生習慣活病と心臓病の関係性は?食事や睡眠を見直して予防・改善を目指そう

公開日 2022年12月5日 最終更新日 2024年2月18日

仕事やプライベートが忙しくなると、つい生活習慣が乱れがちです。生活習慣の乱れが続いているとき、なんだか胸に痛みを感じたり、動悸が現れたりする経験はありませんか?じつは、生活習慣病は心臓病に大きな関わりがあり、生命に関わる問題を引き起こす危険性もあるのです。

しかし食事や睡眠などを見直すことで、心臓病の予防につながります。この記事では、生活習慣病と心臓病の関係性や、病気のリスクを下げるための方法についてご紹介します。最近、心臓に違和感があって不安を感じている方はぜひ参考にしてみてください。

【目次】

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監修:谷 道人

沖縄県那覇市生まれ。先天性心疾患(部分型房室中隔欠損症)をもち、生後7ヶ月で心内修復術を受ける。自身の疾患を契機として循環器内科医を志す。医師となった後も、29歳で2度目の開心術(僧帽弁形成術)、30歳でカテーテルアブレーションを受ける。2018年琉球大学医学部卒業。同年、沖縄県立中部病院で初期臨床研修。2020年琉球大学第三内科(循環器・腎臓・神経内科学)入局。2022年4月より現職の沖縄県立宮古病院循環器内科に勤務。

生活習慣病と心臓病の関係性

まずは生活習慣病についておさえておきましょう。生活習慣病とは食事や運動、喫煙、飲酒など、日常生活での習慣的な行為がきっかけで発症する病気です。病気が発症する原因には、大きく分けて以下の3つがあります。

  • 細菌やウイルスなどの外部要因
  • 遺伝的要因
  • 生活習慣による要因

これらの3つのうち「生活習慣による要因」に関係する病気の総称が生活習慣病です。生活習慣病に該当する病気はさまざまあり、「心臓病」その1つです。

生活習慣病に関係する心臓病の種類

心臓 心電図

生活習慣病に関係する心臓病の中でも、特に以下の「虚血性心疾患」と関わりが強いといわれています。

  • 狭心症
  • 心筋梗塞

ここではそれぞれの心臓病について詳しく説明します。

狭心症

狭心症とは、心臓に血液を送る「冠動脈」と呼ばれる動脈が狭くなり、血流が悪くなることで発症する病気です。狭心症のほとんどが、血管が硬くなってコレステロールがたまりやすくなる「動脈硬化」がきっかけで発症します。狭心症のおもな症状は以下の通りです。

  • 急な胸の痛み
  • 動悸
  • 息切れ
  • むくみ
  • 貧血 など

狭心症は重篤が症状になるケースはあまりないですが、そのままにしておくと生命への危機にも関わる心筋梗塞へと移行する可能性があります。

心筋梗塞

心筋梗塞とは、冠動脈が詰まって血流が完全に途絶えてしまう病気です。狭心症とは異なり、栄養を送るための血流が遮断されるので、心臓をふくめた周囲の筋肉が壊死してしまいます。狭心症と同じように、心筋梗塞のほとんどは動脈硬化が原因です。狭心症より激しい胸痛が長時間続き、最悪の場合は10分程度で死にいたる危険性もあります。

このように、胸の痛みを感じたときは虚血性心疾患の可能性があるため、早急に医療機関へ受診することが大切です。

その他の心臓病にも影響がある

生活習慣病には動脈硬化や高血圧などの病気もふくまれており、これらは虚血性心疾患以外の心臓病にも悪影響があります。生活習慣病は心臓病の発症リスクを高めるだけでなく、不整脈や心不全など、既存の病気の症状を進行させる危険性もあるのです。

心臓病の予防だけでなく、すでに抱えている病気の悪化を防ぐためにも、生活習慣の見直しは重要といえるでしょう。

心臓病以外の生活習慣病について

通院

ここでは心臓病以外に、どのような生活習慣病があるのかをご紹介します。

  • 脳卒中
  • 糖尿病
  • 肥満
  • がん
  • 脂質異常症
  • 高血圧
  • 気管支炎 など

このように、生活習慣の乱れは心臓病以外にも多数の病気のリスクであることが分かります。特に心臓病・脳卒中・がん(悪性新生物)は日本人の3大死因と呼ばれており、どれも生活習慣病との関わりが深いです。

