ピアサポートは、あなただからできること。

公開日 2023年11月28日 最終更新日 2023年11月28日

こんな経験ありませんか?

  • 勤務について相談したいのに、病気の説明を求められてしまう
  • やりたい事があっても、病気を理由に反対される気がして周りに相談できない
  • 浮腫や息切れなど、身体の変化に対する不安を話しても重要性をわかってもらえない

心臓病がない人にとって、心臓病を抱えながらの生活はなかなか想像できないものです。

そのため、悩みや不安があって誰かに相談したいときも、相手によっては心臓病についてや生活上の注意点などをまず説明する必要がでてきます。これが、小さなストレスになる人も少なくありません。では、相手が自分と同じ病気を抱えている人だったらどうでしょう?

病気についてや生活の注意点はもちろん、あなたが今度受ける手術についてまで知っているかもしれません。そんな人だったら、悩みや不安を相談しやすいと思いませんか?

それが「ピアサポート」です。

共通する悩みを持つ人同士で支え合う。支えられる立場であり、支える立場にもなれる。心臓病を抱えるあなただからできることが、そこにはあります。

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執筆:大前 有香

理学療法士、心臓リハビリテーション指導士。病院、介護施設、在宅と色々な分野で働いてきた。今は2人を子育てしながら家での新しい働き方を模索中。執筆記事一覧

【目次】

ピアサポートとは

ピアサポートは、障害者やアルコール依存症などの病気、子育てに悩む親などが、同じ立場の人たちと悩みを相談し支え合う活動として知られています。

ピアサポートは、1900年代にアメリカで非行防止を目的とした制度から始まりました。その後、アルコール依存症の会が当事者同士で飲酒問題を解決したいという相互支援(自助グループ)が誕生しました。

日本では2000年以降に精神福祉領域でピアサポートという言葉が普及してきましたが、昔から「自助」という言葉で受け継がれてきています。

ピアサポートとは英語で「peer(仲間、同等) suport(支援)」日本語では「仲間を支える」となります。

ピアサポートの効果

ピアサポートはサポートを受ける側にも提供する側(ピアサポーター)にもいい効果があります。ピアサポートを受ける側には次のような前向きな効果があります。

  • 体験の共感、共有をすることで自己肯定感が得られる
  • 共通の体験に基づき相談ができるため、病状の説明などが必要ない
  • 自分と同じ病気を持ちながら生活している姿がロールモデルとなる

一方で、ピアサポーターには、自分の経験を持って誰かを支えることで、自己効力感や自己肯定感が得られるという効果もあります。

このように、ピアサポートにおいて自分の体験や経験を共有する事で、お互いに自己肯定感を得ることができます。

ピアサポートが仕事になる

障害者ピアサポート研修事業

ピアサポートへの注目が高まり、厚労省から「障害者ピアサポート研修事業」の実施が各自治体へ委託されています。

ピアサポート職員の配置

地域生活支援事業において、障害者ピアサポート研修を受けた職員を雇用していると「ピアサポート加算」がとれるようになりました。

この事によって、今までの障害者雇用枠とは違う形での雇用拡大が期待されます。

ピアサポーターの将来性

現在は、ピアサポート研修を受けるためには障害福祉サービス事業所などに雇用されている必要があります。

その為、まだ限られた人しかピアサポーターとしての活動はできていません。今後は、研修対象者の拡大や民間資格の普及など、より多くの人がピアサポートを行えるようになることが望まれます。

ピアサポートだけではいけない

ピアサポートは、心臓病を抱えながら生活している人にとって安心、安全な場所となります。しかし、そこに相互依存が生まれるとピアサポートのメリットはなくなり、病気のない人の拒絶へと繋がる危険があります。

わたしたちは、病気のない人が大多数を占める社会で生きています。病気がない人を「自分達とは違う」と拒絶し生きていくことは、病気の自分を受け入れない社会を容認することになるのです。病気があろうとなかろうと、関係なく生きていくインクルーシブな社会が必要です。そのためには、一人一人の価値観が大切です。

病気があることを、障害やハンデだと一番思っているのは当事者自身かもしれません。病気があるあなただからできることが必ずあります。ピアサポートはそのひとつに過ぎないのです。

病気になった人にしかできないことがある

「病気になった人にしかわからない」

理学療法士として働く中で、何度この言葉を聞いたでしょうか。そして、その言葉の前に私は成す術がありませんでした。大きな病気もせず健康な人はなんでもできると思われます。でも、病気になった人にしかできないことがあります。

私はこのピアサポートを知って、とても可能性を感じました。ピアサポートの質が向上すれば、カウンセラーやコーチングのように独立、起業の道につながるかもしれません。そうすることで、心臓病を抱えながら働く人たちに新しい道が開けるのではないかと期待しています。

※はとらくでは、完全無料でキャリア相談を受け付けています。ぜひ、ご相談ください。

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理学療法士、心臓リハビリテーション指導士。病院、介護施設、在宅と色々な分野で働いてきた。今は2人を子育てしながら家での新しい働き方を模索中。