公開日 2022年9月22日 最終更新日 2023年9月28日
「障害を持ちながら働ける仕事を探してるけど見つからない」「障害があることを就職・転職先で言うべきなのか黙っておくべきなのか」など、就活に関する不安や悩みはありませんか?
就職先が見つからず仕事ができないことで、生活が困窮してしまってはいけません。障害があっても、自分らしく仕事ができる環境をで働きたいですよね。
今回は、障害者の就活がうまくいくためにやるべき対策と、具体的なポイント、活動の流れを解説します。
【目次】
- 障害者雇用の現状
- 一般雇用と障害者雇用のどちらで就活をするべきか
- 障害者の就活の流れ
- 心臓病があることで就活がうまくいかなくなる理由とは?
- 就活がうまくいく人の特徴とは?
- 就活で結果を出すためのポイント
- 障害があっても自分に合った職場で働ける
障害者雇用の現状
平成30年に法改正が行われたことで、法定雇用率の上昇や精神障害と発達障害が障害者雇用の対象に含まれるようになったことで、就職率が上昇しました。しかし、障害者の就職・転職率はまだまだ低いのが現状です。障害者雇用の現状については、こちらの記事「【2022年最新】障害者雇用の現状と課題【SDGs】」で詳しく解説しています。
また、正社員の求人が一般枠と比較して少ないことや、平均収入が低いことなども、障害者雇用の課題と言えます。
しかし障害者雇用には、配慮を受けながら働けるという大きなメリットがあります。学生から社会人になり仕事をするようになると、障害による負担もより大きくなります。そのため、企業や一緒に働く社員からの理解や配慮は、障害を持つ人にとっては必要不可欠なものです。
障害者雇用については、こちらの記事「 障害者雇用はデメリットしかないって本当?企業で働くメリットとデメリットを解説!」で詳しく解説しています。
一般雇用と障害者雇用のどちらで就活をするべきか
障害者手帳を所有している場合、一般雇用と障害者雇用のどちらでも働くことが可能です。どちらを選ぶべきかは、人によって異なりますが、基本的には障害者雇用での就職をおすすめします。
学生から社会人になると、生活リズムや心身への負担は大きく変化します。そのため、学生時代はそこまで障害の負担を感じなかったからといって、一般雇用で配慮を受けずに働こうとすると、知らないうちに無理をしてしまっていた、ということにもつながります。
まずは障害者雇用で働き、障害を持ちながら仕事をすることに慣れてきたタイミングで、障害者雇用から一般雇用に切り替えるという方法もあります。
もちろん、一般雇用で働いている障害者も多数いるので、最初から一般雇用で働くという選択肢もありますが、その場合は必ず主治医に相談し、許可をもらってからにしましょう。
学生と社会人の違いに関しては、こちらのコラム「働く中で実感した“学生と社会人の違い”~備えれば不安感は和らぐ~」で体験談を執筆しています。
障害者の就活の流れ
まずは就活の流れについて、一通り解説します。
【就活の流れ】
- 自己分析
- 業界・企業研究
- エントリー企業の決定
- 選考
- 内定から入社
自己分析
就活を開始したらまずは、自己分析を行いましょう。自己分析を行うことで、就活の軸が定まり、自分に合った会社や職種、職場環境がわかるようになります。
自己分析では、下記のポイントに関する自己理解を深めましょう。
- 自分がどんな仕事をしたいのか
- 自分の長所や短所
- 自分の障害について
まずは自分の得意なことや苦手なこと、目指しているキャリアプランなどを一通り書き出してみて、自分がやりたい仕事や就職先を選ぶ上で重視するポイントについて整理しましょう。
そして障害者雇用で働く場合は、障害に関する自己分析も必要不可欠です。企業側から適切な配慮を受けながら働くために、下記のポイントを整理しましょう。
- 障害の状況
- 体調が悪くなる条件(睡眠不足、過労など)
- 必要な配慮事項
- できる業務とできない業務
上記の内容を整理し、面接時に自分の口から伝えることで、企業側の不安を払拭できます。
業界・企業研究
自己分析を行い就活の軸が定ったら、業界、企業研究を行いましょう。
自分がやりたい仕事や働きたい会社の条件を基準に、興味ある業界や企業の情報を集めましょう。
業界地図やインターン、企業説明会などを活用し、自分が入りたいと思う会社を探していきましょう。
エントリー企業の決定
業界、企業研究を行い、興味がある会社を複数ピックアップしましょう。
そしてピックアップした中から、改めて社風や職種、雇用条件などを比較し、エントリーする企業を選びましょう。
障害者雇用で働く場合は、障害者の雇用率や3年以内の離職率、雇用実績のある障害種別についても確認し、障害があっても働きやすい企業かどうかも見極めが必要です。
