障害者雇用はデメリットしかないって本当?障害者枠で働くメリットを解説!

公開日 2023年1月9日 最終更新日 2023年9月28日

障害者雇用は、障害者手帳を持っている専用の雇用枠です。

障害者雇用で入社すると、企業側から合理的な配慮を受けながら働けます。しかし、障害者雇用について調べると「デメリットしかない」「やめとけ」といった意見も少なくありません。

そこで今回は、本当の障害者雇用で働くメリットとデメリットについて詳しく解説します。

【目次】

障害者雇用の現状

日本には障害者雇用を促進する方法として、障害者雇用率制度(法定雇用率)という企業に対して一定の障害者を雇用するよう義務付けた制度があります。

各企業、団体の法定雇用率は以下の通りです。

  • 民間企業:2.3%
  • 都道府県等の教育委員会:2.5%
  • 国・地方公共団体:2.6%

そして、厚生労働省が調査した令和3年の法定雇用率は以下の通りです。

  • 民間企業:2.20%(前年より0.05%上昇)
  • 国:2.83%(前年と変わらず)
  • 都道府県:2.81%(前年より0.08%上昇)
  • 市町村:2.51%(前年より0.1%上昇)
  • 教育委員会:2.21%(前年より0.16%上昇)

実際に雇用している障害者数、雇用率ともに過去最高を更新しており障害者雇用が促進されていることが分かります。

産業別では「医療・福祉」「農業、林業、漁業」「電気・ガス・水道業」「生活関連サービス業」などで雇用率が高い傾向があります。

また、法定雇用率の引き上げが厚生労働省より公表されました。民間企業は、令和6年度(2025年度)から2.5%、令和8年度(2027年度)から2.7%までの段階的な引き上げ、国及び地方公共団体は3.0%までの一律引き上げが決定しました。

障害者雇用の現状については、こちらの記事「【2023年最新】障害者雇用の現状と課題【SDGs】」で詳しく解説しています。

障害者雇用はデメリットしかないって本当?

まずは、一般雇用と比較した場合の、障害者雇用のデメリットについて解説します。

求人が少ない

障害者雇用の求人は、障害者しか応募することができないということもあり、一般雇用より求人数は少なくなっています。

とはいえ求応募者も障害者に限定されているため、一般雇用の求人より応募対象者が限られています。そのため、各求人の倍率自体は一般雇用と障害者雇用に大きな差はありません。

しかし、障害者雇用の求人は、首都圏や大阪周辺など、人口が多く大企業も多い地域に集中しています。そのため住んでいる地域によっては選択肢がかなり少なくなってしまうこともあり、これは地方に住んでいる方にとっては大きなデメリットと言えます。

給料が低い

障害者の給料が低いように感じられるのには、仕事内容や勤務形態が大きく関わっています。

障害の特性によって軽作業だったり、できる仕事とできない仕事の差が激しかったりすると、仕事内容に見合った給料を考えたときに低くなりがちです。

また雇用形態がパートやバイトで採用されている人や、フルタイム勤務ではなく時短勤務で働いている人が多いことも障害者雇用の平均給与が低い理由の1つです。

障害者雇用の給料については、こちらの記事「障害者雇用の給料は安い?給与の現状や年収アップの方法を解説」で詳しく解説しています。

障害者雇用で働くメリット

障害者雇用では、デメリットに目が向けられがちですが、メリットについても確認しましょう。

適切な配慮を受けながら働ける

障害者雇用で働く最も大切なメリットは、障害に対する適切な配慮を受けながら働ける点です。

障害者雇用の場合、企業側に合理的な配慮を提供する義務があるため、業務のサポートや設備の整備など、障害のハンデを補いながら、安心して働ける環境があります。

配慮がない環境で働くと、障害の悪化を招くこともあるため、適切な配慮を受けながら働ける点は大きなメリットです。

安定した収入が得られる

障害者雇用を積極的に行っているのは従業員数1,000人以上の大企業が多いです。大企業に就職できれば、経営が安定していると考えられるため、急に会社が倒産したり、リストラされたりする可能性は限りなく低いでしょう。

