「頭で考える疲れ具合と、心臓に溜まっている疲れには差があるのかもしれない」そのことを把握することが大切

公開日 2024年4月2日 最終更新日 2024年4月2日

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寄稿者:猪又 竜

完全大血管転位症・長野県教育委員会人権教育講師・長野県ヘルプマークディレクター・長野看護専門学校非常勤講師・SOMPOホールディングス株式会社

【猪又さんのインタビュー記事はこちらから!】

伝えることの難しさを伝えたい

ほんの30年、40年前までは重度の先天性心疾患で生まれた赤ちゃんは大人になれませんでした。今では医療が進歩し90%以上の患者さんが大人になれる時代になりました。

そして、大人になれるようになったということは、その人数分だけ働く患者さんが増えるということです。ですので、成人した先天性心疾患患者のコミュニティでよく話題にあがることが「仕事」です。
さらにその仕事の話題の中で「疲れがたまってくると休暇をもらわないといけない」という、多くの患者さんが共感するテーマがあります。

私は完全大血管転位症を持って生まれ、今年で47歳になります。重度の先天性心疾患患者としてはパイオニア的な立ち位置ですので、たくさんの後輩患者から相談を受けます。

そこで「疲れがたまってくる」という状態を、自分自身も理解して周囲の人にわかりやすく説明するにはどうしたらいいか考えてみました。

私自身もたびたび経験することなのですが、自分自身では十分休息をとりながら生活しているつもり、無理していないつもりと、このくらいは問題ないと頭の中で思っているのに、不整脈が頻発したり、激しい倦怠感に見舞われたりする日があります。この事実を言葉だけで伝えて、健康な周囲の人に理解してもらう、これは本当に難しいことです。

そこで自分の経験と感覚をもとに、下記のような説明資料を作ってみました。

この資料で最も伝えたいことは、頭で考えている疲れ具合と、病気の心臓の疲れ具合には差があるということです。先天性心疾患の心臓は形が正しくないですし、外科手術でダメージを負っているので疲れ方が大きいと考えています。これは私の経験則なので医学的なエビデンスはないのですが、自分自身も理解しやすいし、相手にも説明しやすい資料となっていると思いますので、ぜひご活用ください。印刷して職場にもっていってもOKです。

先天性心疾患患者は「見た目ではわからない」ので、どういった病気なのか、どんなことができないのか(医師から止められているのか)、どういう配慮をしてほしいのか、すべて自分から発信しないといけない現実があります。これは実はすごくエネルギーが必要で、ストレスを感じます。面倒だと感じ、周囲の雰囲気(心理的安全性)によっては説明をしない・できない人もいるのではないでしょうか。

これからも、説明しやすい資料ができたら共有します。

最後に、私は医師と看護師と共にYoutubeチャンネル「Living with Heart ~みんなの生き方~」を運営しています。先天性心疾患患者さんの参考資料となるように、いろいろなテーマで患者さん自身が出演してくれています。ぜひご覧ください。

はとらくを通じて、心臓病への思いを届けていただいています!