またエントリー時点では、わからないことも多いので、気になると思った企業は極力エントリーすることをおすすめします。エントリーの母数が多いほど、内定のチャンスは増えますし、実際に面接をしてみたらイメージが変わる(良い意味、悪い意味どちらも)こともあります。
まずはチャンスを増やすためにも、気になる企業には無理のない範囲でどんどんエントリーしましょう。
選考
選考内容は企業ごとに異なりますが、基本は以下の選考を受けることになります。
- 書類選考
- SPI
- 面接
上記の中でも特に面接が重要です。
【就活の面接で意識するポイント】
- 結論から話す
- 聞かれたことに対して端的に答える
- 自信を持って面接官を見ながら話す
上記のポイントを意識して、面接に臨みましょう。面接が苦手な人も多いかと思いますが、面接で聞かれる質問や雰囲気は、企業ごとに大きな差はありません。そのため、面接の場数を踏んで慣れていくことで、自信を持って面接に臨めるようになります。
内定から入社
無事に内定が出たら入社準備に入ります。もし複数社の内定が出た場合は、解答期日に注意しながら、比較検討し入社する会社を選びましょう。
そして内定を断る場合は、必ず企業側へその旨を伝えるようにしましょう。
企業によっては、入社前にインターンとして業務に参加できることもあるので、そういった機会があれば積極的に参加しましょう。
また、もし内定から入社までの間に障害が悪化したということがあれば、必ず企業へ連絡しましょう。入社が間に合わない場合でも、企業によっては入社時期を遅らせてくれることもあります。
障害の状況が悪いにも関わらず無理して入社をしてしまうと、その後にさらに悪化してしまい短期で退職ということになってしまう可能性があります。入社後のことも考えて、万全の状態で入社できるように状況を整えましょう。
就活がうまくいかない原因とは?
心臓病があることで就活がうまくいかないと感じた方もいらっしゃるかもしれません。それはどうしてでしょうか。以下の5つが考えられます。
- エントリーしている企業が少ない
- 企業や業界の研究をしていない
- 自分の障害に適さない企業にエントリーしている
- 自己分析の不足
- 一般枠にだけ応募している
それぞれ解説します。
またこちらのコラム「 これをやっとけばよかった…障害者が“正社員雇用”を掴むために就活で意識したい5つのこと」では、実際に障害者雇用での就活を経験したライターが、当時を振り返り就活を成功するために、やっておけばよかったことについて執筆しています。ぜひ参考にしてみてください。
エントリーしている企業が少ない
エントリーしている企業の数自体が少ないと、そもそもの内定を獲得するチャンスが減ってしまいます。「どうしても○○会社で働きたい」と考えていても、内定がもらえるとは限りません。
だからといってやみくもにエントリーするのではなく、働きたい理由を増やしていくことでエントリーする会社の幅を広げることも大切です。
企業や業界の研究が不十分
エントリーする企業や業界の研究が不足していることで、自分がしたいと考えている仕事とリンクされずに就活がうまくいかない場合があります。
企業の情報を正確に同じ業界の企業で比較したり、障害者雇用についての取り組みの状況についての研究をしたりすることから始めましょう。
企業の研究が不十分だと面接に自信を持って答えることができず、採用担当者からも良い印象は持たれません。
自分の障害に適さない企業にエントリーしている
自分に合っていると言える企業にエントリーすることが大事です。たとえば狭心症や心筋梗塞を患っている人にとっては、運動や肉体労働において症状が起こる可能性が大きいため、心身の負荷が大きな企業への就職は適しません。
働きながら治療を継続できる環境なのか、自分の障害に適さない企業にエントリーしていないかを事前に確認しましょう。
治療と仕事を両立させる働き方については、こちらの記事「【心臓病】向いてる仕事や治療と両立させるポイントを解説」にて詳しく解説しています。
自己分析が不十分
前述しましたが、まずは自己分析をすることから就活は始まります。自分の障害を理解し、自分に合った企業を見つけることが重要です。また、面接のときに自分のことを正確に伝える必要があります。
家族や友人、主治医やキャリアセンターに相談しながら、自己分析し直してみましょう。
一般枠にだけ応募している
障害者手帳を所持している人は、一般枠だけではなく障害者枠でのどちらでも就活をすることができます。一般枠の方が倍率が高く、また障害を持っていることがハンデにもなってしまうため、内定を獲得するためのハードルが上がります。
もし一般枠だけで就活をしているけどなかなか内定が取れない、という人は、障害者枠での就活も検討してみてください。
就活がうまくいく人の特徴とは?
