公開日 2026年3月25日 最終更新日 2026年3月25日
10年に一度と言われた今年の冬の脅威は、ここ数年に比べて凄まじいものでした。理学療法士として勤務しながら、毎日1時間以上の車通勤を経験し、今年は心が折れる寸前までの状況を経験しました。
テレビやSNSなどでも雪国の被害の状況や様子を見ることが多かったと思いますが、ここで一度今年の冬を振り返れたらと思います。
はとらくでは、心臓病に関する寄稿を募集しています。当事者や医療・福祉の現場にいる方の声を、編集部がサポートのうえ発信しています。
執筆:kazumi
周産期心筋症・慢性心不全と共に理学療法士として勤務。2人の男の子を育てながら、悪戦苦闘の日々を過ごしている。執筆記事一覧
【目次】
今年の冬は厳しかった
季節の変わり目がはっきりとしない昨今ですが、今年の冬は何度も記録が塗り替えられるようなニュースを頻繁に拝見していました。
数時間で数十センチも積もるような雪に、除雪も追いつかず、電車は数日も運休となり、日常生活に大打撃の日々でした。毎日、こんなに命懸けで出勤しなければいけないのかと問うこともありました。
寒さが身体に与える影響
冬の寒さと言えば、心臓病の方だけでなく、高齢者や身体に心配がある方々も、早く冬が終わらないかなと思うことが多々あったのではないでしょうか。
寒さから思い浮かぶキーワードとしても、ヒートショックや高血圧、心筋梗塞などがあると思います。特に心臓病の方は、ヒートショックの心配が冬は大きくなるでしょう。
浴室と脱衣所の温度差がないように暖房機や浴槽の蓋を開けていたり、朝起きても寒くないように暖房機にタイマーを設定し、起床時には寒くないようにする方も多くいると思います。そう言った対策をしておかないと、寒さによって血管が収縮し、血圧が上昇。そして、身体にさまざまな症状が生じることになってしまいます。
そういった未然に事態を防ぐためにも、自身の心臓のことを第一に考えた対策が必要になります。
今年の冬に経験したこと
復職してから、毎年冬になると憂鬱になっていました。
筆者の場合、雪や道路凍結の影響で、車通勤が普段より30分以上かかるようになります。渋滞にも巻き込まれ遅刻することも度々あり、謝罪をする日々でした。
凍結した凸凹の雪道を走ることになるので、事故を起こさないように常に緊張し、職場に到着する頃には精神的にも疲れていました。体力的にも会社の駐車場の除雪作業をするのは難しいので、コインパーキングに駐車し、申し訳ない状況でしたが、その他で自分ができることを探して取り組んでいました。
車がダメなら電車での通勤も視野に、朝の混雑した電車にも挑戦してみました。しかし、具合が悪くなたらどうしようという不安が強くなり、パニックになりかけたこともありました。そしてやっと職場の最寄り駅に着いたところで、1番辛い「階段」が待ち構えており、結局職場に到着してから30分程横にならせてもらいました。
そういった経験を踏まえて、できる限りのことはしようと、朝早く起きて、スマホのアプリで街の道路状況をライブカメラで確認したり、交通事故の情報、電車の遅延・運休情報を確認していました。しかし雪国の冬の厳しさは並大抵ではありません。このような対策をとっても、雪の降り始めや前日に雨が降り、翌日の零下による道路の凍結、吹雪によるホワイトアウト、冷たい強風により道路の凍結、日中の解けた道路が夕方再び凍ってきたりと。さまざまな道路状況に対応した運転が必要になり、朝から気を張る毎日でした。
このままでは体調を崩してしまうため、職場の上司に勤務時間の調整などできないか相談しましたが、フルタイムで勤務できている以上、就業規程により難しいと言われていました。これを機に、やはり心臓病(だけではないと思いますが)の方が復職後、継続的に就業することが難しい現状を目の当たりにし、退職も検討しました。
1番は住む場所を変える事ではありますが、家族のことを考えると、簡単にはいきません。
そこで、週間天気予報をみて、体力的に大変になりそうなところを職場へ伝え、身体に無理がないように有給休暇をお願いするなどのスケジュールを立ててみました。また、お昼は出来るだけ横になり、体力を回復させ午後の就業に取り組みました。就業出来ているならば、こちらの希望もしっかりと伝えるようにしました。
【関連コラム】
厳しかった冬を乗り越えて、あらためて実感したこと
なんとか乗り越えた冬。今振り返ってみると、頑張りすぎていたのではないかと思いました。
体調を悪化させることなく、その上で仕事もこなしていく。心臓病のある方が仕事をする上では、当たり前、そしてとても大切なことです。一方で、心臓病のある方はギリギリでも頑張り、社会的に認められるよう取り組んでこなせているということは、周りから見るとその努力が伝わらず、大丈夫と見られやすいのかもしれないと実感しました。
明確に状態が悪化しない限り配慮の対象外になる場合もあるなど、制度的にもはっきりしない部分があります。その曖昧な部分も、働いている心臓病患者にとっては、悩ましいところなのではないかと思いました。
毎年苦悩する冬は、身体面や精神面に大きな影響を及ぼします。今の所、定期受診での血液データ上の悪化はなく過ごせていますが、いつ身体が対処できなくなるかと思っていました。職場の朝の雪かきが出来ないことや遅刻が増えてしまい、肩身の狭い思いをして、職場に居にくいと思うことが多くなり、精神的に追い込まれていました。
冬にしても、雪が降る地域に住んでいる方とそうでない方とでは、冬が身体に与える影響も異なると思います。心臓病と共に過ごすために、自分を守る様々な選択肢を増やすことが必要かと思います。色んな人の考えや方法を自分のものにできたらいいですね。
