心疾患の影響を受けた私のライフプラン 突きつけられた厳しい現実

公開日 2022年10月25日 最終更新日 2023年11月11日

私は先天性心疾患で生まれましたが、幼少期の手術以降年に一度の定期検診のみで特に治療や投薬を受けていませんでした。

心臓が悪かったのは昔のことで今は健康そのもの!と思っていたのに、医療保険に入れないなんて!住宅ローンが組めないなんて!突きつけられたシビアな現実に、初めて心疾患で生まれたことを恨みました。

心疾患とライフプランニングについて、私の経験をお伝えします。

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執筆:たらこ

先天性心疾患心室中隔欠損で3歳半で根治術を受ける。その後ごく普通に生活していたが35年経ち再手術。現在、息子と猫に翻弄される日々を送る。執筆記事一覧

【目次】

子供の頃から現在までの通院や運動制限

子供 運動

1歳半の時に先天性心室中隔欠損症と診断され、3歳半で根治術を受けました。

その後は半年から1年ごとの定期検診を受けるだけで、投薬治療などはありませんでした。マラソンや水泳などの激しい運動は禁止されていましたが、周囲と同じ様に学校生活や社会人生活を送っていました。

そのため私自身、自分が心臓病であることをあまり気にせず過ごしていました。退職後出産し、専業主婦として生活しているときに弁膜症等の診断を受け、急遽2度目の開胸手術を受けました。

入っていた団体共済から移行ができなかった

お金 減税

社会人になり、そろそろ医療保険や生命保険の検討をしようと思っていた時に、職場で団体共済の斡旋があり、加入を希望しました。担当者に、先天性心疾患であることや年に1度の定期検診を受けていることを報告すると「治療や服薬をしていないのであれば、主治医から『完治』と言われれば加入できます。診断書はいりません。」と言われました。

さっそく定期検診の時に当時の主治医(心臓血管外科)にこの共済の事を話すと「根治術が終わっているから『完治』です」と言われました。私自身も、なんの自覚症状もなく周りの人と同じ様に生活していたので、もちろん完治と言われるだろう、と思っていました。今思うと、先天性心疾患では「完治」は無いのですが。

共済の担当者に、医師から完治と言われたことを報告すると、すんなり加入できました。

そして職場を退職するとき、団体共済から一般の共済に移行する必要がありました。なんの問題もなく移行できると思っていたのですが「年に1度の定期検診は『通院』になるので同じ保障の保険には入れない」と言われました!治療も服薬もしていないし「先天性心疾患だった」というだけで健康診断は問題ないんです、と訴えましたが判断は変わりませんでした。

その後、ほかの保険で入れるものを探すも、やはり「先天性心疾患で年に1度の定期検診」というところが引っかかり、ガン保険のみであったり死亡時の給付金がないものばかり。さんざん悩んだ結果、告知事項が少ないけれど死亡給付はなく入院給付金がついているものにどうにか加入しました。

医療保険は入れるときに入ろう!

窓口

まだ若いし元気だから保険なんてまだいらない、と思っている人もいるでしょう。でも、今は元気でもこの先いつ何があるか分かりません。私も、根治術後35年目、元気そのものと思っていたときに突然「できるだけ早く手術が必要です」と言われ、急遽開胸術を受けることになりました。そのときも、医療保険に加入していたことがとても心強かったです。

子供の頃は、小児慢性特定疾病の医療費助成や自治体の医療費無償化などのおかげで医療費がかからなくても、障害者手帳の等級などによって18歳を過ぎると医療費がかかってきます。そして長期の入院や手術は、高額医療費制度を使っても結構負担になります。

また、女性であると妊娠・出産で保険診療での入院や手術が必要になることも。心疾患を持っていたら尚更です。私は心臓に関する自覚症状が全くありませんでしたが、心臓の状態からリスクが高すぎると予定帝王切開になりました。このときも保険料が大きな助けになりました。

希望する住宅ローンが組めないことも!?

ストレス

結婚して、マイホームを建てることになり住宅ローンの検討をしたときのことです。結婚後も共働きを続ける予定だったので、夫婦二人の名義でローンを組むつもりでした。

銀行の担当者と話を詰め審査もほぼ通りまもなく契約、というタイミングで「保険会社から、奥様は団体信用保険に加入不可との知らせが来ました。奥様の名義でローン契約はできません。」との連絡が来ました。保険加入のときと同様に、私が先天性心疾患で、年に1度の定期検診とは言え毎年継続的に受診していることが原因でした。

当時は他の人と変わりなく健康だと思っていたので、1年に1度のレントゲンと心電図とエコー、そして問診で「変わりないですね。また来年。」と言われるだけの定期検診が、団信不可とされるほどのリスクなのか!?とやり場のない憤りを感じました。

しかし、結果は変えられません。団体信用保険に入らなくても組めるローンにするか、契約者から私の名前を除くか。悩んだ末、夫婦二人ではなく夫1人を契約者とすることにして、どうにか住宅ローンを契約することができました。

先を見据えた行動がライフプランを守る

正社員

自分では健康な人と変わらないと思っていても「先天性心疾患」というだけで医療保険などの加入が難しくなることがあります。

「まだ必要ない」と思っても、若く健康なうちに、入れるときに医療保険に加入することをおすすめします。また、希望する医療保険に入れるよう受診のタイミングを調整したり診断書を書いてもらうなど、主治医に相談ができるといいですね。

住宅ローンについても、団信に入れずローンが組めないこともあるので、自分の疾患のことを含めパートナーとよく話し合っておくとよいと思います。

先天性心疾患であることが、おもいがけずライフプランに影響を与えることがあります。しかし、それを事前に知っておくことで準備や対策ができるのではないでしょうか。

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先天性心疾患心室中隔欠損で3歳半で根治術を受ける。その後ごく普通に生活していたが35年経ち再手術。現在、息子と猫に翻弄される日々を送る。