先天性疾患がある子供を育てる心構え 私が健常な子と変わらない接し方を心がける理由

公開日 2023年10月19日 最終更新日 2024年1月8日

私は生まれてきた長男が、生後二日で先天性心疾患である心房中隔欠損症と心室中隔欠損症と診断されました。

最初は疾患に対して不安や心配が強く、過保護だと思われるくらいの接し方をしていました。それがある時、できる限り健常な子と変わらない対応をした方が子供にとっても親にとってもいいのではないかと感じて、それ以降はあえて普通の接し方を心がけて生活するようになりました。

そこで私がなぜ健常な子と変わらない接し方を心がけているのかその理由と、具体的な方法を紹介していきます。

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執筆:はづき

ライター。看護師として循環器・心臓血管外科病棟で働いていた。1歳の長男は心房・心室中隔欠損症あり。現在心房は自然に閉じて心室中隔欠損症の経過観察中。執筆記事一覧

【目次】

健常な子と変わらない接し方を心がけるようになったきっかけ

私が健常な子と変わらない接し方を心がけるようになったのは、主治医の「お母さんが疲れちゃう」「上の子を犠牲にするのは違う」という言葉がきっかけでした。

生後2日で先天性疾患が発覚した後、私は心配が止まらず「この子の変化に気づけるのは私だけだ、私しかこの子を守ることはできないからしっかりしないと」と強く感じていました。

そのため、呼吸の様子や体重が増えているかなども細かく見て、産後退院する前には主治医に体重計の話や観察についての話を聞きました。観察のポイントについては説明を受けてホッとしましたが、体重計については「授乳する度に体重測るなんて大変でしょ?それに、日によって凄く増える時もあれば増えない時もある。それを過剰に心配してお母さんが疲れちゃうから体重計はいらないと思うよ。定期的に病院にくるから、その時一緒に判断しよう」という言葉をもらいました。

今となれば先生の言葉に救われたと感じますが、その当時は「本当にそんな感じで大丈夫だろうか?」と、半信半疑でした。それでもあの時体重計を購入していたら、体重の増えが悪い事を心配する日々になっていたに違いないと思うので、先生の言葉を信じて体重計を買わずに過ごせて良かったと思っています。

また、当時2歳の上の子は来年から幼稚園に入ろうか悩みましたが、下の子の心臓に悪影響になるような病原菌をもらってきちゃうんじゃ…」と感じて入園をためらっていました。
そんな状況を知ってか知らずか、受診した際先生に相談する前に「上の子を保育園に入れようか悩んでるんだったら、悩むことないよ。入れてね。下の子のために上の子に我慢させるのは上の子を犠牲にしてることになるからね」と言われました。

それでも心疾患のある下の子が心配な私は、「でも何か病気をもらってきてしまったら…」と先生に伝えましたが「その病気が下の子に移って、心臓的にしんどくなったらそれはその子の手術するタイミングだったってことだから。」と言われて確かにその通りだ、と納得できました。

心配なことは主治医と話したり、教えてもらうことで意識して健常な子と違う接し方をする必要はないんだと感じるきっかけになりました。

健常な子と変わらない接し方をする理由

私が健常な子と変わらない接し方を心がけている理由は、心疾患を持って生まれたわが子も当然大切でかけがえのない存在ですが、健常な上の子ももちろん大切で比べることができない存在だからです。

生まれたばかりの頃は、上の子が下の子に触れていると、何かばい菌がついてるんじゃないかと心配で下の子を遠ざけてしまっていました。

ただ、そういった扱いをしていると下の子は特別で自分がないがしろにされていると上の子が感じてしまうような気がしました。そう感じたきっかけが、私が口うるさく言ったとき、上の子が寂しそうな悲しそうななんともいえない表情をしたことです。

今まで独占していた親を下の子に取られて、それでも我慢している上の子に対して私はなんてことをしてしまったんだろうとものすごく反省したことを覚えています。

私は下の子が心配なあまりに、上の子に我慢を強いていたことに気づいたため、できるだけ我慢はさせず、差をつけることなく2人に接するように心がけるようになりました。

誰かの犠牲の上では、家族として良好な関係を築くことはできないと感じるので、健常な子と変わらない接し方を今後も大切にしていきたいと思います。

【関連コラム】

先天性心疾患があるわが子との具体的な接し方

上の子、健常な子と差をつけない接し方として、具体的に私が日々気を付けていることを紹介していきます。

上の子と差をつけない

私が気を付けていること1つ目は、上の子と差をつけない事です。
年齢的に、どうしてもまだ下の子は理解できないこともありますが、上の子には下の子は理解できないといわれても分からないと思います。

そのため、理解できる・できないは別として上の子と同じように説明をします。下の子が上の子を叩いてしまった時は、「まだ叩くことが悪いと分からないだろう」と思いながらも、上の子の前で下の子に「ダメなことだよ」と伝えて、「まだ下の子はごめんねできないから、ママが代わりに謝るね。ごめんね。」と伝えています。

そうすることで上の子もすっきりした顔をして「いいよ」と言ってくれます。病気や年齢を理由になんでも許したり甘やかすことは私の中で違うと思っているので、これからもこういった接し方をしていきたいと思います。

ダメなことはダメ、泣いててもひるまない

気を付けていること2つ目は、ダメなことはダメと伝えて、泣いたからといって意見を曲げないところです。

たとえば上の子が食べているお菓子が食べたくて泣いている時など、どうしても下の子の意見を聞けないこともあります。

そういった時に、大泣きして長い間泣きわめいている姿を見ると、心臓に負担がかかってしまうのではないか…」と心配になってしまうんです。

それでも、そのくらいなら大丈夫、今ここで私が意見を曲げるのは違う、と思った時は気持ちを受け入れつつも泣いていても根気強く待ちます。

心配にはなりますが、これも上の子の時も徹底してきたので、下の子だけ心配だから特別、とはならないように心がけています。

自分でできることは見守る

気を付けていること3つ目は、自分でできることは見守るという点です。

よじ登ろうとしていて、ちょっと危ないかな?と心配になる場面やこちらが手を差し出せば問題なくできることでも、近くで見守り、できる限り手を出さないようにしています。

「心疾患がある」と思うとつい過保護になりがちなので、そうならないように意識して心がけています。

特別扱いは必要ない

今回は、先天性心疾患があるわが子に対して、あえて健常な子と変わらない接し方を心がけるようになったきっかけやその理由、具体的な方法をお伝えしていきました。

私は良い主治医に巡り合え、とにかく「先天性心疾患があるからって区別しすぎないで普通に育てていけばいい」と教えていただきました。

主治医のそういった言葉がきっかけで、持病のない上の子と差をつけずにとにかく「普通」に接することを心がけるようになりました。

そうはいっても最初は接し方に戸惑いましたが、気にしすぎず生活することで親である私自身も疾患にとらわれすぎずに生活できるようになってきたように感じます。

これからも日常生活を送る上で、先天性心疾患があるからという理由ですぐにやめさせたり制限するのではなく、主治医と相談しながらできる範囲で「普通」に育てることを心がけていきたいと思います。

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ライター。看護師として循環器・心臓血管外科病棟で働いていた。1歳の長男は心房・心室中隔欠損症あり。現在心房は自然に閉じて心室中隔欠損症の経過観察中。