公開日 2023年5月23日 最終更新日 2023年11月11日
前回の記事で書いたように、今回はS-ICDが誤作動をした時のことについて書いてみます。
「誤作動した」と言うと、S-ICDがすごく危険なものと思われるかもしれません。ですが、普通に生活をしていれば誤作動を起こすことは滅多にありません。
今回は反省の意味も込めて、自分が誤作動を引き起こした時の状況をご紹介します。また、S-ICDについては、こちらの記事「S-ICD(皮下植込み型除細動器)とは?ICDとの違いやメリット・デメリットを解説!」で詳しく解説しています。
執筆:宮﨑 駿
ライター・編集者。大学卒業直前に心室細動を起こし、AEDによる救命を経験。現在はS-ICDを挿入している。障害者雇用専門の転職エージェントを経験し、ライター、編集者として独立。やたらと甘いものを食べている。(Twitter:@hayawo_)執筆記事一覧
【目次】
未体験の電気ショックへの恐怖心
S-ICDがどんなものなのか説明を受けた時、まず電気ショックに対する恐怖心が生まれました。
主治医からは「作動した時の感じ方は人によって差があるよ。すごく強く胸を叩かれた感じがした、と言う人もいるし、寝てる間に作動して気づかなかったなんて人もいるから」と説明されました。
ただ、そう説明されたとしても全く想像がつかなかったため、とにかく電気ショックがどんな感じなのかがずっと不安でした。
もちろんS-ICDを植え込まないという選択肢はなかったため、大人しく手術を受けました。その後退院する前に、生活上の注意点を説明されました。その中で「胸元に強い負担がかかることをしたり、直接的に強い衝撃を受けると、S-ICDが故障したり誤作動したりするから気をつけてね。特に運動するときは注意して、無理しないようにね」と告げられました。
機械だから壊れたり誤作動したりはあるだろうと自分でも薄々わかっていましたが、はっきり可能性があると告げられたことで、恐怖心が拭えないまま退院することになりました。
油断したタイミングで誤作動発生
不安に思っていた退院後の生活は、予想以上に普通でした。
いくつかの制限はありましたが、食事も趣味も仕事も不自由は特に感じることもなく、家族や友人から必要以上に気を遣われることもありませんでした。
しかし、この生活を続けていく中で自分の中で油断が生まれてしまっていました。
誤作動が起きたのは退院してからちょうど3年ほど経ったころ。原因は筋トレでした。
「軽い運動やトレーニングなら問題ないけど無理はしないでね」と言われていたんですが、あまりにも生活に不便がなかったので「無理はしないでね」の部分がいつの間にか頭から抜けていました。
その当時、夜に15分程度の筋トレをすることが日課になっていました。内容としてはスクワットや腹筋など、簡単なものばかり。そして最後に「プランク」をやるようにしていました。
いつもは1分やって終わりにしていたんですが、なんとなくその日は調子が良かったので「もう少しやってみようかな」と1分を超えても続けてしまいました。そして1分30秒くらいを過ぎて辞めようとした時、いきなり大きな衝撃を感じて目の前が真っ白になりました。
何が起きたかは全く分からず、気づいたら仰向けに倒れていました。そこから10秒くらい完全に放心状態。少し落ち着いてきた時、胸とお腹に強めの痛みを自覚し、そこで初めてS-ICDが誤作動したと理解しました。
電気ショックの強さは予想より大きく、心の底からびっくりしました。正直痛みよりも驚きの方が感情としては勝っていました。
それからはすぐに病院に連絡。すると「初めての作動ということもあるので、念の為にこちらまできてください」と言われ、タクシーで直行しました。
まだその時点では誤作動とはっきりしていたわけではなかったので、一通りの検査を受けました。検査の結果誤作動と判明。
原因は「胸元の筋肉の細かい震えを不整脈と勘違いした」からとのことでした。まさかの勘違い。
体には一切異常は起きていなかったので、一晩入院して翌日の午前中には帰宅できることに。そして主治医からは「プランク禁止令」が出されました。
2度と誤作動させないと誓った
S-ICDの誤作動を実際に体験してみて思ったことはただ1つ「もう2度と誤作動を起こすようなことはしない」です。
誤作動を起こしたからといって、健康に直接的(しばらく鈍痛はあった)な被害はなかったし、翌日には普段通りの生活に戻れました。とはいえ、誤作動が起きた瞬間の衝撃はいまだに忘れられません。
今回の誤作動については、主治医の教えを守らず油断したことが原因でした。もう二度とそんなことはしないと、心に誓いました。
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