を付けたこと4つ目は、良く寝ることと休息を取るということです。

月齢が低いととくに授乳やミルクの時間もあってなかなか休息を取ることは難しいんですよね。

でも、頼れる人は頼って意識してちょっとでも寝る時間を確保することが大切だと感じました。眠る時間が確保できると、すっきりしたり前向きな気持ちになれたりしました。

反対に、あまりにも眠れていないと余裕がなくなってどんどんつらくなっていってしまいます。

そのため、頼れる人にはとことん頼って、睡眠時間や休息の時間を取ることが必要だと思います。

まとめ

今回は、生まれてきた子供に先天性心疾患の心房中隔欠損症と心室中隔欠損症があると分かった過程やその経過、親である私の気持ちや不安の解消方法をお伝えしていきました。

生まれてきたわが子に先天性心疾患があると聞いた時は、親である私も動揺や不安が大きくなかなか気持ちが追いつきませんでした。

それでも、徐々に受け入れて前向きに捉えていくためにはとにかく1人で抱えすぎず誰かに相談することが大切だと身をもって実感しました。

先天性心疾患を持つ親の立場として、まずは自分の身体と心を健やかに保つ事が子供のためにも繋がると感じています。

不安も多いですが、今後も1人でかかえすぎず大切な我が子と向き合っていきたいと思います。

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ライター。看護師として循環器・心臓血管外科病棟で働いていた。1歳の長男は心房・心室中隔欠損症あり。現在心房は自然に閉じて心室中隔欠損症の経過観察中。