生活習慣病を引き起こす原因をチェックしてみよう

食事や運動など、生活習慣病を引き起こす原因は複数あります。ここではチェックリストを参考にして、自身の生活習慣が整っているかどうかを確認してみましょう。

  • 食事のときに野菜をあまり食べない
  • 塩分が多い食べ物をよく食べる
  • 脂っこいも料理をよく食べる
  • 食事の栄養バランスをあまり気にしない
  • 寝る2〜3時間前でも食事をすることがある
  • あまり運動をしない
  • 階段を使わず、エスカレーターやエレベーターを使うことが多い
  • 意識して歩くことが少ない
  • 寝る直前までパソコンやスマホを操作している
  • 朝起きる時間が日によってバラバラ
  • ビール瓶1〜2本以上のお酒を飲むことが多い
  • 毎日お酒を飲んでいる
  • 喫煙している
  • ストレスがたまりやすい

チェックリストに当てはまる項目が多いほど、生活習慣病のリスクが高いので注意が必要です。

出典:あなたの生活習慣チェック!|とうきょう健康ステーション

生活習慣病である心臓病のリスクを軽くする方法

心臓病のリスクを下げるためには、その原因である生活習慣を見直すことが大切です。ここでは生活習慣を整えるためのポイントを説明します。

食事の栄養バランスを見直す

塩分や脂肪のとりすぎを控え、食事の栄養バランスを見直してみましょう。塩分をとりすぎると高血圧のリスクが高まり、心臓への負担が強くなります。

肉や乳製品などの脂肪をとりすぎると、血液中のコレステロールが増加し、虚血性心疾患のきっかけとなる動脈硬化を助長するでしょう。

厚生労働省によると、1日の食塩摂取量の目標は男性が7.5g、女性が6.5g未満といわれています。そのため、食塩の適量を守りつつ脂っこい食事は控えましょう。また血圧を下げたり、コレステロールの吸収をおさえたりする栄養素がふくまれている野菜や果物を積極的に取り入れましょう。

【血圧を下げる食品】

  • 野菜(かぼちゃやほうれん草など)
  • 果物(バナナやみかんなど)
  • 大豆製品

【悪玉コレステロール値下げるを食品】

  • 海藻類
  • 大豆製品
  • 魚(マグロやサンマなど)

適度な運動をする

適度な運動は生活習慣病の予防につながります。ウォーキングや水泳、ジョギングといった有酸素運動の継続により、血圧・血中コレステロールの低下が期待できます。週に2〜3回以上の運動を30〜60分以上行い、汗を適度にかく程度の負荷量がおすすめです。

運動を行う際は負荷量に注意し、途中で調子がおかしいと感じたらすぐに中止しましょう。体調にあわせて無理のない範囲で運動を行うのが、継続するコツです。

心臓病と運動の関係については、こちらの記事「心不全の人は運動をするべき?おすすめの内容や注意点を理解しておこう!」で詳しく解説しています。

睡眠時間を確保する

睡眠時間の確保も、生活習慣病を予防するためには大切なことです。睡眠不足が続くと自律神経のバランスに悪影響を与えるとされています。活動するための「交感神経」が緊張することで血圧が高い状態が続き、心不全や虚血性心疾患、脳血管障害などの病気につながります。

理想の睡眠時間は人によって異なりますが、なるべく6〜7時間を目安に確保しておくことがおすすめです。また寝る2〜3時間前に入浴をする、部屋の明かりを暗くしておくなどの工夫をすれば、より質の高い睡眠が期待できます。

心臓病と睡眠の関係については、こちらの記事「睡眠不足は心臓病につながる?生活習慣を見直して病気のリスクを減らそう!」で詳しく解説しています。

ストレスを溜め込まない

ストレスを溜め込むと交感神経が優位に働き、血圧を高めます。さらに血糖値を上げて血液をドロドロにする「カテコールアミン」というホルモンも分泌するため、心臓病のリスクが高くなります。以下のような気分転換を図り、ストレスを解消することが大切です。

  • 無理をしないで休養に専念する
  • 家族や友人に相談をする
  • 趣味に没頭する
  • 旅行をする など

ストレスの原因になる悩みの種は人それぞれなので、自分の状況にあわせたストレス解消法を持っておくことをおすすめします。

心臓病とストレスの関係については、こちらの記事「心臓病とストレスの意外な関係とは?影響を受ける病気や適切な対処法も解説!」で詳しく解説しています。

生活習慣を整えて心臓病を予防しよう

生活習慣病の種類はさまざまで、その中の1つに心臓病もふくまれています。生活習慣の乱れは心臓病の発症リスクになるだけでなく、既存の症状を悪化させる原因にもなります。

心臓病を予防するためには栄養バランスや睡眠時間などを見直し、生活習慣を整えることが大切です。まずは自分ができる範囲で、少しずつ健康な習慣を作ってみましょう。

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5年間理学療法士として医療に従事し、全国規模の学会で演題発表の経験あり。2021年からフリーランスとして独立を決意し、現在は専業のWebライターとして活動中。過去に先天性の心房中隔欠損症を発症したが、早期治療済み。ゆるく自分らしく生きることが人生の目標。(Twitter:@kaisei_writer)