狭心症になるとできる仕事が制限される?治療しながら働く方法やできない仕事を解説

公開日 2023年2月23日 最終更新日 2024年7月12日

「狭心症があると仕事に制限があるのか。」
「狭心症の治療を継続しながら仕事がしたい。」
「発作が起きたときにどうしたらいいのだろうか。」

狭心症により仕事の制限があるのかと、不安を感じたことはありませんか?

病気になって治療を行い、復職しようと考えたときにも元の仕事ができない不安もありますよね。

狭心症の人には仕事の制限はありますが、治療を継続しながら働くことができます。

治療のためにも、生活のためにもお金は必要です。収入がないと安心して治療を続けられません。

今回は、狭心症について理解し、制限がありながらも自分に合った仕事を見つけられるよう解説しています。

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監修:谷 道人

沖縄県那覇市生まれ。先天性心疾患(部分型房室中隔欠損症)をもち、生後7ヶ月で心内修復術を受ける。自身の疾患を契機として循環器内科医を志す。医師となった後も、29歳で2度目の開心術(僧帽弁形成術)、30歳でカテーテルアブレーションを受ける。2018年琉球大学医学部卒業。同年、沖縄県立中部病院で初期臨床研修。2020年琉球大学第三内科(循環器・腎臓・神経内科学)入局。2022年4月より現職の沖縄県立宮古病院循環器内科に勤務。

【目次】

狭心症とは

狭心症は、心筋梗塞と合わせて虚血性心疾患と呼ばれています。虚血性心疾患は、がんや脳卒中と並んで日本人の3大疾病の1つです。

ここでは狭心症とはどのような病気か、症状や治療、検査について詳しく説明します。

狭心症はどんな病気?

狭心症とは、心臓をとり囲む血管や冠動脈が細くなり、血管の中の血液が流れにくくなった状態です。狭心症の原因には、コレステロールからできたプラークが血管の内側にくっつくことで血液の通り道を狭くしてしまうものがあります。

この中で、プラークが固まっているが形は安定しているものの、体を動かした時など心筋に酸素がたくさん必要になった時のみに心筋への血液が不足して起こるものを「労作性狭心症」と言います。

また、プラークがまだ安定しておらず柔らかくもろいために心筋への酸素が必要かどうかとは無関係にプラークの変動により血流阻害を起こして心筋の虚血に陥るものを「不安定狭心症」と言います。

冠動脈が一時的に痙攣を起こすような状態になって血管が縮むために起こるものがあります。これを「冠攣縮性狭心症(異型狭心症)」と呼びます。

冠攣縮性狭心症については、こちらの記事「冠攣縮性狭心症による仕事制限は?生活に活用できる制度を解説!」で詳しく解説しています。

狭心症の前兆

狭心症の前兆は、胸の痛みや胸の締め付けられるような圧迫感、肩やあごの痛み(放散痛)です。

発症しやすいリスク要因は以下の8つとされています。

  • 高血圧
  • 肥満糖尿病
  • 高脂血症
  • 高尿酸血症
  • ストレス
  • 喫煙
  • 家族歴

心臓病とストレスの関係については、こちらの記事「心臓病とストレスの意外な関係とは?影響を受ける病気や適切な対処法も解説!」で詳しく解説しています。

狭心症の検査や治療

狭心症の治療を開始するために、まずは医師による問診を受けます。どんなときに、体のどの辺りに、どのくらいの時間(長さ)、どのくらいの痛みがあるのかを尋ねられます。

狭心症に対する検査は、心電図と心エコー検査、運動負荷検査、ホルター心電図、血液検査、冠動脈造影検査、冠動脈CT検査、心筋シンチグラム検査があります。

狭心症の治療は以下の通りです。

発作の応急処置としては、ニトログリセリンを舌下することで1〜2分で症状が落ち着きます。症状が落ち着かない場合、心筋梗塞には効果がありません。抗血小板薬と抗凝固剤を使用することで血液が固まることを防ぎ、冠動脈の血流を改善できます。

硝酸薬やカルシウム拮抗薬は、冠動脈を拡張させ血流を改善します。

狭心症の手術では、カテーテルインターベンション(PCI)があります。細い管のカテーテルを冠動脈に挿入し、先端に装着したバルーンやステントを使って血管を広げることで血流を改善させます。

手首や鼠径部の動脈からカテーテルを挿入し、心臓の冠動脈まで持っていきます。冠動脈の詰まりや細くなった部分を迂回して新たな血管をつなぐ手術を冠動脈バイパス術(CABG)と言います。カテーテルインターベンションと比べ、新しい血管を設置することで血流が完全に改善できるといった長所があります。

狭心症の人ができない仕事・働く上でのハードル

治療が進み自宅での療養へと移行した後には、仕事復帰を検討していかないといけません。狭心症の方が働く上でのハードルはどのようなことがあるのでしょうか。

  • できない仕事がある
  • 体調が安定しないため長時間労働が難しい
  • 目に見えないため症状を理解してもらいにくい

具体的に解説します。

できない仕事がある

狭心症をはじめとした心臓病を抱えた方の場合、どんな仕事ができるというわけではありません。特に力仕事や現場仕事など、身体的な負担が大きな仕事を継続的に行うことは難しくなります。

症状の重さや治療方針などによって、具体的にできない仕事には差があるため、まずは主治医に相談して確認しましょう。

体調が安定しないため長時間労働が難しい

症状がなく体調がよいときもありますが、基本的に体調が安定していないため長時間労働が難しいです。

例えば、夜勤のように人が少なく長時間労働の場合は、体調が悪いときには相談しにくいことで我慢してしまうこともあるでしょう。働く時間帯や勤務時間の調整をしてもらえる職場を探すことが重要です。

