「どうせわかってもらえない」〜病気を1人でかかえ込むリスク〜

公開日 2023年1月3日 最終更新日 2023年11月11日

心臓病の人は、病気特有のさまざまな悩みや不安をかかえています。

「心臓に負担がかかるため思うように動けない」「病気が再発・悪化するかもしれない」このような悩みや不安を、心臓病がない人には理解してもらえないからと周りに相談できずにいませんか?すべてを理解してもらうのは難しいかもしれません。だからといって、誰にも相談せずに1人でかかえ込んではいけません。

悩みや不安を溜め込めば、身体に必ず悪影響を与えるからです。

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執筆:大前 有香

理学療法士、心臓リハビリテーション指導士。病院、介護施設、在宅と色々な分野で働いてきた。今は2人を子育てしながら家での新しい働き方を模索中。執筆記事一覧

【目次】

抑うつ状態になるリスク

不採用 落ち込む

悩みや不安を1人でかかえ込むと精神的な落ち込みに繋がります。「気分が落ち込んで何もする気になれない」「憂うつな気分」という心の状態を、抑うつ状態とよびます。死別や病気の発症、日常的なストレスなどさまざまなことがきっかけとなります。これは誰にでも起こりうることですが、心臓病の人は特に注意が必要です。

心臓病と抑うつ状態の関係

心筋梗塞を含む冠動脈疾患患者の16〜23%が抑うつ状態を発症すると言われています。これは、一般人口に比べ約3倍も多いとされます。

そして、抑うつ状態そのものが心血管イベントを増加させるという報告があります。心臓病の再入院や死亡に関して抑うつ状態は、左室駆出率・腎機能などと共に予後悪化因子として示されています。つまり、心臓病の人は抑うつ状態になりやすく、抑うつ状態の人は心臓病になりやすいという相互的な関係があるのです。

抑うつ状態を予防するには

気分の落ち込みは誰にでもあり、これはストレス反応のひとつです。ストレス反応には、気分の落ち込みのほかに、頭痛やめまい、動悸など身体面、暴飲暴食やケアレスミスなど行動面の反応もあります。心臓病の人は、病気により思うように身体が動かない、やりたいけどできないなど、身体的に避けられないストレスがあります。これらのストレスに対して、適切な対処ができていると、この反応は改善していくと言います。

そこで、溜め込んだストレスを「発散させる=外に出す」ことをおすすめします。美味しいものを食べる、好きな音楽を聴くなどもストレス解消法としてあります。これらの解消法は、精神的な満足が得られるという点では良いと思います。しかし、溜め込んだストレスは減らないので、なにかを取り込むよりも外へ出しましょう。心臓リハビリなど適度な運動で汗を流す、カラオケで声を出すなどいろいろありますが、一番のおすすめは「人と話す、相談する」ことです。

心臓病が悪化するリスク

病気を1人でかかえていると、知らないうちに心臓病が悪化してしまうかもしれません。

心筋梗塞や狭心症は、胸痛というわかりやすい症状がでます。しかし、心不全は痛みはなく症状もわかりにくいので注意が必要です。

ちなみに、治療をしていても心臓病がある人は全員心不全予備軍に相当します。以下のような心不全の症状が見られたら、早めの受診が大切です。

出典:心不全ってどんな症状?大塚製薬

そして、自己判断は厳禁です。

「ちょっと浮腫んでるかな」「なんとなく身体がだるいな」など心不全に関係する症状がでているのに、疲れてるから休めば治るだろうという自己判断をしてしまうと、心不全が悪化してしまうことがあります。

そのため、日常的に家族や職場の人に最近の体調の変化を話しておくことが大切です。1人では腰が重い受診も、周囲の人から「それおかしいよ、病院行ったら?」という一言があると危機感が出て動けるものです。また、「こんなことで受診したら怒られるかも」という不安に対しても、「あの人に言われたから仕方ない」と考えられるようになります。

相談内容によって相談相手を変えてみよう

病気は1人でかかえ込まずに相談することが大切です。では、誰に相談すればよいのでしょう。結論としては誰でもよいですし、相談窓口を一ヶ所にする必要はないのです。相談する内容や目的によって、相手を変えてよいのです。些細なことも相談できて、心臓病に理解があってアドバイスも貰える、そんな完璧な相談相手はいませんから。

家族、友人に相談する

会話をする機会が多い相手なので、些細なことでも相談しやすいと思います。

心臓病について共通理解がないこともあるのでアドバイスは求めず、ただ話を聞いてもらいましょう。このように些細なことを話すことでストレスを発散できます。また、何度か相談していると相手も病気への理解が高まることもあります。

医療機関、公的機関に相談する

病気についてや体調不良に関する相談では一番理解があります。病気について、アドバイスや必要な治療を提供してくれます。生活上の悩みなど些細なことは相談しにくいかもしれません。

SNSで相談する

多くの人が利用しているので、同じ病気の人と知り合えるツールとして有効です。心臓病を持つ相手であれば心臓病の共通理解があるため、病気特有の悩みを相談しやすくアドバイスも受けやすいでしょう。

しかし、そのアドバイスは個人の意見や体験談であることに注意が必要です。またプライベートな部分はわかりにくいため、病気についていろいろと話したいときによいでしょう。

まとめ

悩みや不安は溜め込むことでストレスとなり、抑うつ状態を引き起こします。そして抑うつ状態は心臓病を悪化させるリスクとなります。心臓病をかかえていると、病気がない人とは違う悩みや不安があります。

病気について理解してもらおうとすることも大切ですが、まずは自分の気持ちを外に出すことから始めましょう。それが、自分の身体のためになります。そして、気持ちを外に出すことで、周りは心臓病について気にするようになります。理解してもらうためには、興味を持ってもらうことが大切です。今はSNSで多くの人と繋がれる時代です。気持ちを外に出していると不思議とわかってくれる人が集まってきます。

心臓病と長く付き合っていくなかで、相談できる場所は大切です。窓口は1つである必要はありません。是非、自分が話しやすい相談窓口をたくさん見つけて使い分けていきましょう!

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理学療法士、心臓リハビリテーション指導士。病院、介護施設、在宅と色々な分野で働いてきた。今は2人を子育てしながら家での新しい働き方を模索中。