公開日 2024年11月6日 最終更新日 2024年11月6日
ICD植込み後の職場復帰は私にとって試練であり、人生を変えるきっかけにもなりました。今回は、ICD植込み後の社会生活、特に職場復帰についてお話しします。
会社とのやり取りや同僚たちの反応、そして病気を抱えながら働くことについて感じたことを共有します。また、ICDを植え込むまでの話については、こちらの記事「ICD植え込み後の生活~日常生活編〜」にて紹介しています。
執筆:はらぺこママ
ファロー四徴症・肺動脈弁閉鎖不全で2度の手術を経験。現在、弁置換とICDを挿入。Voicyにて「暮らしが好きになるラジオ」を配信中。フードデリバリーの配達員、フリーで在宅勤務をする小学生のママ。GLAYファン。(Voicy:voicy.jp/channel/3906) 執筆記事一覧
【目次】
フルタイムで復帰と現実の厳しさ
突然の休職から入院を経て5か月目で復職となりました。退院後まずは上司と面談し、体調や働ける時間について話し合いました。
時短勤務を希望し、その上で「少しずつフルタイムに戻しながら働きたい」という伝えましたが、その願いは叶いませんでした。
会社からは「フルタイムで出社可能になったら復帰してほしい」と言われ、厳しい現実を目の当たりにした時でした。結果、負担の少ない部署に移りフルタイムで復帰することになりました。
出社初日の不安と仲間たちの反応
ICD植込み後はじめての出社。”会社に入れない事態”になったのです。会社の出入りはセキュリティーカードを電子機器にかざすことで解錠されるシステム、
その前で私は立ち止まってしまいました。「怖い・・・ICDが誤作動したらどうしよう」ICDは電子機器や磁気に近づけると誤作動する恐れがあります。日常生活の中で誤作動を引き起こす可能性は限りなく低いのですが、それでも不安を持たないということではできませんでした。
胸元から下げてるICカードをズボンポケットに移動し、リール式のストラップに変えてもらいました。
社内に入ると、久しぶりに会う仲間たち。「元気そうでよかった」「なんだいつも通りじゃん」とわたしも久しぶりに会えた嬉しさから話がはずみます。しかし、「元気そう」「いつもと変わらない」という認識通りわたしの病気は内部障害のため外からはわかりません。
このことが、仕事をしていく中で大きなハードルとなりました。復職して1週間ほどは、業務に慣れるため雑務をこなし少しずつ、日常生活のペースも仕事に併せていくことができました。
術前のわたしでインプットされてる仲間たち
復職して最初の1週間は、雑用をこなしながら仕事に慣れる期間でした。少しずつ通常のペースで働けるようになりましたが、仕事を続けるうちに、自分にできることとできないことがはっきりしてきました。
私は体への負担を減らすために部署を移ったはずでしたが、周りの同僚は「以前と変わらない」ように見えるため、以前と同じ仕事を求めてくることが多くなりました。仲間は悪気があってしてるのではありません。私も、早く仕事に慣れたい気持ちも強く断ることができませんでした。
しかし、業務量が多くなり自分の仕事ではない業務まで入ってきたときはさすがに上司に相談をしました。しかし、上司も「今までできていたのになんで?」との様子。私の体がついていけてないのは十分にわかっているつもりでしたが、自分ができることがあまりにも自分の意識とはかけ離れていてショックを受けました。
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よりよい社会生活を送るために必要な2つなこと
約10年前の術後の職場復帰で学んだことは大きくわけて二つあります。まずは【伝えると伝わるは違う】ということ。自分の病気や病状は、しっかりお話ししてると自分では思っていました。
もちろん体調面でフォロー頂きたいことも併せてです。しかし、病気に対してのイメージは人それぞれですし、以前は健常者として働いていたのでそのイメージが強いこともあります。
内部障害は見た目ではわかりずらいので、もっと具体的に説明する努力が必要だと感じました。しかし、そうはいってもいつも体調面での配慮をしてほしいということをお話しするのは気がひけてしまいます。
大切なこと2つめは【信頼できる人をそばに】です。
気軽に相談できる同僚や先輩、上司がそばにいるのがいいですね。私は、同僚ひとりに悩みを打ち明けていました。業務内容を変更してもらったり、上司に相談しにくい部分はサポートしてくれたりと本当に力になってもらい今でも感謝の気持ちでいっぱいです。信頼できる人がそばにいるだけで、安心につながりよいよい職場環境が作れると思います。
働くためには職場の理解が必須
今回は術後の職場復帰をお話ししながら、大切に感じたことをお話しさせていただきました。
現在わたしは、会社員として再就職をしました。【伝える努力】と【信頼できる人をそばに】この二つができるようになり、良い環境で仕事ができております。病気を抱えながらのお仕事は不安も大きいと思いますが、自分の限界を理解し、できることを最大限に活かせる場所を見つけることが大切です。
ICD植込み後の生活についての話が、同じような状況にある皆さんの参考になれば嬉しいです。病気を持ちながらも、自分らしく前向きに働ける環境を見つけることで、より豊かな人生を送ることができると願っております。