心臓病を抱える方、定期外来通っていますか??
私が大人になってぶつかった人生最大の壁は、心臓定期外来をドロップアウトしたことが原因で起きました。私のとってのドロップアウトとは「術後フォローアップの際に、来院しなくなったこと」を指します。
わたしの病歴を振り返りながら、人生最大の壁に対して、どう向き合い過ごしてきたかお話しします。そして、ドロップアウトの怖さや発信の理由など少しでも皆さまが日々の暮らしを安心して過ごせるようお伝えできればと思います。
執筆:はらぺこママ
ファロー四徴症・肺動脈弁閉鎖不全で2度の手術を経験。現在、弁置換とICDを挿入。Voicyにて「暮らしが好きになるラジオ」を配信中。フードデリバリーの配達員、フリーで在宅勤務をする小学生のママ。GLAYファン。(Voicy:voicy.jp/channel/3906) 執筆記事一覧
【目次】
- 幼少期~成人期までのわたしの人生
- 病気から意識が離れたことで、人生最大の壁が目の前に
- この経験から伝えたいこと
- 自分の病気と正面から向き合ってほしい
幼少期~成人期までのわたしの人生
先天性心疾患ファロー四徴症で仮死状態で産まれ、歩くのも遅く走り回ることができなかった幼少期が、3歳で手術を行ったおかげで、その後は健康なこどもと変わらない生活を送ってきました。
学生時代も長距離マラソンのみ制限はありましたが、部活はバスケットやソフトボールなどアクティブに活動し、日常生活の制限はほぼなく、定期外来は1年に1度通うことだけで済んでいました。
そんな学生生活を送り無事に社会人となることができました。しかし親元を離れたことで、私は病気に対する考え方が甘くなっていったのです。
病気から意識が離れたことで、人生最大の壁が目の前に
社会人となりしばらくすると、仕事が忙しいことを理由に定期外来にいかなくなりました。
仕事が大事、友達が大切、元気だから大丈夫!これといって具合が悪いわけもなく、心臓に症状が出ていないことが自分を安心させ1年、また1年と定期外来を伸ばし伸ばし、今更病院へ行くのが気まずいなとまで感じるようになってしまいました。
そして25歳を過ぎ少しずつ心臓に違和感を持ちました。
- なんかドキドキする
- 動悸がして起きる
- ふらふらする
にもかかわらず、まだ「元気だし」という安易な理由で外来には足を運びませんでした。
それから約3年後、同僚や先輩から「顔色が悪い」と指摘をされようやく重い腰を上げて外来へ行きました。そこで待っていたのは、新たな病気でした。問診を終えると、「もう少し詳しく調べましょう」と別室に行き検査。そこで告げられたのは「肺動脈弁閉鎖不全症」という病気でした。
ふらつき、めまいはこの弁膜症が原因でした。それからは3か月に1回外来へ通い、薬を飲みながら様子をみていくことに。担当の先生には、「心臓は症状が出てからでは手遅れになることが多い。だから定期外来にはきてね」と優しく諭されました。
しかし薬を飲むことで症状が緩和、これにまた甘え仕事や生活のペースを緩ますことなく暮らしていたある時、致死性不整脈で失神。「肺動脈弁閉鎖不全症」が悪化したことによる不整脈でした。病院へ運ばれ、即入院、歩行も禁止されベットの上、移動も車椅子となりました。もちろん仕事は休職です。
幸い意識が戻りましたが、弁の置換術、そして致死性不整脈を起こしたことでカテーテル検査後、ICD植え込みになりました。1か月半の入院生活の後、3か月で職場復帰をするも以前のような元気な身体には戻らず不自由な生活が待っていました。術後の体調変化は数年に渡りわたしを悩ませ、復職はしたものの約1年半で退職となりました。
「親元を離れてからも年に1回定期外来に通っていれば、こんなことにならなかったのではないか…」自分の身体を過信した後悔で頭がいっぱいになりました。職場で培ってきたキャリアを手放し、今までできていた暮らしを手放してようやく自分の病気をきちんと理解しようと思えました。
この経験から伝えたいこと
ちゃんと通院していていも結局再手術はそのうち必要だったかもしれない…。そうだったとしても、定期外来へ行かなかったことで確実に命の危険が目の前に迫ったことは事実です。
産まれたときから「心臓病」のわたしは心臓病であることが当たり前でした。「それがわたし」くらいに思っていたのです。
学生時代は親と一緒に病院へ行き、先生と話をするのも親でした。心臓病は当たり前としてわたしの中にあり、病気への意識はほぼなかったです。
若さゆえに無理がきき、症状が出てないから「大丈夫」とも思っていました。私が致死性不整脈で倒れ、助かったのは運がよかっただけです。
ドロップアウトで知った定期外来の大切さ、再手術後の復職・退職の経験術後の生活の変化やその中で変えていった自分の考え方などこれから皆さまにお伝えしたいです。
心臓病当事者の方、そのご家族さまに少しでも安心した暮らしをしてほしいという想いで、私の体験談を書かせて頂きました。
自分の病気と正面から向き合ってほしい
この経験がきっかけで、どことなく他人事だった病気を受け入れることができました。子供はいずれ親の元を離れていきます。今まで守ってくれていた存在が遠くなることで自分の身体の責任は自分になります。
正しく病気を知り、病院と連携して暮らしていくことが、心臓病患者のひとりとして安全安心に暮らせると感じました。これからを生きる先天性心疾患のこどもたちには、ぜひ自分の病気を自分で伝える力を付けてほしいと思います。
そして、何も症状が無くても定期外来には必ず行く。自分を守ることは、大切な友達や自分を育ててくれた家族を守ることと同じです。元気でも、症状が出ていなくても定期外来には通うことを、心に留めていただければと思います。