心臓病での入院から退院するときの抑うつ検査バッテリーを経験して

公開日 2023年11月16日 最終更新日 2023年11月18日

心臓病の方は抑うつ状態になりやすく、これがきっかけで心臓病が悪化しやすいと言われています。

筆者も退院時に抑うつの検査バッテリーを受け、不安がある状況だったため、退院後も心臓リハビリ指導士の方々にアドバイスをもらいながら在宅療養をしていました。そこで、私が退院時に経験した、抑うつ検査バッテリーの経験を紹介したいと思います。

心臓病と抑うつ状態の関連性を理解し、自分の精神状況を客観的に示してもらう事で、心臓病の状態を維持回復させ、皆さんも安心して日々を過ごせたらと思います。

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執筆:kazumi

周産期心筋症・慢性心不全と共に理学療法士として勤務。2人の男の子を育てながら、悪戦苦闘の日々を過ごしている。執筆記事一覧

【目次】

退院時の精神状態

私は、入院から重症心不全で多機能不全を引き起こしたことで、補助人工心臓が装着されていましたが、幸い、7ヶ月後に補助人工心臓から離脱することができました。

しかし、退院時は体力的にもまだまだ子供達を面倒みることはできず、家族で実家へ引っ越しし、両親の協力を得ることになりました。

退院の話が出て来た頃、退院後の生活のイメージができていなかったため、色々と想像の中で考えすぎ、不安が強い状況となっていました。心臓リハビリテーションの看護師と一緒にどのような事が大変になりそうかを話し合い、またどのような動作が身体へ負担となりうるかを検討しました。

担当してくれた看護師には、筆者と同じ年齢の子供がいたため、具体的な動作まで検討していきました。しかし、同時に「再発」への不安が強く、病院まで1時間半も離れた実家での療養にも不安がありました。このような様々な不安の蓄積が退院後まで続いていきました。

HADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)

入院していた病院では、心臓疾患と抑うつ状態の関連について意識されており、退院時に「不安や抑うつを評価する質問票(HADS)を退院時予定の入院患者に対して調査していました。質問票を用いて、多面的に評価するもので、不安(HADS-A)及び抑うつ(HADS-D)のそれぞれ7項目の設問を0〜3点で採点し、合計がそれぞれ0〜21点となります。

質問には、緊張したり気持ちが張り詰めたりすることがあるかや、昔楽しんだ事を今でも楽しいと思う事があるかなどがあり、合計点数が高いほど不安と抑うつが強いことを示すものです。それぞれの合計点が0〜7点が「不安、抑うつ無し」、8〜10点が「疑いあり」、11点以上が「不安、抑うつ有り」と判断されます。

心臓病と抑うつ

様々な文献からも、精神的ストレスは心臓病の重要な危険因子とされ、心臓病の発症に関係してしている事が分かっています。心臓病との関連が指摘されている精神的及び社会的要因には、

  • 1. 抑うつ
  • 2. 不安神経症
  • 3. 性格特性
  • 4. 社会的支援からの孤立
  • 5. PTSD(心的外傷後ストレス障害)

があるようです。その中でも、「抑うつ」は特に心臓病との関連が強いとされ、「抑うつ気分」と「興味・喜びの喪失」が症状としてあるようです。心臓病の方の多くは、抑うつ症状を抱えている事が分かってきているようです。

退院時の検査結果と退院後の経過

退院時の私のHADSは不安8点、抑うつ6点という結果で、上記の結果と比較すると不安の面で疑いありという事でした。また、私の場合はどのような経過を辿るかわからない疾患だったこともあり、病院スタッフも外来受診時にカウンセリングにて対応してくれていました。

安定剤を服用しながら、不安な療養生活を過ごし、ゆっくりと「復職」という目標に向けて動き出していきました。しかし、何度も背中が苦しくなる事があり「再発」が頭をよぎることも度々ありましたが、その都度病院に電話で相談しながら、対処してきました。

自分自身で、どうしたら不安を軽減できるか、自分にあったリラクゼーションとはなにかを色々と試したりして行きました。実家での療養中は救急にて受診する事なく、自分で心臓リハビリテーションに励んでいき、悪化することなく過ごすことができました。

周りの人と繋がることが不安を和らげる

心臓病になったことだけでも、精神的な動揺はあると思います。「なんで私が心臓病になるの?何か悪いことをした?」と思ってしまう方が多いように感じます。

筆者自身は、未だに、何かをきっかけに心不全が再発したらどうしようとか、補助人工心臓と心臓をつなげていた部分に血栓ができて、脳梗塞を発症したらどうしようと考えてしまい、不安になる事が度々あります。

心臓病と抑うつ状態の関連性を理解し、自分に合った解決方法を見出していく事は、そういった不安を回避するきっかけになると思います。

筆者は入院中から精神科の医師から診察を受け、退院後も2〜3ヶ月フォローしてもらいました。実家での療養中は「理学療法士としての自分」を捨てきれず、心疾患があっても様々な経験をしているからこそ、他の人にはないものを持っている理学療法士になれると自分に言い聞かせ、毎日、町の体育館にあるトレーニングルームへ行き、自転車エルゴメーターを漕いでいたことを思い出します。

体育館の横のグラウンドで、慣れないクラスの仲間と保育園の運動会へ参加している我が子に申し訳なさを感じ、泣きながら自転車エルゴメーターや筋トレ、バランスボールと向き合っていました。

自分だけでなく、家族や周りの人が自分のために頑張っている姿を近くで見てきた事で、抑うつ状態の悪化を防ぐ事ができたと思っています。

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周産期心筋症・慢性心不全と共に理学療法士として勤務。2人の男の子を育てながら、悪戦苦闘の日々を過ごしている。