目に見えないため症状を理解してもらいにくい

狭心症をはじめとした心臓病を持つ人は、その症状や治療状況が目に見えないために他の人に理解してもらいにくいと経験した人も多いでしょう。

症状を理解してもらえないことで「サボっている」「楽をしている」と誤解されてしまう不安も強く、辛くても我慢してしまう人もいます。狭心症への理解が得られる環境が重要と言えます。

目に見えない病気だからこそ職場からなかなか理解を得られなかった体験について、こちらの記事「 見えない疾患の職場での理解の必要性と難しさ~先天性心疾患者の私の体験から~」で紹介しています。

狭心症の人が働きやすい職種・環境

狭心症の方が働きやすい職種や業界はどういったところがあるでしょうか。

  • 仕事と治療を両立できる環境を事前に調べる
  • 体への負担が少ないデスクワークがおすすめ

ここでは、この2つについて具体的に解説します。

仕事と治療を両立できる環境を事前に調べる

通院のための休みや勤務時間について柔軟に対応できる職場を選択しましょう。

なかなか休むことができなかったり、相談しにくい環境だったりすると仕事と治療を両立させることができません。

仕事と治療を両立する働き方については、こちらの記事「通院しながらでも仕事はできる?治療と労働を両立するためのポイントを紹介」で詳しく解説しています。

体への負担が少ないデスクワークがおすすめ

職種は、身体的な負担が少ないデスクワークがおすすめです。

【デスクワークの例】

  • 一般事務
  • 経理
  • 人事
  • Webデザイナー
  • システムエンジニア・プログラマー

またこれらの職種は、リモートワークができる点もメリットです。

リモートワークであれば出勤する必要がなくなるので、身体的な負担も軽減でき、また時間にも余裕ができます。

リモートワークについては、こちらの記事「リモートワークができる職種とは?未経験から転職する方法も解説」で詳しく解説しています。

狭心症の人が転職活動をするときのポイント

狭心症の方が転職に成功するためのポイントとはどのようなことでしょうか。

  • 一般枠または障害者枠で求人を探す
  • 転職、就職のサポートを受ける
  • 可能ならば企業の見学をする

一般枠または障害者雇用枠で求人を探す

一般枠は、障害があることを伝えずに仕事をすることです。一般枠で仕事を始めたら、狭心症による治療を継続することや、症状などの配慮をしてもらえない可能性もあることも考えておきましょう。

障害者雇用枠では、障害があることを伝えて仕事をすることです。治療のための休みを希望したり、職場の理解を得られることができ、周囲のサポートも受けやすくなります。しかし、一般枠と比較したら求人数が少ないのが現状です。

転職、就職のサポートを受ける

狭心症を持つ人が転職や就職のサポートを受けるために、地域障害者職業センターとハローワークを利用することをおすすめします。

  • 地域障害者職業センター:​​就職や職場復帰のため、障害者職業カウンセラーなどが職業評価、指導、準備訓練及び適正援助などを支援してくれます。
  • ハローワーク:求職登録や履歴書の書き方、職業選択の支援を受けられます。障害者枠の求人の取り扱いをおこなっており、障害に応じた求人の相談をすることができます。

可能ならば企業の見学をする

可能であれば、企業の見学を希望してみましょう。

職場体験や職場経験をすることで、自分が働いた時に「考えていたことと違う」「実はハードだった」といったミスマッチを起こしにくくなります。企業の担当者に質問ができる機会でもあり、求人票に記載されていない情報を知ることもできるでしょう。

狭心症で障害年金がもらえるのか

狭心症でも障害年金を受給することができると知らない方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、以下の2つについて解説します。

・障害年金とは
・狭心症で障害年金がもらえる

治療を進める上には経済的負担も大きいです。少しでも安心して治療が継続できるように利用しましょう。

障害年金とは

障害年金は、病気やけがによって仕事や生活などが制限された場合に受け取ることができる年金のことです。

病気やけがで医師又は歯科医師の診察を受け、国民年金に加入していた場合は障害基礎年金を受給できます。また、厚生年金に加入している場合は障害厚生年金を受給できます。

狭心症で障害年金がもらえる

狭心症は障害年金の対象です。狭心症の診断を受け、少なくとも1年以上の療養を必要とするものであり、長期にわたる安静が必要とする病状が日常生活ができなくなった場合は障害等級が1級になる可能性があります。

日常生活に大きな影響を与える場合は、障害等級が2級になる可能性があります。

これまで働いていた仕事に復職できず、狭心症の症状によりデスクワークへの変更になった場合は「就労に著しい制限がある」と評価され、障害等級は3級になる可能性があります。

障害年金については、こちらの記事「心臓疾患で障害年金はもらえるの?障害年金の仕組みと認定基準を徹底解説」で詳しく解説しています。

狭心症を持っていても自分に合った仕事ができる

本記事では、狭心症と治療をしながら仕事ができる方法を紹介しました。

狭心症をはじめとする心臓病を持っている人は、身体的にも精神的にも大きな負担がかかる仕事は向いていません。障害年金を受給したり、治療を継続しながら働ける環境が整った職場を選択する必要があります。

これを機会に、自分に合った職場を探し、生活も収入も安定できるようになりましょう。

看護師免許取得後、整形外科・神経内科・循環器内科病棟などを経て救急外来勤務。BLSやICLSインストラクターなどの資格を取得し院内外の活動を始める。アロマテラピーの資格も取得、現在は訪問看護師として勤務。趣味は、写真・ゴスペル。チワワと暮らしている。(Twitter:@lilica_camera)