公開日 2023年5月16日 最終更新日 2023年11月11日
これから復職を検討している方はどのような方法での復職準備をしていくのでしょうか。長期間の休業や前例がない病欠での休業では職場も対応に困ってしまいます。
そこで、リハビリ勤務(お試し勤務)後に復職するという経験をしたので、復職するための1つの手段として知っていただけたらと思います。
また復職については、こちらの記事「休職したら終わりって本当?休職から復職までの流れや休職中の給与について解説」で詳しく解説しています。
執筆:kazumi
先天性心疾患心室中隔欠損で3歳半で根治術を受ける。その後ごく普通に生活していたが35年経ち再手術。現在、息子と猫に翻弄される日々を送る。執筆記事一覧
【目次】
リハビリ勤務(お試し勤務)とは?
明確な定義はないようですが、一般的には「職場復帰前に職場復帰の判断等を目的として、本来の職場などに試験的に一定期間継続して出勤すること」とされています。リハビリ勤務のほかにも、ならし勤務、試し勤務、リハビリ出社という言葉があるようです。
JILPTの調査(平成25年)の調査によると、病気休業制度があるうち、リハビリ出社を認めている企業は、メンタルヘルスの場合76.8%、その他の身体疾患の場合72.1%となっています。
続いて、大切な給与や年次有給休暇の扱いについてもご紹介します。
労働基準法では、有給休暇は2年で失効します(115条)。6ヶ月間連続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して有給休暇が付与されるとされています(39条)。また、病欠中は健康保険法では傷病手当金を利用することが可能ですが、支給期間は1年半が限度となっており、リハビリ勤務は休業中に行うため、有給休暇がなく、傷病手当金の支給期間外になると「無給」となります。
出典:日本医療労働組合連合会 2017年版女性の権利ノート改定10版
リハビリ勤務を経験して分かったメリット・デメリット
こちらの記事でも書いたように、私は病気を患ってから復職をするとき、リハビリ勤務を体験しました。実際に体験して感じた、リハビリ勤務のメリットとデメリットを紹介します。
リハビリ勤務のメリット
リハビリ勤務を選んで良かったと思ったポイントはこちらです。
- 無理のない範囲から職場に慣れることができる
- 職場側も様子を伺いながら対応できる
- 復職プランを随時修正できる
- 無理のない範囲から職場に慣れることができる
この中でもとくに「無理のない範囲から職場に慣れることができる」ことが助かりました。
普通に復職をすると、通勤や仕事によってかかる心身への負担で、場合によっては体調を崩してしまうこともあるかと思います。ですが、リハビリ勤務であれば、その負担を軽減できます。
私の場合は、通勤や雰囲気なども含め、職場側も様子を伺いながら対応でき、必要があれば復職プランを随時修正することもできる状態での復職でした。
リハビリ勤務のデメリット
反対に、リハビリ勤務にはいくつかのデメリットもありました。
- 責任を持った仕事ができない
- 無給
- 職場側もどのようなことを任せたらよいか分かりにくい
- 業務中の事故(労災)などの補償は要確認
- 休業中に行うため、責任を持った仕事が行えない
中でも「休業中に行うため、責任を持った仕事が行えない」ことに一番悩みました。
リハビリ勤務はあくまでも「休業中」なため、責任を伴う内容の仕事が出来ず、本人も職場側もどのような仕事をしたらよいかわからない状況でした。
なので、本格的な復職のために知識を深める時間にしたり、利用者のお話相手をしていました。正直、仕事という仕事はできなかったこともあり、何度も心が折れそうになりました。
ですが、リハビリ勤務の目的を何を、本人と職場側がはっきりを認識していれば解決される部分だとも思いました。
私が経験したリハビリ勤務プラン
私がリハビリ勤務をするとなったとき、職場とたくさん話し合いました。そこで、正式に復職するための条件は「週5日7.5時間勤務が可能であること」とされました。
リハビリ勤務開始時点で2年以上の休業をしていたため、まず欠勤という扱いの中でのスタートとなりました。主治医からは検査データを見ながら身体的負荷がかかりすぎない程度から始められるようにと言われ、職場と相談。
週3日半日勤務から開始をして、2週〜4週ごとに出勤頻度・時間を変更していきました。大きく体調を崩すことなく出勤することができ、育児短時間勤務制度を利用して4ヶ月目に復職することが出来ました。
【リハビリ勤務プラン】
- 1週間目〜:週3日(月•水•金)9時〜12時
- 4週間目〜:週3日(月•火•金)9時〜12時
- 6週間目〜:週4日(月•水•木•金)9時〜12時
- 8週間目〜:週5日9時〜12時
- 10週間目〜:週5日9時〜14時
- 14週間目〜:週5日9時〜16時
- 16週間目〜:復職(育児短時間勤務制度を利用)
こちらが私が、リハビリ勤務を開始してから正式に復職するまでの勤務プランです。
またリハビリ勤務をするにあたって職場には、下記の内容をお願いしていました。
- 体調不良時、緊急時の対応等(連絡先、搬送先等)
- どのような体調不良を起こしやすいか、対処法
- 体力的にできること、出来ないこと
どのような症状の体調不良を起こしやすいかを同僚に説明し、救急時の搬送先と連絡先を共有させてもらいました。
また、CPXの結果とMETsを提示してやれることとできないことを伝え、横になれる場所の確保や、自宅まで帰れる体力が残っているうちに勤務を終了したいということなどもお願いしました。
まとめ
勤務先では初めて長期間の療養後、身体疾患における復職のための「リハビリ勤務」という勤務形態を経験しました。リハビリ勤務開始後は大きな体調不良もなく、職場に慣れることから勤務することができ、正式に復職することが出来ました。
復職の相談をしていく上で、復職は無理なため自主退職の話が出ていたとも聞こえてきていました。「無理するな」「焦るな」と何度も言われましたが、そのままでは退職の話が進むと思い、自身が出来る仕事をアピールし、細かく職場と話し合っていきました。
復職には、身体機能回復及び疾病や障害の受け入れに時間がかかることに加え、疾病に対する働き方に対して周囲の理解に時間がかかることがわかりました。しかし、復職したいという気持ちと職場との細かなコミュニケーションがあれば、時間は要しても復職できるのではないかと思っています。
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