また先ほど解説したように、障害者雇用での平均給与は一般雇用と比べて低くなっていますが、専門的なスキルを持っていたり、豊富な経験を活かす仕事をすることで、一般雇用と同額以上の給与を受け取ることも十分可能です。

働き方の選択肢が多い

障害を持ちながら働く場合、働き方の選択肢は1つではありません。

【働き方の選択肢】

  • 障害者雇用で働く
  • 一般雇用で働く
  • 特例子会社で働く
  • 就労継続支援で働く

基本的には、一般企業の障害者雇用で働く人が多いですが、障害のハンデを自力である程度克服できている人であれば、一般雇用で働くこともできます。

反対に、より手厚いサポートの中で働きたいのであれば、特例子会社や就労継続支援で働くという選択肢も。

自分の状況に合わせて働き方を選べる点も、メリットの1つです。

特例子会社についてはこちらの記事「特例子会社とはどんな会社?就職するメリット・デメリットや求人の探し方を解説」就労継続支援についてはこれらの記事「就労継続支援A型を利用できるのはどんな人?対象者や給料、メリットなどをわかりやすく解説!」「就労継続支援B型事業所を利用できるのはどんな人?対象者や給料、メリットなどをわかりやすく解説!」でそれぞれ詳しく解説しています。

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障害者手帳を持っているなら障害者雇用で働くべき?

障害者雇用はあくまで権利なので、障害者手帳を持っているなら絶対に障害者雇用で働かなければいけない、というわけではありません。

実際にはとらくライターの古川さん宮﨑さんのように、障害者手帳を所有しながら障害者雇用以外の働き方を選んでいる人もいます。

しかし、障害者雇用で働くか迷っているという人の場合、まずは障害者雇用での就労がおすすめです。障害者雇用のメリットでも解説しましたが、障害に対する配慮を得ながら働けるというのは、体調を安定させながら長期的に働き続けるためには、非常に重要なポイントです。

法定雇用率の引き上げが決定したことで、今後求人数も増えることが見込まれていますし、一般雇用と遜色ない給料を受け取れる求人も多数あります。また、スキルを磨いたり経験を重ねたりするなど、自分の力で給料を引き上げることも可能です。

いきなり一般雇用で無理をして体調が悪化してしまっては元も子もありません。一般雇用で働きたいという目標があるのであれば、まずは障害者雇用で働き、もし一般雇用でもやっていけると確信できたタイミングで切り替えることをおすすめします。

障害者雇用で働くなら自分の障害理解が必須

内部障害 障害者手帳

障害者雇用で働く場合は、自分の障害について正しく理解し、それを企業側に伝えることが重要です。

障害者雇用では、配慮を受けながら働けますが、そもそもでどういった配慮が必要なのかを説明できなければ、適切な配慮は受けられません。

そのため、面接の時点で、

  • 障害の症状
  • 自分の力できること
  • 配慮して貰えばできること・その配慮の内容
  • できないこと

これらについて整理し、伝えましょう。

そうすることで、企業側も安心して採用できます。また入社後は、普段一緒に働く社員にも、改めてこれらの内容を説明しましょう。

障害者雇用はデメリットよりもメリットが多い!

障害者雇用はデメリットばかりなのか、現状を含めて解説してきました。

障害者雇用で働く場合、デメリットがあるのは事実です。しかしそれ以上に大きなメリットが障害者雇用にはあります。

もちろん、障害者雇用は選択肢の1つなので、障害者=障害者雇用で働かなければいけない、というわけではありません。自分の障害を理解した上で、適切な働き方を選んでみてください。

生後間もなく心臓の手術を受け、その後、脳性麻痺と診断される。現在は在宅ライターとして活動。趣味は創作と映画鑑賞。