公開日 2025年9月11日 最終更新日 2025年9月12日
「ママになる」って、こんなに体力がいることだったのか・・・最初は絶望にも似た気持ちで育児をしていました。
私は心臓に持病を抱えながら、娘を出産しました。産前も産後も、常に“自分の体と相談しながら”の毎日。でも、そんな私だからこそ見つけられた育児の工夫もたくさんあります。
ここでは心臓病と向き合いながら奮闘する「どたばた育児」の日々を綴ります。
はとらくでは、心臓病に関する寄稿を募集しています。当事者や医療・福祉の現場にいる方の声を、編集部がサポートのうえ発信しています。

執筆:はらぺこママ
ファロー四徴症・肺動脈弁閉鎖不全で2度の手術を経験。現在、弁置換とICDを挿入。Voicyにて「暮らしが好きになるラジオ」を配信中。フードデリバリーの配達員、フリーで在宅勤務をする小学生のママ。GLAYファン。(Voicy:voicy.jp/channel/3906) 執筆記事一覧
【目次】
授乳で貧血!?心臓に違和感
初めての授乳は、まるでマラソンを走った後のようにフラフラでした。
赤ちゃんが一生懸命おっぱいを飲む姿は嬉しいのに、私の頭はクラクラ。終わった後には立ち上がれず、ソファでしばらく動けないこともしばしば。
「これは心臓の負担?それとも産後の貧血?」
答えは両方でした。心臓病を抱える私にとって、血液循環が一時的に崩れるだけでも影響が出ます。授乳をするたびに、一瞬眩暈がし意識が遠のく感じがしてました。
授乳後はしばらく横になっていないと活動する気も起きず、いつも頭がふわふわとした感覚がしていたことを覚えています。授乳が毎回プレッシャーになってしまい、気がつけば娘を抱くたびに不安がよぎるように・・・そうやって、授乳時間が地獄の時間と変わっていきました。
このままではダメだと思い主治医に相談したところ、「お母さんの血液がおっぱいに変わるから、貧血のような症状がでているのかもしれない。もし辛かったらミルクも交えて混合授乳にしていきましょう」といわれました。
そこで、思い切って混合授乳に切り替えることにしました。母乳とミルクのいいとこ取り。
自分が元気でいられる方法を選ぶことが、赤ちゃんにとっても一番だと思えました。
娘と寝て過ごす日々
産後しばらくは「起きている=頑張っている」みたいな感覚が抜けず、無理して動けばダウンしていました。でもある日ふと娘と並んで寝転がったまま過ごしてみたんです。
すると、なんとも穏やかな気持ちに・・・力が抜けていきました。私は“育児をがんばる”のではなく、“育児に寄り添う”ことを選びました。
役立ったのは、大きめの抱き枕とリクライニングクッション。床に座っても体が沈み込まないマットもお気に入りです。そして布絵本や図鑑も役に立ちました。娘が目をギョロギョロさせながら嬉しそうに声をあげながら反応し、親もゴロゴロしながら一緒に見られるので一石二鳥です。
赤ちゃんと一緒にゴロゴロ過ごす育児は、何より自分の体に優しい時間でした。
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1歳を過ぎたころ、歩き出した娘はパワー全開の毎日!
歩きたい!走りたい!ジャンプしたい!でも、私はダッシュ禁止。階段もゆっくりじゃないと無理。
「ママ、こっちー!」と駆け出す娘に、「まってー!」と叫びながら、足はノロノロ。
そんな私にとって、子どもが自由に走り回れて、ママが安心して見守れる場所はまさに命綱でした。
特に助かったのは、屋内のプレイランドや、大型公園にあるクッション性のある遊具広場。ふわふわの床なら転倒も安心。私はゆっくり見守ることができ、一息つけます。数十年ぶりに少しだけ一緒に走ってみたこともありましたが…心臓が「それ以上はやめて!」と全力で訴えてきました(笑)。
だから、ママは安心・子は全力になれる場所は本当にありがたい存在です。
遊んだ後はゆっくり車でドライブ。
子供はぐっすり寝てくれるので私はひとり好きな音楽を聞いてちょっぴりひとり時間に浸れます。
夫婦で取り組んだ子育ての工夫
心臓の負担を減らすには、夫婦の協力が不可欠でした。我が家で特にうまくいっているのが、朝の分担制。
朝が強い夫が、娘を連れて早朝の散歩に出かけてくれるおかげで、私はその間にしっかり休めます。
外の空気を吸った娘は気分もすっきり。帰宅後には、ふたりで笑顔で戻ってきます。さらに、お昼寝ドライブ+コーヒータイムも我が家の定番でした。ドライブ中に娘が寝てくれたら、コンビニでコーヒーを買って、車内で夫婦だけの静かな時間を過ごす。それだけでリフレッシュ度が段違い。
そしてもうひとつ、我が家では「機械に頼る」ことを徹底しています。
ロボット掃除機、乾燥機付き洗濯機、食洗機…。買ってよかったものばかりです。
「人の手で全部やらなきゃ」はもう卒業。手を抜くのではなく、体を守るために任せる、という考えに切り替えました。
楽じゃないから工夫が必要
心臓病を抱えながらの育児は、正直言って「楽じゃない」です。でも、自分の体を優先しながら、家族とともに工夫して乗り越えていくことで、“わが家だけのスタイル”ができあがっていきました。
「頑張らなくてもいい。ママは笑顔が1番」そう思えるようになった今、心に余裕が生まれています。
同じように持病を抱えながら育児をしているママたちへ。そして、「私に子育てなんて無理かも…」と思っている方へ。
自分のペースでいい。ひとりじゃないよ。
そんなメッセージが届いたらうれしいです。