心臓病や障害がありながらも就活がうまくいく人の特徴は、以下の4つです。
- 自己理解が深い
- 業界や企業、職種の研究をしている
- 希望条件を広く設定している
- 支援機関を利用している
それぞれ解説します。
自己理解が深い
自己分析ができていると、就活がうまくいく可能性が上がります。自分はどんな仕事がしたいか、どんな仕事で働きたいか、そして自分にはどんな障害があるかを理解しましょう。
自己理解が深いことで、企業側も安心して内定を出すことができます。特に障害者雇用で働く場合は、障害について自分で説明できることが重要なので、主治医や家族の協力を得ながら自己理解を深めましょう。
業界や企業、職種の研究している
就活を成功させるために、業界や企業、職種の研究をして理解を深める必要があります。同業の企業で活躍している人の特徴を調べたり、業界内の情報を調べたりしましょう。
自己分析と研究結果から、自分に合った就職先が見えてくるはずです。
希望条件を広く設定している
自分の譲れない条件が多い場合も就活はうまくいきません。できるだけ、希望条件を狭めすぎないようにしましょう。
まずは、自分が会社に求める条件と、これだけは譲れないという条件を分けてみても良いです。
何もかもが自分の希望通りではない場合が多いですが、選択肢を多く持つことで就活成功につながります。
支援機関を利用している
就活は、自分だけで進めてもうまくいかないことがあります。障害を客観的な視点でみてサポートしてくれる支援機関を利用することをおすすめします。
就労移行支援事業所、就職エージェントをうまく活用しましょう。
就労移行支援事業所は、主に障害者が対象で、企業で活かせるスキルや学びながら就活のサポートをしてくれる施設です。
就労移行支援については、こちらの記事「【よくわかる!】就労移行支援とは?特徴や就労継続支援との違いも解説」で詳しく解説しています。
障害者雇用での就活を成功させるポイント
就活で結果を出すために意識するべきポイントは、以下の4つです。
- 活動時期はいつがベストなのか
- 自己PR
- 支援機関を利用する
就活を成功させるためにも参考にしてみてください。
活動時期はいつがベストなのか
就活をする時期はいつがベストなのでしょうか。一般的には、3〜4月、9〜10月に新しい求人が増えます。これは、年度の切り替え時期であるからでもあります。
障害者枠の雇用では、6月1日までに入社できる人を雇用するために4〜5月に求人が豊富となります。これに向けて就活するには、2〜3月から動き始めると良いでしょう。
自己PR
自己PRは、障害者雇用で就活をしても必ず必要になります。
基本的に、ここでアピールするポイントは、一般雇用で就活をする人と同様です。
【自己PRにポイント】
- 自信がある長所を伝える
- 根拠となる実績や行動を伝える
- その仕事に適した強みを伝える
障害者雇用での就活だからといって、全ての質問に障害を絡めた回答をする必要はありません。とはいえ「リハビリを乗り越えたエピソード」などを根拠にしてアピールしたい場合は、そのことを胸を張って伝えましょう。
障害者雇用専門の支援機関を利用する
就労移行支援事業所、就職エージェントを利用することもおすすめします。
これまで働いてきた業種から心臓病があることで転職を余儀なくされた場合、就労移行支援事業所で働きながら学び、就活を同時に行うことができます。
就職エージェントを利用することで、企業の内部事情など障害者をどれくらい採用しているか、働きやすいかなどを知ることができます。また、担当者がマンツーマンで対応してくれることで、書類作成のポイントや面接対策など全面的なサポートも受けることができます。
障害があっても自分に合った職場で働ける
障害者の就活がうまくいくためにやるべき対策と、具体的なポイント、活動の流れがお分かりいただけたと思います。
これまで、就活で失敗してきた方は、その失敗を成功へ活かせるためのポイントを知ることができました。
また、これから就活をしようと考えている方も、就活に失敗するのではないかと不安があるかもしれませんが、これで少しでも不安が軽減され、自分自身がその就職先で働いている姿が想像できたと思います。
障害があっても自分に合った職場を探せるよう行動していきましょう。