周産期心筋症の発症から10年。いつかまた、心不全を引き起こすかもしれないという不安との向き合い方

公開日 2024年7月28日 最終更新日 2024年8月4日

周産期心筋症により、重症心不全を経験し、現在、慢性心不全の状態で日々過ごしています。

周産期心筋症から10年経ち、再発はしないものの、いつ心不全を引き起こすかと不安な気持ちで過ごしています。そんな中で、自分が経験している不安に対して、どのような対応をしているのかを伝えられたらと思います。

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執筆:kazumi

周産期心筋症・慢性心不全と共に理学療法士として勤務。2人の男の子を育てながら、悪戦苦闘の日々を過ごしている。執筆記事一覧

【目次】

自分の病態を知ることがスタート

筆者の場合は、妊娠・出産がきっかけで生じた周産期心筋症というものなので、心臓自体に問題がある場合に該当しています。

また、重症心不全により回復するために実施した体外式補助人工心臓を一時的に装着し、心臓自体に穴を開けているため、現在も心臓自体の動きは全体的に動くようになってきましたが、金具が付いている部分は動きが悪いため、血流に淀みが生じやすいことから、抗凝固剤をずっと服用し、これからも服用していくことと思います。

先ほど書いた通り、心不全は「だんだんと悪くなっていく」病気になるため、筆者の状況も当てはまらないわけでもありません。しかし、周産期心筋症という病態がまだまだわかっていないことが多く、ネットの情報からでは断言してされているものは見当たりません。理学療法士として、予後を考慮したリハビリのゴール設定ということをするのですが、自分の身体的なことや社会的なことの予後も大体見えてきてしまいます。

そこで、自分の病態を理解して(これを受け入れるのに何年もかかっています。)、筆者が目指すところは何か、そのためにはどのような身体状況でなければいけないのかと明らかにしていました。

目標としては理学療法士として復帰し、自分の経験したことを利用者さんや患者さんへ生かしていくこと。そして、自分の子供達の成長を見届けることでした。しかし、家事・育児・仕事をしていくには身体としてはとてもハードで、現在も職場や家族の支えがなければやっていけません。欲張りすぎかと思いました。そこで、筆者の体からのSOS状態を職場や家族に伝え、職場では“なんとなくおかしい”という感じがしたら、休憩を入れさせてもらったり、早退させて頂いたりしています。

何かあったらどのような流れで受診をするかなど上司と確認して、仲間に周知させて頂いています。通勤には車で1時間程度かかるため、帰れる体力があるうちに帰る形をとらせて頂いています。背中が苦しくなった場合、酸素が体に入ってこない感じがある場合は一旦横になり、バイタルを測定し、安定剤を服用しても眠れるようであれば、様子を見ています。

また、常時アップルウォッチにて必要時に心電図の測定、SpO2の経過を見ています。このアップルウォッチを使用するようになってから、体調確認する引き出しが増えました。一般的な心電図とは違うため、状態が落ち着いている時の心電図と比べ、どうかを参考程度に見ています。また、身体的な負担がかかることもありますが、精神的に負担にかかる場合もあり、自分はもうどこまで対応できるのかを身体や心を相談しながら対応しています。

10年経っても不安はある。だからこそ向き合い続ける必要がある

筆者の場合、救急搬送された時のことやせん妄状態や夜のICUの時のことを鮮明に覚えているため、心不全が再発した際には、今の生活が崩れ、あの苦しさや環境の変化、仕事休むことなど現在まで壁にぶち当たってきたことをまた経験し、もう復職はできないだろう、などど考えてしまいます。これは、10年経っても変わりありません。

自分の人生の目標に向かって、何が必要で、そのためにはどうしたら良いかを意識することが心不全と付き合っていくことになると思います。例えば私の場合は、母親として、理学療法士として仕事をしていくために、体調を維持していくここと、メンタルを安定して心臓への負担を減らす事が必要で、そのために身体が頑張りすぎないように適宜休憩をとり、話を聞いてもらうなどストレス発散を随時行うように意識しています。

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これからの人生でも覚悟を持って向き合い続ける

筆者の場合、妊娠・出産がきっかけで発症した心不全であったため、当時文献等にも周産期心筋症に関するものがあまりなく、どうなるのかという不安が始まりでした。重症心不全の時に体外式補助人工心臓を装着したことで、離脱はしましたが、心臓には金具が付いており、血栓が生じやすいため、抗凝固剤を服用しています。

心不全だけでなく、血栓が飛んでしまう脳梗塞の不安も付き合っています。先を考えるとどのようなことが想定されるか考えられるため、自分の人生に納得した人生が送れるように行動しています。一度弱くなった心臓は、虚血性心疾患による心不全とはきっかけは違いますが、「心不全」と付き合っていくことに覚悟を決めて、後悔のない人生を全うできるよう付き合っています。

周産期心筋症・慢性心不全と共に理学療法士として勤務。2人の男の子を育てながら、悪戦苦闘の日々を過ごしている。